※本稿は、田島ヒロミ『昭和型のマネジメントは本当にもう通用しないのか』(すばる舎)の一部を再編集したものです。
■「モチベを上げる意識」すらなかった昭和
昭和時代は、仕事に対してのモチベーションアップ方法は人事面での評価が主でした。今は人事面での評価だけではなく、チームメンバー個々にモチベーションが上がるポイントをマネジャーが知っておかなければ、自組織で最大の成果は出せません。
昭和のモチベーションの上げ方
昭和時代は、課長からモチベーションアップのために何か働きかけをされたかというと、思い浮かぶことはほとんどありません。
私はそのとき事務職でしたが、目の前に積まれた仕事をとにかく今日中にどう捌(さば)くかに集中していたため、取り組んでいる仕事に対してモチベーションを上げるという意識や余裕すらありませんでした。
昭和時代はIT化されておらず、事務職は銀行への入金締め切り、社内・社外に連絡する郵送便の締め切りなどや、ひっきりなしにかかってくる電話の応対のため、毎日かなり騒がしかったです。
社内も課長以上の役職者以外は暇を持て余している社員は見当たらず、みなさんバタバタと忙しそうに働いていました。社内に数台しかないパソコンやコピー機・FAXを使うため、自席に座ってゆっくりしている時間もないほどです。
そのような状況でも、昭和時代の社員の方々は会社に対するロイヤリティ(忠誠心)が高く、昇格への意識はみなさん強かったように思います。
SNSなどもなく、今と比べてまだ社員の考え方や価値観が多様化していなかったため、当時、課長の部下に対する主なモチベーションアップ方法は、人事面での評価の割合が多くを占めていたのかもしれません。
■多様性を背景とした令和のモチベ管理
令和のモチベーションの上げ方
現在、私が実施している研修では、マネジャーからよく挙がる悩みのひとつが、「部下のモチベーションをどう高めるか」ということです。
この悩みの背景には、部下の属性が多様化していることがあります。定年後に再雇用された方や年上の元上司、Z世代の若手など、昭和時代と比べて年齢層の幅が広くなっており、チーム内の構成は非常にバラエティに富んでいます。
さらに、入社経路も新卒採用や中途採用などさまざまで、それぞれ異なるバックグラウンドを持っています。当然、価値観や仕事に対する考え方、将来のキャリアビジョンも異なります。
そのような環境下では、全員一律のモチベーションアップ方法はあまり効果が出ません。今のマネジャーには、部下一人ひとりに寄り添ったアプローチが求められます。それぞれの部下が何によってモチベーションが上がるのか、という“やる気スイッチ”を個別に見つけて、さりげなく押してあげることが重要です。
■モチベーションを左右する要因
部下それぞれの“やる気スイッチ”を探すためには「ハーズバーグの二要因理論」が参考になります。これは簡単にお伝えすると、仕事の満足度を高める「動機づけ要因」と、仕事の不満を防ぐ「衛生要因」の2つに分けて考える理論です。
動機づけ要因、衛生要因の例としては、次のようなものが挙げられます。
動機づけ要因
・やりがいのある仕事
・仕事の達成感
・成果の承認
・責任
・成長の機会 など
衛生要因
・給与
・ステータス
・労働条件
・職場環境
・人間関係
・会社の方針
・雇用の安定 など
ここでポイントとなるのは、給与や職場環境などの「衛生要因」だけ整備されていてもマイナスがフラットになるだけで、個人のプラスの満足にはつながらないということです。
つまり、衛生要因の整備だけでなく、しっかりと「動機づけ要因」にも働きかけることで、仕事への意欲が高まり、満足度の向上につながります。
多くの場合、働く人の“やる気スイッチ”は、この「動機づけ要因」と「衛生要因」のどれか、もしくは両方に当てはまります。これらをもとに、部下のやる気スイッチは何かを考えていきましょう。
■部下の“やる気スイッチ”の見つけ方
やる気スイッチは、部下自身も気づいていないことがよくあります。また、やる気スイッチは本人固有であり、人によって異なります。
それを探すためには、1on1や雑談中に、これまでの仕事の経験の中での感動体験を聞いてみることが有効です。その話から、出来事の背景や具体的な内容、感情の変化などを深掘りしていくことで、マネジャーのみなさんが部下のやる気スイッチに気づいたり、話をしている本人が自分自身のやる気スイッチにふと気づいたりするキッカケになります。
実際に私が実施している研修のセッションで、マネジャーご自身のやる気スイッチを聞くと、承認・やりがい・成長・給与など、さまざまな意見が出てきますが、その中で共通なワードとして頻繁に挙がるのが「お客様や取引先からの感謝の言葉」です。
お客様や取引先からの「ありがとう」の一言で、自分の仕事に対するやりがいや誇りを感じるという声をとても多く聞きます。
上司からの言葉よりもお客様からの言葉のほうがモチベーションアップの効果があると知った、某銀行の支店長の事例を紹介します。
■銀行の支店長が新人を連れていった場所
ある銀行の支店長は、営業として配属されてきた部下には必ず最初にお得意様を訪問させます。そのお得意様から、自分が勤めている銀行からこれまで受けてきた数々の好対応についての感謝の言葉を聞くことで、営業という仕事のすばらしさ、やりがいを身を持って体感させています。
お得意様であれば、自社のこれまでの対応をほめていただける可能性が高いため、新人の営業初日の最初に訪問させる(一緒に訪問する)という方法です。
そこで直接お客様から自社への感謝の言葉を聞くことで、不安に感じていた新人も「自分も喜んでもらえるようにがんばろう」という意識が芽生えやすい、という最適なマネジメント方法です。これは新人だけでなく、仕事に慣れてしまい、モチベーションが下がっているベテランの方にも有効です。
■管理部門でもできる「リアルな声の共有」
日頃からお客様に直接対応している部門の方々は、このような取り組みで経験させることもできますが、管理部門の方々は直接お客様の声を聞く機会はほとんどないかもしれません。その場合は、社内でお客様のリアルな声を共有できる仕組みにすることが有効です。
私が以前に本社部門で勤務していた生命保険会社では、「保険金を受け取ったお客様からの声」を冊子にして、定期的に社内で配布していました。
当時、本社部門に勤務している人は、直接お客様とふれあう機会はありません。しかし、その配られている冊子を読むと、心が動かされて、生命保険という商品と自分の仕事について、やりがいや誇り・責任を感じることができていました。
会社全体の取り組みとして難しい場合、まずは自分のチーム内だけでもお客様からの感謝の声をリアルに共有できるような取り組みを実施してみてください。
昭和時代のように、人事面でしっかり評価することももちろん大切ですが、マネジャーが部下の“やる気スイッチ”を押してあげることで、部下たちのモチベーションは自然と上がり、チームにとっても最大の成果の達成につながっていきます。
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田島 ヒロミ(たじま・ひろみ)
組織開発・人財育成コンサルタント
早稲田大学法学部を卒業後、生命保険会社に入社。営業・経理・事務システム企画・資産運用・コールセンター設立など、多様な業務に携わり、昭和流のマネジメントを部下としても管理職としても経験する。40代半ばには外資系生命保険会社へマネジャーとして転職。
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(組織開発・人財育成コンサルタント 田島 ヒロミ)

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