食べ過ぎずに必要な栄養素を摂るにはどうすればいいか。医師の石原結實さんは「私自身40年以上毎日飲んでいる『ニンジンリンゴジュース』は、朝食抜きで心身の活動を低下させないために欠かせない飲み物だ。
現代人はタンパク質・脂肪・糖質を食べ過ぎている一方で、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素が不足している」という――。
※本稿は、石原結實『超少食健康法 「空腹の時間」が病気を治す!』(新星出版社)の一部を再編集したものです。
■空腹感とは無縁、石原式「朝断食」の実践方法
朝断食が体にいいことは間違いありませんが、単に朝食を抜くだけだと「午前中にボーッとして集中できなかった」「通勤時にクラクラした」という方がたまにいらっしゃいます。
私が提唱する朝断食は、「ニンジンリンゴジュース」や、ハチミツや黒糖を加えた「ショウガ紅茶」を飲むのでそういった心配がありません。
朝食抜きでは心身の活動が低下するのは糖分が不足するからです。ニンジンやリンゴ、ハチミツ、黒糖が入ったジュースや紅茶を飲めば、午前中に必要な糖分がしっかり補えます。
しかも、液体なので睡眠中の断食明けの胃腸に負担をかけることはなく、排泄が邪魔されることもありません。
■本能で欲するものを食べたときのサイン
実践方法を紹介する前に、石原式の「超少食健康法」の重要なポイントである「ニンジンリンゴジュース」と「ショウガ紅茶」の作り方を挙げましょう。
◇「ニンジンリンゴジュース」の作り方
「ニンジン2本+リンゴ1個」を刻んでジューサーにかける。
固形物が残るミキサーではなく、液体だけが残るジューサーで作る。
◇「ショウガ紅茶」の作り方
熱い紅茶に、すりおろしたショウガを入れ、ハチミツか黒糖も入れる。
ショウガ、ハチミツ、黒糖はおいしいと感じる分量を入れる。

すりおろしたショウガのほうがおいしく、体が温まるが、粉末やチューブ入りでもOK。すりおろしたショウガを1回分ずつ小分けして凍らせておくのもおすすめ。
石原式朝断食の実践方法は次のような内容になります。
【朝】ニンジンリンゴジュースを1杯、ゆっくりと噛むように飲む。体が冷えると感じる場合はショウガ紅茶を1?2杯飲む。
【昼】とろろそば、ワカメそば、ざるそば(ネギ、七味をたっぷり入れる)、またはピザやパスタ(タバスコをたっぷりかける)、具だくさんのうどん、少なめの和食など。
断食明けの最初の固形食なので、胃腸に負担をかけないメニューにする。
昼食後に眠くならない、だるくならない量にする。
【夕】腹八分目なら何を食べてもOK(できれば和食がおすすめ)。
アルコールも適量であれば何を飲んでも問題なし。

