◆JERA セ・リーグ 巨人4―3広島(10日・東京ドーム)

 信じて託した。同点の8回無死一、二塁。

阿部監督は二塁走者の泉口に代走・増田大を起用し、5番・岸田には送りバントではなくヒッティングのサインを出した。「勝負強さも持っていますし、クリーンアップに置いている以上は、と思って打たせました」。勝負どころで迷いは一切なかった。

 2ストライクと追い込まれてからの3球目、速球に食らいついて高いバウンドの投ゴロ。自らは一塁でアウトになり、1死二、三塁と好機を広げる執念の進塁打に、ベンチで拍手を送った。「あれこそチームバッティングだと思うよ」。普段から選手たちに求め続けている状況判断、自己犠牲で流れが来た。1死満塁からの代打の切り札・坂本の決勝犠飛につながった。

 「状況判断できる選手が素晴らしい」と岸田を絶賛した上で、「今の子は分からない子が多いので。明確に教えていこうと思います」とカウントに応じた打撃などに課題が残る若手にも言及して引き締めた。5月以来の4連勝で、17日ぶりの貯金1。「総力戦で昨日、今日と勝てたので、明日もまた日々新たに目先の一勝を取りにいきたい」。

残り15試合。2位死守へ追い風が吹いてきた。(片岡 優帆)

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