◆第43回ローズS・G2(9月14日、阪神競馬場・芝1800メートル=3着までに秋華賞の優先出走権)

 今週末の3日間開催の出走馬が11日、確定した。秋華賞トライアルの第43回ローズS(14日、阪神=3着まで優先出走権)では、鷲頭虎太(わしず・こた)騎手(21)が、所属する栗東・井上厩舎で2連勝中のコンドゥイアと重賞初挑戦Vを目指す。

 師匠への感謝の思いを胸に、初の大舞台に挑む。デビュー4年目の鷲頭が北海道で未勝利、1勝クラスを連勝したコンドゥイアで重賞初挑戦Vを狙う。今年3月から師事する井上調教師との師弟コンビで参戦する晴れ舞台。「2戦勝たせてもらってから、すぐにこの(騎乗依頼の)話は内々で聞かされていました。すごくありがたいことですし、井上調教師に感謝の気持ちですね」と喜びをかみ締める。

 我慢の時を過ごした。23年から「騎乗の幅を広げたい、馬に触れる時間を長くしたい」と障害に挑戦。しかし、昨シーズンの5月に飛越する際に落馬し、胸椎を5本骨折する大けがを負った。その影響もあり、年間で1勝のみ。「けがもあって成績が落ちて。自分のなかで結構、迷いがあったというか…」。複雑な心境でプレーしていた時期があったと明かす。

 そんなとき、3月の新規開業を控えた井上師から所属の誘いを受けた。弟子入りしてからの約半年間で障害初勝利を含む8勝。挫折を乗り越え、再び充実の日々を送る21歳は「レース以外でも智史さん(井上師)にいろいろと教わりながら、ここまで成長させてもらっています」とうなずく。

 自身の手綱で全2勝を挙げる相棒に10日の栗東・CWコースでの最終追いでまたがり、6ハロン78秒7(7ハロン95秒6)―11秒7の好時計。「これだけ動けているし、状態はいいと思います。以前は少しきゃしゃだったけど、必要なところが成長してきて軽さも出てきました」と好感触をつかんでいる。

 「この依頼に限らず、僕のためにいっぱい動いて下さっているので。しっかり結果で返していきたいです」と力強く言い切った若武者。師の恩に報いるため、静かに闘志を燃やしている。(山本 理貴)

 ◆鷲頭 虎太(わしず・こた)2003年12月6日、北海道函館市生まれ。21歳。22年3月に栗東・千田輝彦厩舎からデビュー。

24年11月にフリーとなり、今年3月から栗東・井上智史厩舎に所属。JRA通算28勝。163・0センチ、46・8キロ。血液型B。同期は栗東の今村、大久保、川端、小牧、西塚、美浦の佐々木、土田、水沼。

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