【城下尊之 芸能界ぶっちゃけトーク】


 プロ野球巨人の阿部慎之助前監督(47)が高校3年生の長女(18)に暴行したとして警察に現行犯逮捕された事件は、現代社会の状況をあらわしているなぁと考えさせられた。


 釈放された阿部前監督はその日の午前中に記者会見し、涙ながらに謝罪、監督の辞任も発表している。

どんなケースでも暴力はダメということは阿部氏自身もわかりきっていたはず。プロ野球界では数年前にも先輩から後輩への暴力が起きて選手が解雇されたばかりだ。


 今回のケースは完全に身内のことで「親の注意に対し娘が言い返してカッとなった」そう。それがなぜ長女の胸ぐらをつかんで押し倒すなどの暴行を加えるまでになってしまったのか。あの年齢の野球選手となれば、今から30年ほど前が高校生で、部活で監督やコーチからひっぱたかれるなどは日常茶飯事。つい口より手が先に出たのはある程度説明できる。


 一方、長女は父親との大ゲンカが初めてで、チャットGPTに相談して児童相談所に連絡をとったという。常識的に考えれば、酔った父親が暴れて手が付けられなければ、母親に助けを求めたり、近所や祖父母に助けを求めるもの。


 ところが、これはテレビ業界も同じだが、今どきの若い人は何か問題が起きた場合、自分で解決法を見つけて対処することが普通になっている。そこでAIの活用になるのだが、そこは生身の人でないわけだから人間の機微がわからないというか、杓子定規な対応しか提示できない。


 その昔、石原プロに若手俳優が新たに4人入所した際、故・渡哲也さんが舘ひろしに「若手が挨拶もろくにできない。ひろしが厳しく指導しなきゃダメだ」と叱ったことがあった。

舘はさっそく若手を呼び出して厳しく説教したのだが、そこへやって来た渡が「何をやってるんだ! 入ってきたばかりなのにかわいそうじゃないか。みんな、もう解散していいよ」と言い出したという。舘は「俺の立場がないですよ」と苦笑い。というのも、普段から後輩に優しすぎる舘に先輩としての威厳をつけさせるため、渡がわざと説教を命じたという、その意図がわかっていたのだという。


 このように叱る時にも余裕をもってやらなくてはならない。上方落語には親がバカな息子を説教する場面がよくあり、別の人物が絶妙な「フォロー」を入れて笑いを生む噺が多数ある。AIの活用もいいが、子供への指導の際は、夫婦などが絶妙な間合いで叱ってあげることだ。


(城下尊之/芸能ジャーナリスト)


編集部おすすめ