いかがでしょうか?
シンプルなのですぐに実践できるのではないでしょうか。
日中、空腹を感じることがあれば「ショウガ紅茶」を飲みましょう。
血糖値が上がって空腹感がなくなりますし、体も温まります。
ハチミツをなめたり、黒糖やチョコレートをかじるのも血糖値が上がり空腹感が収まります。固形物ではないため、石原式朝断食ではこれらを摂っても問題ありません。
あともうひとつ大事なことは、「おいしい」と感じるかどうかです。
自分に必要な栄養(食物)、本能で欲するものを食べたときのサインは「おいしい」なので、おいしいと思うものを選ぶことが大切です。
■現代人の食事の欠陥を補う万能食はこれ
石原式の「超少食健康法」では、「ニンジンリンゴジュース」が欠かせません。
私自身40年以上毎日飲んでいますし、伊豆の断食施設でも毎日提供しています。
ニンジンリンゴジュースのすばらしさを知ったのは、スイスのベンナー病院を訪問したときです。アメリカで自然療法運動を視察した1999年に「スイスのベンナー病院は1903年の設立以来、ヨーロッパはおろか世界中から集まる難病・奇病の患者を食事療法で治癒させている」という情報を耳にして、すぐに現地へと向かいました。1979年のことです。
ベンナー病院では、診断には血液検査やレントゲン検査など西洋医学を用いていましたが、治療には薬や放射線などを一切使用せず、完全な自然療法を行っていました。
肉、卵、牛乳、バターなど動物性食品は出さず(例外的にヨーグルトと小麦胚芽をミキサーでブレンドしたビリュヒャー・ミューズリーを提供)、食事は黒パン、ジャガイモ、ナッツ、野菜、漬物、果物、岩塩、ハチミツのみ。
毎朝、必ずニンジンリンゴジュースを飲ませていたのです。
院長のリーヒティ・ブラシュ博士に、「ニンジンリンゴジュースがなぜこれほどさまざまな病気に効果を発揮するのか?」質問したところ、「人体に必要なビタミン、ミネラルをすべて含んでいるから」という答えでした。
現代人はタンパク質・脂肪・糖質を食べ過ぎている一方で、体内での微妙な生理作用を遂行するうえで必要なビタミンやミネラルなどの微量栄養素が不足している「栄養過剰の栄養失調」で種々の病気を誘発しているのです。
多種のミネラルとビタミンを含むニンジンリンゴジュースは、現代人の食事の欠陥を補う万能食と言えます。
■体が温まり排泄を促すショウガ紅茶の効果
「ニンジンリンゴジュース」とともに、石原式の「超少食健康法」で主役となっているのが、私が考案した「ショウガ紅茶」です。
血液が汚れる瘀血の原因には体の冷えも関係しています。体が温かいときは、血管も広がりやすく、血液中の物質(栄養や老廃物)も溶けやすいため、血流がいい状態です。
一方、体が冷えていると全身の血流が悪くなります。結果、細胞の代謝が低下し、最終的には老廃物の燃焼が妨げられて血液が汚れ、不調や病気をもたらします。その負の流れを一気に変えてくれるのがショウガ紅茶です。
ショウガ紅茶の魅力は、なんと言ってもショウガそのものの薬効です。漢方ではショウガが種々の薬の成分として用いられていて、「ショウガなくして漢方成り立たず」と称されるほどで、現在も漢方薬の約7割にショウガが含まれています。

ショウガの薬効は西洋でも広く知られ、活用されてきました。古代ギリシャの哲学者ピタゴラスはショウガで胃腸の調子を整えましたし、16世紀のイギリスではヘンリー8世の「ショウガをたくさん食べよ」という命で「gingerbread(人形の形をしたショウガパン)」が登場しました。
14~16世紀にペストが大流行したとき、ロンドン市民の3分の1が命を落としましたが、ショウガをよく食べていた人は生き残ったと言われています。
現代の日本でもショウガは大人気です。体を温めるショウガが、低体温で不健康になった日本人に受け入れられたのでしょう。ショウガ愛好者を“ジンジャラー”と呼ぶなど、ショウガブームは20年以上続いています。
このショウガブームの火つけ役は私です。
漢方薬処方を中心としたクリニックを東京で開業したのが1982年のこと。ネットなどなかった40年以上前に、独学で漢方医学について学び、100種類以上ある漢方薬の約7割にショウガが含まれていることに気づいた私は、国会図書館に通いショウガに関する論文を読みあさりました。当時、アメリカやデンマークからたくさんの論文が出されていたのです。
■脳の血流を促進して、気分を上向きにする
それらをまとめたのが次の11の効能です。
◇ショウガの効能
①血流を促進し、体を温める

②①の効果によって血圧が下がる(低血圧の人は血圧が上昇して安定する)

③血小板が凝集するのを抑え血栓を予防する

④発汗、解熱、去痰(痰を排泄する)、鎮咳(咳を鎮める)、鎮痛などの作用がある

⑤排尿を促進し、むくみ、水太りを解消する

⑥脳の血流を促進して、気分を上向きにする(うつの解消)

