※本稿は、金間大介、酒井崇匡『仕事に「生きがい」はいりません 30年の調査データが明かすZ世代のリアル』(SB新書)の一部を再編集したものです。
■飲み会の場で本音で話したいと思っていない
「もう飲みニケーションっていう時代じゃないですもんね?」
そう僕に訊いてきた、とある大企業の人事部長さん。
その心は、飲み会の場ならお互い正直ベースの本音トークができるかもしれない、という期待感があるからに他ならない。が、仮に若手との飲み会が成立したとしても、残念ながら若手が本音を話してくれる可能性は低そうだ。
ここからはデータを見ていこう。
老舗酒造メーカーの沢(さわ)の鶴(つる)株式会社は、全国の20~39歳の男女1000人に対し、飲み会に関する意識や経験についての興味深いアンケートを実施している(さすが酒造メーカー)。
アンケートは、2022年1月に実施され、その結果を「若者世代の『価値観』と『コミュニケーション』に関する調査2022」というタイトルで公表されている。これが実に秀逸なアンケートとなっているので、いくつかをピックアップして見ていこう。
まずはストレートに「飲み会では先輩や上司と本音で話したいか」という問いの回答結果を見てみよう(図表1)。なお、本調査では、20~25歳をZ世代、26~39歳をミレニアル世代と定義している。
結果はご覧の通り、「先輩や上司と本音で話したい」と回答したZ世代は34.4%しかいない。ざっくり3人に1人という割合だ。
■先輩や上司の考えを聞きたいは半数以下
そもそも本音で話す以前に、「先輩や上司の考えを聞きたいか」という問いに対しても、Z世代における「そう思う」あるいは「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、わずか43.8%だ。
僕なんかは、お酒の場なんだから考えくらい聞いてあげようよ、と思うが、その考えに同意する若手は残念ながら半数に満たないというのが現実だ。しかし、ちょっと待てよ。
この調査のいいところは、Z世代の直上であるミレニアル世代にも同じ質問をしているところだ。その結果は、すでに図表からおわかりの通り、「飲み会の場で先輩や上司の考えを聞きたいか」という問いに対し、YESと回答したのはZ世代よりさらに少ない37.2%しかいない。なんとZ世代を上回る「上司拒絶」が見られるではないか。
■上司たちとの飲み会自体が好きではない
続いて図表2を見てほしい。これまた単刀直入な問い「先輩や上司との飲み会は好きか」に対する回答結果だ。
もはや解説の必要もないレベルだ。YESと答えたのはZ世代においてわずか20.6%に過ぎない。
この本が出版されたあと、もしかしたら先輩や上司が後輩たちを飲みに誘う回数は激減するかもしれない……。そんなことまで想像させてしまう衝撃的なデータだ(そして、大手酒造メーカーにもかかわらず、そんなデータを公表した沢の鶴様に最上級の敬意を表します)。
しかし、若手育成中の上司や先輩の皆さん。落ち込むことなかれ。どうやらあなたたちだけが嫌われているわけではなさそうだ。
■実は同世代との飲み会も好きではない
図表3をご覧いただきたい。
そう、今の若者たちは、同世代との飲み会さえ、「あまり好きじゃない」派が過半数を占める。しかもこの傾向は、Z世代のみならずミレニアル世代にも共通している。
今の若者たちの間では、上の世代との飲み会はもちろんのこと、同世代との飲み会も実はイマイチという人が半数強という状態だ。
もはや会社は、なぜ経費を使ってまで飲み会を開催するのか、わからなくなってくるところだ。
■気が進まないけど断らないZ世代男子
もう一つ、沢の鶴が醸造した興味深いデータを紹介しよう。
ここまで、先輩や上司との飲み会を好まないのは、Z世代もさることながら、むしろその上の世代のほうかも、という傾向が垣間見(かいまみ)えてきた。そんな中で、さらに明確にZ世代とミレニアル世代に差異があるデータを見つけた。それが図表4だ。
職場の経験として、飲み会の誘いを「気が進まなかったため断ったこと」があるかという項目に対する回答結果である。
