※本稿は、北村俊雄『東大名誉教授が教える 死なない生き方』(日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。
■「バランスのいい食事」ならサプリはいらない
元気で健康に長生きするためには、好きなものを食べて幸せを感じることが大切だ。科学的なコメントではないと思うかもしれないが、じつはストレスや幸福感は身体の状態を大きく左右する。
食べて幸せを感じるといっても、飲食が過ぎたり、偏食だったりするのは問題である。本稿では、無理なく、楽しく適切な食事をとるコツを紹介する。
健康を保つために、バランスの良い食事をとることは極めて重要だ。暴飲暴食をせず、規則正しくバランスの良い食事をとっていれば、サプリメントはほとんど必要ないし、生活習慣病の発症リスクも抑制される。
それでは食事で気をつけるべきこととは何か? 当たり前のことのようだが、カロリー過多にならないこと、野菜・肉・魚などをバランスよくとること、塩分や脂分を抑えることである。
日本食は健康と長寿につながりそうだということで、欧米では日本食ブームが長く続いている。比較すべき要素が多すぎるので、どこがいいのかは簡単に説明できるものではないが、欧米の食事と大きく違うことは、刺身や寿司など生の魚をとることや焼き魚が多いことだろう。また懐石料理がそうであるように、少しずつ多くの種類を食べることも特徴の一つだ。
■ベーコンやソーセージなど「加工肉」は控えて
次に、たくさん食べない方がよいもの、総カロリー、食事のバランス、アルコールなどについて、気をつけるべきことを述べる。
健康に良い食品、悪い食品についてはいろいろと言われている。
しかし、健康に良くても、それだけを食べつづけるのは、良くないことは明白だ。バランスよく食べることが大事だが、そのバランスの中で控えるべき食品を紹介する。
ここで紹介するのは、主に動脈硬化に対するもので、本人あるいは血縁者に血圧が高い人、LDLコレステロールや中性脂肪が高い人、心筋梗塞・脳梗塞の既往症がある人は特に気をつけてほしい。
牛や豚の赤身肉はリンを多く含んでいるので、食べすぎると心血管系に有害だという報告があるが、専門家によると赤身肉に含まれているリンは有機リンであり、腸管から半分くらいしか吸収されないので、大きな問題にならないという。豆類やカボチャなどに含まれている植物性のリンは、さらに吸収率が低く(30%程度)、健康にいい。
一方、ベーコンやソーセージなどの加工肉や、プロセスチーズや炭酸飲料に含まれているのは「無機リン」であり、100%腸管から吸収されるので、腎臓が悪い人には問題になる。透析している人の死亡率を上昇させるという報告もある。さらに加工肉には、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が多く含まれていることもあり、控えるべき食品だ。
■「清涼飲料水」は高リスク
同じ理由で揚げ物もよくない。
清涼飲料水は水分補給には良いが、塩分や砂糖が含まれており、飲みすぎると肥満、高血圧、糖尿病のリスクが高まる。
私は水分補給のために、ある清涼飲料水をずっと飲みつづけていた。100ミリリットルあたり15 キロカロリーなので、健康上は大丈夫だろうと思っていたが、ヘモグロビンA1c(1カ月の血糖値の平均と相関する値)が正常上限となったため、その清涼飲料水はゴルフをする時だけにして、普段は水かお茶にしている。
一日中、カロリーを持続して摂取することは避けよう。インシュリンは、血糖値が上昇すると膵臓のβ細胞から放出されるが、カロリーが持続的に入るとインシュリンを出し続けてβ細胞が疲弊する。β細胞が疲弊してインシュリンを放出できなくなると、糖尿病の発症につながるのだ。
■「食べすぎない」を心がければいい
アルコールも、もちろん健康のためには飲みすぎるとよくない。
ポテトチップス、スナック菓子、クッキーやパイなども、カロリーが高く、飽和脂肪酸も多い。朝食のシリアルも毎日のことなので、砂糖が入っているシリアルを食べ続けることは避ける方が無難だろう。一見、健康食品のように思えるグラノーラも、砂糖・甘味料や添加物がたくさん使われているものが多いので、食べすぎには注意だ。
身体に悪いものばかり並べていくと、食べるものがなくなってしまうが、これらの食品類も「食べてはいけない」のではなく、「食べすぎないこと」が重要だ。
ここで、食べると身体にいいものもあげておく。魚、鶏肉、豆類、青野菜、ナッツ類、アボカド、トマト、ベリー類は、身体の健康に良いとされている。
理想体重は以下の計算式をもとに、参考にしてほしい。
理想体重=(身長[cm]-100)×0.9
■毎日「体重計に乗る」のが結局いい
私が勧めるのは、毎日朝夕に体重計に乗ることである。世の中にはいろいろなダイエット法があるが、じつは一番効果的なダイエット法は、毎日体重計に乗ることだと言われている。
毎日カロリーを計算するより、自分の身長に合わせて標準体重を決めて、その範囲に入るように食事を節制する方が、簡単でストレスなくできる。
本書で述べたように、年齢によって上昇しているが、死亡率が一番低いBMIは女性で21~27、男性で23~27なので、この値をもとに死亡率が低い理想体重を計算すると、身長160センチの女性は54~69キロ、身長170センチの男性は66~78キロとなり、かなり許容度がある。
若干ゆるい基準という印象ではあるが、体重がオーバーしている人はこの範囲に収まることを目標にして、ゆっくりと減量していけばいい。加えて、糖質・炭水化物や蛋白質は1グラム4キロカロリー、脂質は1グラム9キロカロリーであることくらいは覚えておくとよいだろう。
■元気な高齢者は「肉を食べる」
バランスよく食べることは大事だが、高齢になると筋肉が衰えるサルコペニアが問題になる。
筋肉を増強するためには、蛋白質をたくさん含む肉や魚を食べることが勧められる。
高齢になっても元気な人は肉をたくさん食べている印象がある。知り合いの90歳の著名な先生は、若い人でも息が切れる神戸北野町の坂道をスタスタと登られ、ステーキハウスでは、かなり量が多いコースを完食された。筋力をつけて歩くことが健康の秘訣だ。
一方、魚にはDHAやEPAのような不飽和脂肪酸が多く含まれているので、健康的な食品と言える。特に青魚がいいと言われているが、神経質に考えすぎなくてもいい。極端な偏りがなければ、好きなものを食べることを楽しむ、それが明日への活力になるはずだ。
(参考文献)
・「お酒を飲むとぐっすり眠れる?」国立精神・神経医療研究センターHP
・『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』(日本動脈硬化学会、2022年版)
・「ビタミンDの構造・代謝・作用」津川尚子(『副甲状腺・骨代謝疾患診療マニュアル(改訂第2版)』診断と治療社、2015年)
・『腎臓が寿命を決める~老化加速物質リンを最速で排出する』(黒尾誠、幻冬舎新書、2022年)
・「グルカゴン・GLP-1、GIPの創業革命」(北村忠弘/企画、『実験医学2024年9月号』、羊土社)
----------
北村 俊雄(きたむら・としお)
神戸医療産業都市推進機構先端医療研究センター長、東京大学名誉教授
1956年大阪府で生まれ兵庫県で育つ。東京大学医学部卒業後、内科研修を経て医学部第3内科に入局。国立がんセンター研究所ウイルス部に出向して白血病ウイルスの実験に従事した。その後、第3内科に戻り血液内科の臨床と研究を行う。32歳で米カリフォルニア州DNAX 分子生物学研究所に博士研究員として留学。
----------
(神戸医療産業都市推進機構先端医療研究センター長、東京大学名誉教授 北村 俊雄)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