⑦だ液、胃液、すい液、胆汁、腸液の分泌を促進し、消化を助ける

⑧食中毒の原因菌や腸内の有害菌、肺炎球菌など病原菌を殺菌する。
抗ウイルス作用もある

⑨副腎髄質からアドレナリンの分泌を促し、気力を高める

⑩コレステロールを下げる

⑪内耳の血行をよくして、耳鳴り、めまい(メニエール病)を改善する
ショウガに含まれるジンゲロール、ジンゲロン、ショウガオールなどの辛味成分のほか、ジンギベレン、ビサボレン、ピネンなどの芳香成分がこうした健康効果をもたらしているのでしょう。
■抗酸化作用が強いポリフェノールを含む紅茶
紅茶もまたすぐれた効能があります。漢方では色が濃いものほど体を温める作用が強いとしているので、お茶のなかでも濃い色をしている紅茶は体を温める飲み物の代表です。
また、抗酸化作用が強いポリフェノールを含み、さまざまな効果が報告されています。それらをまとめると次のようになります。
◇紅茶の効能
①紅茶ポリフェノールの抗酸化作用が活性酸素で細胞が傷つくのを防ぎ、老化、生活習慣病、がんの予防に役立つ

②食中・食後の血糖値の急上昇を抑える

③脂質の吸収を抑える

④タンパク質の糖化(余分な糖とタンパク質が結合して老化物質を生成すること)を抑え、老化を防ぐ

⑤殺菌、抗ウイルス作用でかぜやインフルエンザを予防する(赤い色素=テアフラビンの作用)

⑥香りによるリラックス作用
■ハチミツや黒糖を入れて最強の飲み物に
すぐれた効果を持つショウガと紅茶を組み合わせたショウガ紅茶は、それだけでも万能ですが、「ハチミツ」や「黒糖」を入れることでさらにすぐれた飲み物になります。
「ハチミツ」は古代エジプトをはじめ、古くから薬として重宝されてきました。エジプトのピラミッドの壁画には養蜂が描かれ、ミツバチを王位の象徴としていた地域もあります。ハチミツの効用を十分に理解し、活用していたことがうかがえます。
また、中国最古の薬物学の書である『神農本草経』でのハチミツの扱いは、「五臓の諸不足を安じ、気を益し、中を補い(胃腸の働きをよくする)、痛みを止め、解毒作用を発揮し、百病を除き、百薬を和す」と、まるで「万能薬」のようです。
ハチミツに強い殺菌力、防腐作用があることは、現代の成分分析で明らかになっています。また、腸内環境を整えて免疫力アップに役立つこともわかっています。

もう一方の「黒糖」も効能抜群です。
サトウキビの搾り汁を煮詰めて作る黒糖は、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄分などのミネラルのほか、ビタミンC以外のほとんどのビタミンなどの微量栄養素を含み、栄養満点です。
漢方では、胃腸を丈夫にし、肝臓を温め、体熱アップと血流を促す作用があり、血液を浄化するとされています。
健康効果はもちろんですが、ショウガ紅茶にハチミツや黒糖を加えると味わいがまろやかになり、おいしくなります。
体を温める効果が増すうえ、代謝を促進するビタミンやミネラルが豊富なので、病気や老化予防はもちろん、脂肪の燃焼が促されてダイエットにも役立つ最強の飲み物です。

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石原 結實(いしはら・ゆうみ)

医学博士、イシハラクリニック院長

1948年、長崎県生まれ。長崎大学医学部卒業、同大学院博士課程修了。医学博士。年間365日休むことなく診察・講演・執筆・メディア対応を精力的に行っている。近著に『65歳からは、空腹が最高の薬です』(PHP新書)。



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(医学博士、イシハラクリニック院長 石原 結實)
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