ご覧の通り、ミレニアル世代に比べ、Z世代は明らかに断った経験が少ない。さすがナイーブなZ世代さんたち、断るのもはばかれる、ということなのか。あるいは、単に飲み会がクリーンになってきたため「ま、行ってもいいか」と思うようになってきたのか。
ただし、Z世代の男女で8.6%も差があるのはどういうことだろう。ミレニアル世代の男女はぴったり同期しているのに、なぜZ世代の男女だけこんなに差がつく?(これだ! という解釈を思いついた人はSBクリエイティブ編集部まで)。
■「若者のお酒離れ」は本当か
ここまで若者と飲み会の関係を論じてきた中で、一部の読者の皆さんの頭には、「若者のお酒離れ」というキーワードがチラチラ顔を出しているかもしれない。そこで、この点についてもデータで確認してみよう。
ここで取り上げるのは、ビッグローブ株式会社のオウンドメディア「あしたメディアby BIGLOBE」において発表されたデータだ。
全国の20~29歳までの若年層の男女500人と、その比較対象として全国の30~69歳の男女400人の合計900人に対してアンケート調査を実施し、その結果を2023年5月に公表している。そのうち、「飲酒に対する気持ち」という項目に対する回答結果を見てみよう(図表5)。
結論として、若者におけるお酒離れは確実に進行していると言ってよさそうだ。実際、20代の中でも前半か後半かで票が大きく異なっている点も興味深い。
僕が接してきた限り、特に今の20代前半の人たちは、お酒を日常のものと捉えなくなってきており、その代わりに「お酒=特別な日」という認識が強まる傾向にある。
この点は、大学に勤務している身としても、とても強く実感する。そもそも、最近の学生たちの会話の中で、「今日飲みに行こう」というセリフをほとんど聞かなくなった。
じゃあ何ならよく聞くかというと、「今日ご飯行こう」だ。これは極めて日常的に聞く。稀(まれ)に「ご飯」の場でお酒を飲む人がいるが、彼らにとってそんなことはあまり重要ではない。
一方、「飲み会」の場はもう少し重たい。そのためのライングループを作って、ちゃんと日程調整をする。
■多人数の飲み会が好きな人は昔から少数派
飲み会やご飯会を想定したとき、「私はどっちかっていうと少人数のほうが好きで」と言う人は多い。逆に「大人数がいいでしょ」と言う人はほとんど見ないなあ、と思っていたら、酒井さんたち生活総研がデータを示してくれた(図表6)。
なるほど、僕の感覚は間違っていなかった。しかも、今の若者に限ってみれば、9割が「少人数」を選択しているではないか。
一方で、30年前の若者も7割は同様の回答をしていたわけで、世代は違えども「大人数だとちょっと疲れちゃうよね、飲むにしても少人数でゆっくり飲みたいよね」という感覚を共有できる人は多いということだろう。
----------
金間 大介(かなま・だいすけ)
金沢大学融合研究域融合科学系教授、北海道医療大学客員教授
北海道生まれ。横浜国立大学大学院物理情報工学専攻(博士〈工学〉)、バージニア工科大学大学院、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、文部科学省科学技術・学術政策研究所、北海道情報大学准教授、東京農業大学准教授等を経て、2021年より現職。専門はイノベーション論、マーケティング論、モチベーション論等。若手人材や価値づくり人材の育成研究に精力を注ぐ。
----------
----------
酒井 崇匡(さかい・たかまさ)
博報堂生活総合研究所 主席研究員
2005年、博報堂入社。マーケティングプランナーを経て、2012年より現職。ビッグデータを活用した生活者研究の新領域「デジノグラフィ」を開拓。長期時系列調査や定性調査などあらゆる生活者データを駆使した発見と洞察を行う。著書に『Z家族 データが示す「若者と親」の近すぎる関係』(光文社新書)、『デジノグラフィ インサイト発見のためのビッグデータ分析』(宣伝会議)、『自分のデータは自分で使う マイビッグデータの衝撃』(星海社新書)がある。
----------
(金沢大学融合研究域融合科学系教授、北海道医療大学客員教授 金間 大介、博報堂生活総合研究所 主席研究員 酒井 崇匡)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
