シェイクスピアの妻を演じる、ジェシー・バックリーの存在感が素晴らしい。シェイクスピアの四大悲劇の一つ、ハムレットはいかにして作られたかが描かれる。

 夫婦に起きた大きな悲劇は、それぞれの哀(かな)しみが同じ方向に向くことがないばかりに喪失の重さが増していく。子供が当たり前に生まれ育つ事が決して当たり前ではなかった時代に、慈しみの対象をもぎ取られた母親の慟哭(どうこく)がずっと耳を離れない。子供が先に逝くことが珍しくなかった時代とはいえ、幼子のぬくもりが消えていくのをその腕に残したままでは立ち上がるすべもなかろう。
 役者全員の細やかな表現にうなりながら誘われる最後のクライマックスシーン。止まらぬ涙の訳を今も探している。
 (スターシアターズ・榮慶子)
◇シネマQとミハマで上映中
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