「自分を変えたいけれど、どうしても最初の一歩が踏み出せない」——そんな心の痛みや葛藤を抱えながら、日々の生活を送っている人は少なくないだろう。過去の失敗や誰かに投げかけられた心ない言葉が鎖となり、自由な行動を縛り付けてしまうーー。

そんな、誰の心にも潜む「弱さ」と、それを乗り越えようともがく勇気を描いた長編AIアニメ映画「引きこもりの俺が、音痴を克服したら人生が変わった」第一部が、YouTubeで無料公開された。監督のレベルマ氏が生成AI技術をフル活用し、わずか4カ月という驚異的な期間で個人制作した。

 物語は約50分。主人公は、中学生時代に大勢の前で歌をバカにされた経験から、重度のトラウマを抱えて引きこもりになった「斉藤海」。薄暗い自室で、素性を隠してAIによる音楽制作をネットに投稿することだけが、彼の唯一の救いだった。

 海はある日、音楽を通じて「紗奈」という女性と出会う。彼女との交流に救われ、次第に惹かれていく海だったが、彼女が憧れているのは自分とは正反対の「輝くアーティスト」であることを知る。「今のままの自分では、彼女に胸を張って会えない」。その強い思いが、海の止まっていた時間を動かし始める。過酷なダイエットやボイストレーニングへの挑戦など、特別な才能を持たない「普通の人間」が、少しずつ自分を変えていく。

 通常、50分のアニメ映画を制作するには数億円の予算と数百人の専門スタッフが必要だが、レベルマ監督はこれら全てを一人で、かつAIとの共同作業によって完結させた。これは単に効率化を追求した結果ではない。

AIが生成した数千もの素材の中から物語の感情に合うものを選び抜き、一つのシーンに対して数百回の再生成を繰り返すという、執念にも近いクリエイティビティの結晶だ。背景、動画、音声、音楽のすべてを個人がコントロールすることで、作家の純粋な情熱がダイレクトに反映された新しい表現の形が提示されている。

 現在、物語が完結へと向かう「第二部」の制作を目指し、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で支援を募集している。支援者には、完結編のエンドロールへの名前掲載や限定トレーディングカード、AI映画制作の舞台裏を明かすメイキング動画などのリターンが用意されている。

 「たった一人でも、情熱があれば世界に映画を届けられる」。そんな新しい時代の幕開けを告げる本作の挑戦。海はトラウマを克服し、人生を変えることができるのか。その結末を共に作り上げる協力者として名前を残すなら、今だ。

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