今年4月、日本代表ナショナルコーチングスタッフに電撃就任した
中村俊輔コーチが取材に応じ、就任の経緯や自身の役割について語った。
中村コーチは昨季限りで
横浜FCのコーチを退任。
以降はスポットでの指導や解説者として海外サッカーの中継などに携わり、今年3月のキリンワールドチャレンジ2026(スコットランド代表戦、イングランド代表戦)では、U-NEXTの現地解説を担当していた。「横浜FCではJ1・J2を繰り返したり、いろいろな経験をしました。今年はインプット、いろいろな引き出しを増やさないといけないと感じていました」とフリーの立場を生かして経験を積んでいた中、森保一監督から「コーチとして入って一緒に戦ってほしい。力を貸してほしい」というラブコールを受けた。
しかしながら「すんなりと『入りたいです』という感じではなかったです。自分には何ができて、何を還元できるのか。与えられるばかりでは役不足ですし……」と葛藤した。イングランド戦後に食事をする機会があり、「森保さんと話しながら『こういうことに期待しているとか』『こういうことで力を貸してほしい』とか、コミュニケーションができた。微々たる力ですけど、何か代表のためにできないかという心境に変わっていきました」と明かす。その後、
日本サッカー協会から正式オファーが届き「その時には整理できていましたし、すぐにお答えしました」と就任に至るまでの経緯を明かした。
FIFAワールドカップ2026の開幕を間近に控えたタイミングでの新コーチングスタッフ就任は異例。就任タイミングでは、5月15日に行われたメンバー発表に向けた選考が佳境を迎えていた。
「僕が『間近で見た選手ではない誰かを推薦するのは、ちょっと……』という話をしたとしても、森保さんは『そういう意見がいい。いろいろな角度からの意見が欲しい』と言ってくださった。思っていることをどんどん言ってほしいという雰囲気を作ってくださっているので、多少場違いのことがあったとしても『それは違くない?』という雰囲気にはならない」という。世界の舞台で経験を重ね、FIFAワールドカップに2大会出場した中村コーチに対する信頼の厚さをうかがわせた。
中村コーチは今月25日(月)からチームを指導する。自身に課せられている役割については「全体のカバーというかサポートをしながら。いろいろな意見を求められているのですが、攻撃の方が多いですね。名波(浩)さんと前田(遼一コーチ)と意見を交換しながら、後ろでのゲームメイクについては自分が聞いたり、聞かれたりしています。今後の練習メニューや対戦相手に合わせたメニューはどうするのか、そういったミーティングは3人でしていて、長谷部(誠コーチ)も交えてる時もあります」と説明。「これからはもっと深く、掘っていきながらやると思います」と続けた。
中村コーチは現在47歳。2022年に現役を引退し、翌23年から指導者としてのキャリアをスタートさせた。
Jリーグ、海外、そして日本代表と豊富な経験を持ち、すでにJFA Proライセンスも取得している中村コーチの今後にも期待が集まるが「今はもうこの仕事に集中している」と断言。「U-19選抜(※JFA/Jリーグポストユースマッチ)のコーチを4日間くらいさせていただいて、そこで刺激を受けました。『日本を背負って戦いたい』という志のすごく高い若い選手たちとやれたのは、すごく良かったと思います。そこでカテゴリーに関係なく代表に関わるのは勉強になるなと思っていた中で、就任させていただきました。ましてやフル代表。楽しみでありつつ、責任は重大なのでプレッシャーや不安もありますけど、またこういう舞台でできるので。終わった後に何を感じるのか、単純に『監督がやりたいな』とかは今のところないです」。コーチングスタッフという新たな立場で迎える自身3度目のFIFAワールドカップ、日本代表が目指す“最高の景色”=世界一に向け、自身の経験を還元していく。
取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)
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