◆JERA セ・リーグ 巨人6―4広島(9日・東京ドーム)

 マルティネスは東京Dに大歓声を背に、天を見上げた。6―4の9回。

1死から打率リーグトップの小園を153キロ直球で空振り三振に仕留ると、最後はモンテロを直球で右飛に料理した。10試合連続セーブで自身2度目のシーズン40セーブに到達。球団では13年西村健太朗(42セーブ)、08年クルーン(41セーブ)に次ぎ3人目で、中日で43セーブを挙げた昨季に続き史上初めて2球団での40セーブ達成となった。

 「今までの練習や準備の成果。そして何よりチームのおかげだと思うので、チームに感謝したい」

 チームの精神的支柱となっている。8月31日の甲子園での試合前練習。グラウンドに現れるなり、ニヤニヤと笑い、手にしていた大勢のグラブをこっそりフェンスの隅に隠した。グラブを探す大勢を見て、緊迫した9回に立つ表情からは想像もできない、いたずらっ子のような表情で「ひゃっははは」と大笑い。練習中はいつも笑顔で仲間とのコミュニケーションをとる。すっかりムードメーカーにもなっている守護神に、大勢は「中継ぎ陣にとっては、ライデルっていう投手がいることが精神的な支えになっている」。グラウンド内外で仲間たちの絶大な信頼を得ている。

 大勢の言葉を聞いたマルティネスは「自分がそういう支えになっていると言ってもらえるのはありがたい」と感謝。

「チームメートは自分にとって家族のような存在。仲間がアウトを1つでも多く取ってくれて勝てたらうれしいし、ブルペンのチームワーク、一体感というのはあると感じてます」と実感を込めた。“家族”たちに支えられながら、たくましさを増している。

 これでセーブ数は松山(中日)を抜き、リーグ単独トップに浮上。阿部監督は「ものすごい数字だと思うし、あと16試合全部セーブつけてほしい」とさらなる期待をかけた。ライデルは「現実的には厳しいものがあるんですけど」と頭をかきつつ、「16試合投げるぐらいの気持ちと準備は持って毎日臨みたい。本当にプレーオフにいくことだけ一番臨んでいる」と燃える思いを口にした。勝利だけを求めて、最後まで腕を振る。(水上智恵)

 【堀内恒夫Point】 マルティネスは中日時代ほどスピードはなくなってきたが、どの球種も一級品だし、コントロールもいい。そして何より頭がいいよ。スピードが落ちたことを自覚しているんだろう。コースを狙って、低めを意識して投げようという気持ちが見える。

どこの球団の抑えにも負けないNO1のストッパーだよ。彼がいてこその2位だし、CSになっても彼の登板まで持ち込めば絶対的な存在になってくれるさ。

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