◆JERA セ・リーグ 巨人6―4広島(9日・東京ドーム)

 完璧ではなかったが、中山はバットを思い切り振り抜いた。試合前まで今季巨人戦で2戦2勝、防御率0・50の床田を捉えた。

4連打で1―1とし、なお1死満塁。134キロシンカーを打ち返し、右前へ決勝の適時打とした。「いい流れに乗って積極的にいきました。逆転できてよかったです」。5連打目を放ち、一塁ベース上でベンチに向かって下から力強く拳を突き上げた。

 流れに乗った。初回1死一、三塁で岡本が中前適時打。同点に追いつくと、なお一、二塁で岸田も中前安打で続いた。「何とか先輩がつないでくださったチャンスだったので、初球からどんどん打とうと決めて打席に立ちました」。中山のひと振りで勝ち越すと、続くリチャードの満塁弾でこの回一挙6得点。不安定だった戸郷を救う大きな1点になった。

 “秋男”に名乗りを上げつつある。

昨年9月7日のDeNA戦(東京D)では1点を追う9回2死一、二塁で代打で登場し、右前へ同点打。9、10月は打率4割5分8厘と大暴れした。DeNAとのCS最終ステージ第5戦では“プロ1号”の決勝弾。今季は8月31日から8試合連続「6番・ライト」で出場し、28打数10安打、打率3割5分7厘と得意のシーズン最終盤で存在感を増しており、「大事な時期。ここから(状態を)上げていけるように」と意気込んだ。

 優勝は逃したが、「悔しい思いはもちろんありますけど、まだまだ終わったわけじゃない。全員で一日一日全力で戦って、2位をしっかり確保できるように」と目をギラつかせた23歳。最後まで、100%で走り切る。(臼井 恭香)

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