今季途中、ソフトバンクから移籍したリチャードが、空き番号となっていた「52」をつけた。5年連続ウエスタン・リーグ本塁打王という実績を持ち、巨人で覚醒の兆しは見せているが、まだ“未完の大砲”のイメージが強い。

 「52」はこれまで19人の選手が背負ってきた。同じく「未完の―」というイメージがあるのは、85~98年まで着用した井上真二だろう。川上哲治らを輩出した熊本工から84年ドラフト5位指名で入団。86、87年に2年連続でイースタン・リーグ本塁打王に輝いた。

 89年5月3日の阪神戦(東京D)では、代打で登場し、池田親興からプロ初本塁打。代打での決勝2ランだった。この後、右翼手として1軍に定着。高校の2学年後輩の緒方耕一と「熊工コンビ」と呼ばれ人気を集め、同年のオールスターゲームにも出場した。

 ただ不運が井上を見舞う。8月31日の阪神戦(甲子園)でマット・キーオから左側頭部に死球を受けた。この年、81試合に出場し打率・298、12本塁打、38打点の成績を残すが、これがキャリアハイの数字になってしまう。本人は頭部への死球の影響を否定したが、及ぼした可能性を指摘する関係者も少なくない。

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