◆JERAセ・リーグ 阪神3―4巨人(14日・甲子園

 勢いのまま足を蹴り上げ、絶叫した。甲子園でしか味わえない気持ちを、則本昂大投手(35)が堪能した。

6回2死一塁から、最後は森下を渾(こん)身の外角低め148キロで見逃し三振。自身初の伝統の一戦で、6回2安打無失点とハイパフォーマンスを発揮した。降板直後に救援陣が逆転を許し、移籍後初勝利は幻となったが「先発の勝ちは運。チームが勝つことが一番」と毅然と振る舞った。

 初回から今季最速を3キロ更新する150キロを計測。気迫が違った。3、4、5番も計7の0。チーム打率リーグトップの猛虎打線を手玉に取った。雨天中止の影響で前回から中11日。「純粋に体が元気になった」と出力につなげ「やっぱり甲子園の雰囲気は違う。先発として投げ切れたのはよかった」と2戦連続のゲームメイクにつなげた。

 共同作業も光った。

2歳下の大城と初バッテリー。強気で攻め、要所で6種の変化球を効かせた。2月は宮崎で一緒にゴルフを楽しみ、沖縄でも食事に出かけ結束を深めた2人。「卓三の配球を信じて腹をくくって投げきれた」。6回以上投げて被安打2以下は楽天時代の21年5月19日・日本ハム戦(楽天生命)以来。当時は11勝5敗、144回2/3とフル回転の年だった。

 父の影響で幼少期は巨人ファン。同級生に虎党が多く、小学校に通う間に“黄色”に染まった。阪神のチャンステーマは今でも全て歌えるほど「ゴリゴリ」のファン。FAを行使した昨オフ。もし両球団が同じ契約でオファーを出していたら縦じまのユニホームを選んでいたのか…。答えはノーだ。

「自分みたいな熱烈なファンを静まり返らせた方が気持ちいいから」。並外れた闘争本能こそ、この男の長所。「甲子園は体感、359度阪神ファン。だからこそ抑えた時のため息は格別」。甲子園では自身17回連続無失点となった。

 今カードからローテ再編で6連戦の頭を託された。その初戦で熱投し「タイガース相手に自信になった」。昨季は8勝17敗と惨敗した宿敵。新・虎キラーに名乗りを上げる93球だった。(堀内 啓太)

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