◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 歴史的快挙の裏に野球がつないだ縁があった。7月12日に巨人の育成選手マレク・フルプ外野手が支配下登録されてデビュー。

チェコ出身選手で初めてNPBの1軍公式戦に出場した。

 母国の様子が気になり、チェコリーグのソコル・フルボカーというチームでプレーする元巨人、日本ハムの村田透投手に電話した。「マレクの父、ウラジミール・フルプがうちのチームの監督なんです。『聞いてくれ、いい話がある。息子が昨日コールアップされたんだ!』ってうれしそうに話していました」。選手たちもニュースで知って祝福ムードに包まれたという。

 「チェコの人はみんな温かい。身体能力が高く将来楽しみな選手がたくさんいますし、他の仕事をしながらプレーしている選手が多く、ハングリー精神もすごいです」と村田。SNSでもフルプの巨人での挑戦が拡散され、チェコ国内の野球熱、野球人気がさらに高まっているという。

 村田はNPB、米国、中南米、豪州、ドイツなど世界各国を渡り歩き、昨年からチェコでプレー。昨年はレギュラーシーズン13勝2敗、40歳の今季も5勝1敗の好成績を残す。昨秋は侍ジャパン強化試合で来日したチェコ代表の練習サポーターを務め、そこで一緒だったフルプと今春の離日前に都内で食事して激励。

だから支配下登録を自分のことのように喜んでいた。

 デビュー2試合目で左手有鉤骨を骨折して計5打数無安打で無念の離脱。現在は欧州の故郷に再び明るい話題を届けようと巨人ファーム施設で懸命にリハビリ中だ。海を越えて野球人生の運命が交錯したフルプと村田。2人の奮闘が日本とチェコの架け橋になる。(巨人担当・片岡 優帆)

 ◆片岡 優帆(かたおか・ゆうほ)08年入社。巨人担当キャップ。G担通算15年目。

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