◆JERA セ・リーグ 巨人6―4広島(9日・東京ドーム)

 巨人が初回の集中打で広島に逆転勝ち。3連勝で勝率を5割に戻し、3位DeNAとの1・5ゲーム差を守った。

苦手の床田を捉え、1死から今季初となる7連打。中山礼都内野手(23)が勝ち越し打を放った直後、1死満塁からリチャード内野手(26)が今季2発目となる9号満塁本塁打を放ち、今季最多タイの1イニング6得点を挙げた。9回を締めたR・マルティネス投手(28)は2年連続40セーブをマークし、球団3人目の大台に乗せた。

 自慢のパワーがさく裂した。体が泳がされたとは思えないリチャードの弾丸ライナーが、左翼席に飛び込んだ。「とりあえず外野の頭は越えるかな」とコンパクトに捉えた一撃は値千金の満塁弾。球団では23年の大城卓以来30人目となるシーズン2本目のグランドスラムで、試合の主導権を大きくたぐり寄せた。

 初回に5連打で2―1とリードし、なおも1死満塁。「みんながつないでくれたので。『うわぁ~』って思いながら。でも絶対打つ!」。フルカウントから7球目の低め137キロをバットに乗せた。

13試合ぶりの9号は自己最多を更新し、2ケタの大台まであと1本に迫った。巨人の1イニング7者連続安打は昨年6月4日のロッテ戦(東京D)以来で、1イニング6得点以上は今季の3月29日・ヤクルト戦(東京D)以来。初回の猛攻を握力80キロ超の圧倒的なパワーでド派手に締めくくった。

 憧れの大砲と運命が交錯した。オフは沖縄の先輩でもある山川と合同自主トレを行うのが恒例。実は3年前に「聞きたいことがたくさんあったんですよ」と面識のなかった岡本に弟子入りを志願していたという。「僕がお願いしたのがギリギリすぎた」とスケジュールの都合で実現しなかったが、トレード加入で思いが成就した。念願だった打撃の助言をもらうだけでなく、肘当てや打撃用手袋もプレゼント。出場61試合ながら9本塁打はキャベッジ、岡本に続いてチーム3位と、今では師匠とともに打線をけん引している。

 実直さが先輩から愛される理由の一つだ。投手の球速や変化量を再現する映像付きの打撃練習用マシン「トラジェクトアーク」での対策が実り、7月21日の阪神戦(東京D)で3ラン。翌日のティー打撃で室内練習場に入ると、トス役のスタッフに「トラジェクトアークみたいな感じでトスをお願いします」と珍要望。

阿部監督の勧めで始めたノートも取り続けており「当たれば飛んでいくんでね。打席もこちら側は与えてるし、その中で勉強中じゃないですかね」と指揮官。19試合連続のスタメン起用に応えている。

 巨人移籍後、満塁では7打数3安打、10打点という満塁男に導かれ、チームは勝率5割に復帰。お立ち台では「絶対行くぞ!」と2位でのCS進出への気合をみなぎらせた。約4分の取材で計7度「気持ち」と繰り返した背番号52が、2位死守を目指す巨人を先導する。(内田 拓希)

 【堀内恒夫Point】 リチャードは外角低めの球を当てにいっただけで、あそこまで飛ばすんだからな。一番、手が伸びるコースとはいえ、たいしたパンチ力だよ。変化球で攻められることが増えて、ストレートに詰まることも多くなったけれど、タイミングを外されてもスタンドまで届けられる、魅力的な打者ですよ。9本目か。(投手が)間違って打たれるなんて、失礼なことを言ったこともあるが、もう間違いとは言えなくなってきたね。

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