■AI時代の今も新聞の読み方で仕事に差が
経営コンサルタントという仕事をしている関係上、周囲の方に「仕事や生活に役立つ経済情報をどのようにして得ればいいですか」という質問を受けることがあります。
読者の皆さんもビジネスシーンで、経営や営業、企画・開発の人なら経済の動きを知って、会社の方向づけや、顧客への提案、商品開発などを行う場面があるでしょう。それ以外の仕事でも自分や家族が所属する会社や業界がどういう状況か、また、投資に役立たせるためにも経済情報は欠かせません。
今回は、私がどのように経済情報を得ているのか、主に新社会人の方に向けてそのコツをご紹介します。
■日経の大きな記事やリード文だけでも読む
私が経済情報を一番得ているのは日経新聞です。毎日読みます。紙の媒体を読むこともありますし、電子版を読むこともあります。一般的に入手可能な媒体で、人と差別化された情報を得られるのかという疑問を持つ人がいますが、だいたいそういう人に限ってきちっと情報を得るように読めていません。逆に、優秀なビジネスパーソンほど、「毎日読む」を愚直に実践しています。
まず、大切なのは、大きな記事を1面から順に読むことです。自分が気になる記事だけを読んでいては、必要な情報が得られません。「会社」と「社会」は字面からしても表裏一体。
自社や得意先の根本的な動きやパフォーマンスを決めているのは、顧客であり、社会です。そうした意味で、業務に直接関係する記事だけでなく、社会が大きな関心を持っている大きな記事を読んでください。
とはいえ紙の新聞すべての記事を読むのは難しいので、1面から大きな記事に的を絞って読みます。大きな記事には「リード文」と呼ばれる全体を5、6行でまとめた文章が載っていることが多いので、それだけでも読むといい。
見出しを見ない人はいないと思いますが、見出しだけでは頭に残りません。
大きな記事でも見出しのないものがありますが、その場合は最初の2、3段落だけでも読みます。それを続けることが、自身の脳のデータベースを充実させるのです。
もちろん、リード文や最初の2、3段落だけでなく、興味があれば全文を読めばいいですし、大きくない記事でも関心を持てば読んでください。
■「7‐ELEVEn」の最後の「n」は小文字
新聞を読む際に重要になるのが「関心」というのがキーワードです。拙著『ビジネスマンのための「発見力」養成講座(小宮一慶の養成講座)』(ディスカヴァー携書)は20万部を超えるベストセラーとなり、好評をいただきましたが、その本の冒頭に「7‐ELEVEn」の最後の「n」が小文字なのを知っていますか、と読者に問いかけました。
じつはこれ、多くの方が気づいていないのです。店頭であのロゴを何千何万回と見ているはずなのに、見えないものは見えないのです。
日常で目にするものの中の小さな差異に気づけるか気づけないか。この習慣が積み重なるといずれ大きな差になります。新聞にもしばしば登場する以下のような会社名の表記でも、間違わずにちゃんと書けるか否か。とりわけ新人社員の方は知らないと恥ずかしい思いをしてしまうかもしれません。
【間違いやすい会社名の表記の例】
・キャノン× キヤノン○
・ブリジストン× ブリヂストン○
・富士フィルム× 富士フイルム○
・キューピー× キユーピー○
・ビッグカメラ× ビックカメラ○
■なぜ「N」→「n」、「ャ」→「ヤ」なのか
ちなみに、なぜ「キャノン」ではなく「キヤノン」かというと、同社HPによれば「全体の見た目の文字のバランスを考え、きれいに見えるようにしたから。『キャノン』では、『ャ』の上に空白ができてしまい、穴が空いたように感じてしまうので、それを避けた」ということです。
「7‐ELEVEn」は、氷小売などをするアメリカのサウスランド・アイス社(テキサス州・1927年設立)が前身で、1946年にデイリー食品も扱う「セブン‐イレブン」という店名となり、1974年に日本に第1号店をオープンしました。その際、日本でも、最後が「n」になっているアメリカのセブン‐イレブンと同じロゴを使用しました。
以前、プレジデントオンライン編集部で同社広報部に聞いたところによれば、「なぜ、小文字なのかは実はよくわかっていません。おそらくデザイン性を考慮したものではないかと言われています」とのことでした。
かちっとした印象の「N」より、まんまるな「n」のほうが消費者にフレンドリーな印象を与えるからといった説もあるようです。
以上のような豆知識を知らなかった人も、今日からは見えるはずです。なぜなら、「関心」を持ったからです。「へえ、そうなのか、知らなかった」と。
新聞を読むということは、つまり、そういう発見をして「関心」を抱くということです。新聞の大きな記事をリード文や数段落だけでも読み続けることにより、関心の幅が広がる。そうすれば、「関心のフック」というものが生まれ、どんどん自身の脳のデータベースに情報が蓄積されていきます。
■関連付けができれば「ひらめき」が生まれる
脳のデータベースの情報が蓄積されていくと、それぞれが関連付けられて新たにわかることがあります。それが「ひらめき」です。
新聞の大きな記事を読むことで、脳のデータベースの中に必要な情報が蓄積されていき、それが、他のインプットを得た時に、新たな考え方・発想に直結するのです。蓄積した情報なしに、そのアイデアは一生出てこなかったかもしれません。
