◆米マイナー3A オクラホマシティー4―6サクラメント(9日、米オクラホマ州オクラホマシティー=チカソーブリックタウンボールパーク)
ドジャース・佐々木朗希投手(23)が9日(日本時間10日)、“崖っぷち”で猛アピールした。右肩痛からの復帰を目指し、3Aのサクラメント戦で5度目のリハビリ登板に臨み、4回2/3を投げ、3安打3失点8奪三振の力投を見せた。
高々と足を上げ、腕を振り抜いた。朗希渾身(こんしん)の剛速球がミットに突き刺さった。2回1死、5番打者に対するカウント1―2からの4球目。三振狙いの直球は今季最速100・6マイル(約161・9キロ)を計測。惜しくも外角に外れたが、4回までに8三振を奪う圧巻の投球を披露した。
課題だった球速回復を印象づけた。100マイル超は、デビュー戦となった3月19日のカブス戦(東京D)以来だったが、この日だけで6球と連発した。計51球の直球のうち、160キロ超の99・5マイル以上は計12球。前回登板は151・9キロに沈んだ平均球速が、一気に158・5キロと約7キロも上げた。「直球を楽しく投げられた」。
一方で、5回は突如制球が乱れ、3四死球を与えるなど3点を失った。目安の90球に5回途中で到達し、予定された6回を投げきることができず。スタミナ面には不安を残す形となったが、本人は「(5回が)気にならないぐらいに良かった」と手応えを強調した。
一筋の光はのぞいた。リハビリ出場期間は8月14日(日本時間15日)の最初の登板から30日間となる今月12日(同13日)まで。朗希にとって実質、最後のリハビリ登板だった。3日(同4日)時点ではロバーツ監督は「才能は間違いなくあるが、内容が伴っていない。(復帰には)圧倒的な内容が必要で、現状は達していない」と、今季中のメジャー復帰に消極的な姿勢を示していた。だが、まさに朗希の登板中に行われたロッキーズ戦前の監督会見で、剛球を連発したことを報道陣から聞かされると「そうなのか? それは素晴らしい」と顔をほころばせた。
気になる今後について、指揮官は「次の計画は、球団として決める必要がある」と話した。メジャー昇格する場合、ド軍は現状で出場の前提となる40人枠、28人のベンチ入り枠が埋まっており、誰かを外さなければいけない。
◆朗希の今後 負傷者リスト(IL)に入った選手がリハビリのためにマイナーの試合に出場するのは投手は30日間(野手は20日間)まで。この日の登板が最終登板になることが確実だ。
【出場枠】メジャー昇格の場合、出場の前提の40人枠、出場ベンチ入り枠28人に入る必要がある。ドジャースは現時点ですべての枠を使っており、朗希の昇格となれば1人を事実上の戦力外通告(DFA)にするなどして枠から外す必要がある。メジャー在籍5年以上の選手などはマイナー降格拒否権を持っており、NPBのように誰とでも入れ替えられる訳ではない。
【起用法】先発は山本、大谷、カーショー、スネル、グラスノー、シーハンと6枚が好調を維持。
【昇格見送り】アリゾナでの秋季リーグに参加して登板することもできるが、ロバーツ監督はその可能性をすでに否定。その場合はIL入りしたままレギュラーシーズン終了を迎えることになりそうだ。だが、昨季の地区シリーズで60日ILから復帰した千賀(メッツ)が復帰して登板したように、ポストシーズンで復帰する可能性は少なからず残されている。