こうした中、GKに関しては比較的結論が出しやすいポジションではないかと目されている。絶対的守護神の鈴木彩艶を筆頭に、この4年間コンスタントに招集されてきた大迫敬介、2025年のJリーグMVP早川友基という3月のイギリス遠征に帯同した3人が順当と言われるからだ。
しかしながら、当の選手たちは実際に会見で名前を呼ばれるまでは安心できない。明治安田J1百年構想リーグで思うようなパフォーマンスを見せられていない大迫は特にそうだろう。バルトシュ・ガウル監督率いる新体制の広島はボールをつなぐスタイルを志向。模索が続き、目標だった百年構想リーグ優勝が遠のいてしまっている状況だ。失点数もミヒャエル・スキッベ監督時代は常にリーグトップに近い数値だったが、今季は16試合を戦って「19」。早川が所属するEAST首位の鹿島アントラーズの「9」を踏まえると、納得できる数字ではないだろう。
「チームとして今、新しいサッカーにトライしているので、正直、今まで通りのサッカーをやっていれば、もっと勝ち点を積み重ねられているという感覚はありますけど、逃げるのは簡単なので。逃げずに自分たちがトライしているサッカーを続けながら、昨年の強みをうまく残しつつ戦えればいいと思いながらやってきました。
ただ、ガンバ戦に関して言えば、広島も大迫も悪くないパフォーマンスを見せていた。16日にAFCチャンピオンズリーグ2決勝アル・ナスル戦を控えるガンバの士気は高かったが、広島も強度の高い守備で応戦。大迫も前半29分にデニス・ヒュメットの決定機を右手1本で阻止。勢いに乗った。
そして後半も14分の山下諒也の飛び出しに鋭く反応してピンチを乗り切ると、後半38分には途中出場の南野遥海がゴール前に飛び込んだところを大迫が確実にマーク。最終的には宇佐美貴史の強烈シュートを塩谷司がブロックし、東俊希が挙げた1点を守り切って、広島が1−0で完封勝利。4試合ぶりの白星に大迫自身も安堵感を抱いたはずだ。
「特に終盤は相手も点を取りに来ていたので、僕もそうですけど、みんなでゴールを割らせないという気持ちが無失点につながった。やっぱり勝つことが一番チームの力になりますし、自信をつけることにつながる。今日は手応えのあるゲームができましたし、これを続けていきたい。
2022年のカタール大会で落選の憂き目を味わった大迫は、その悔しさをバネに奮起。2023年に発足した第2次森保ジャパンでは恒常的に名を連ねた。試合出場数は2023年が4試合、2024年が1試合、2025年が3試合、今年がゼロという状況で、決して多いとは言えないが、下田崇GKコーチから絶大な信頼を寄せられていたのは確かだ。
「敬介がこれまでやってきたことは間違いないし、2023年9月のドイツ戦勝利にも貢献している。実績はみんなが認めていると思います。今季の広島では失点が増えているかもしれないけど、新たなトライの結果だし、そんなに気にしなくていいと思う。森保さんはあくまで代表活動の評価で選手を選ぶと思うし、それは僕の時(2014年ブラジル大会)もそうだった。誰も敬介の代表入りを疑ってはいないですよ」と青山敏弘コーチも太鼓判を押していた。
W杯経験のある大先輩も言うように、代表とクラブのサッカーが違う分、大迫自身もこの半年間は苦悩することが多かったのではないか。「代表のやり方とチームのやり方は違うものはありますし、代表のプレースタイルをそのままチームに持ち込むのは難しい。そのギャップはありました。
果たして大迫は15日のメンバー発表会見で名前を呼ばれるのか。そして北中米の大舞台でその雄姿を見せられるのか。期待を込めて見守りたいものである。
取材・文=元川悦子
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