例えば、高市早苗首相が積極財政を行うということと日本の財政状況が極めて悪いということの双方を知っていれば、「長期金利が上がる」ということは容易に想像できます。
トランプ大統領の施策によりEVが売れなくなりました。前バイデン政権下で実施されていた最大7500ドルのEV購入税額控除が2025年10月に終了し、2030年までに新車販売の半数をEVなどにするという前政権の目標を撤回する大統領令に署名したのです。
しかし、今年の11月には米国で中間選挙があります。100人の上院議員は3分の1しか改選されませんが、435人の下院議員は全員が改選です。
この2つの情報を組み合わせれば、トランプ大統領の支持が落ちれば、与党共和党は、現在は上院、下院ともに過半数を維持していますが、ひょっとしたら下院は野党民主党が過半数を獲得する可能性があり、そうしたら、EVが復活する可能性もあるとも推測できます。
こんなこともありました。日経新聞をじっくり読むのが日課の私も、すべてのニュース・事実を知っているわけではありません。以前、正月にテレビを観ていたら、あまり馴染みのないケミカル系の素材メーカーのスポットCMが頻繁に流れていました。
「お正月のCM料はけっこう高いのに」と思いながら、この会社の財務内容をネットで調べたら、抜群の財務安定性を持った会社でした。BtoBの会社なのに、正月にCMを出すくらいだから収益力も良く、安定しているに違いないと思い、正月休み明けにその会社の株式を購入しました。1年ほどたった今では、比較的高い配当を出しながら、5割も株価が上昇しました。
こうしていろんな情報を組み合わせて、推論するのです。もちろん、はずれることもありますが、脳のデータベースは確実に充実していきます。
■電子版の読み方のコツ
日経新聞の大きな記事を読むということを説明してきましたが、最近は電子版を中心に読む方も増えています。この時にも読むコツがあります。
電子版を開くと、下に「朝刊・夕刊」というタブがあります。それを押すと、朝刊や夕刊の内容が現れます。上に「1面」「総合・政治」「総合・経済」「国際」……といったタブが現れますが、それを左から順番に押していくのです。
そこでそれぞれの面で1番上に出てくるのが、紙の新聞にある大きな記事です。たいていは写真が付いています。その記事の最初の2、3段落だけでもいいので読みます。各面の一番上の記事を順番に読むことで、その日の大きなニュースを簡単に網羅的に知ることができます。慣れれば10分もあればできます。
余談ですが、電子版の記事には「Think」と言って、コメンテーターがコメントしている記事があります。そのコメントも参考になることも少なくないのでちらっと見てください(私もコメンテーターのひとりです)。
■一般紙、テレビ
日経以外の一般紙やテレビも大きな情報源となります。コツは、決まった時間に読むことです。私は、朝食時にNHKのニュースをちらっと横目で見ながら、読売新聞を読むことをルーティンにしています(日経新聞は通勤の電車かタクシーの中で読みます)。
そこで、大きなニュースの情報を得るのです。とくにテレビは主には大きなニュースしかやりません。新聞も含めてそこである程度の情報を得ていれば、その後、通勤途上で日経新聞を読むときの時間の節約にもなります。あらかたすでに知っていることも少なくないからです。また、日経は、経済記事は詳しいですが、政治の記事は少し弱いところがあります。それをテレビや一般紙がカバーしてくれるのです。
■ネット情報
もちろん、ネットの情報も活用しています。主に見るのは、Yahooニュースやプレジデントオンラインのような信頼性の高いものです。もちろん、ネット情報の中には、新聞やNHKのニュースほどの信頼性がないものがありますから、媒体やニュースソースを確認することが大切です。
ネットニュースがいいのは、速報性があること、普段あまり関心がないことも取り上げられていることです。さらに、私が重宝しているのは、スキマ時間に簡単に確認できることです。取引先のニュースや金融情報をYahooニュースで初めて知ったこともありました。
私は、ニュースの他に、個別の株価などの情報もYahooから得ています。また、長期金利の情報は日経電子版でリアルタイムに近い情報を得ています。
このように、経済だけでなくさまざまな情報をいくつかの媒体から毎日得ていますが、それをルーティン化することが大切です。
それにより、頭の中のデータベースが構築され、得た情報という点が線に、線が面に、そしてそれが立体になればしめたものです。そうなればAIなんかいらないかもしれません。ビジネスシーンや投資などで大いに役立つことは間違いなしです。
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小宮 一慶(こみや・かずよし)
小宮コンサルタンツ会長CEO
京都大学法学部卒業。米国ダートマス大学タック経営大学院留学、東京銀行などを経て独立。『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座2020年版』など著書多数。
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(小宮コンサルタンツ会長CEO 小宮 一慶)

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