バレーボール男子日本代表エース・高橋藍(24)が、来季はポーランド1部(プラスリーガ)の強豪クラブ「ルブリン」に移籍することが24日、複数の関係者の話で分かった。2季プレーした国内最高峰「大同生命SVリーグ」のサントリーは同日付で、今季限りでの退団を発表した。

サントリーを昨季は初代王者、今季は主将としてレギュラーシーズン初優勝に導いた。3度目の五輪出場を目指す28年ロサンゼルス大会での悲願の金メダル獲得に向け、世界3大リーグで飛躍を期す。

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 藍が新しい挑戦に出る。所属するサントリーを通じて今季限りでの退団を発表した藍は、チームを通じて「この2年は今後にも繋(つな)がる大きな経験にしていきたいと思います。沢山の方々に支えてもらえた2年間でした。皆さんの支えがあって今の自分がいます。これからも皆さんにさらに素晴らしい景色を見せられるよう頑張ります」とコメントを寄せた。

 プロではイタリア1部「セリエA」で3季、国内の大同生命SVリーグで2季プレー。新天地は、セリエAや日本のクラブを含む複数の獲得オファーが届いた中で、プラスリーガで2024―25年シーズンに優勝した強豪クラブ、ルブリンに決めたという。加入はプラスリーガが閉幕する5月以降に発表される見込み。

 ルブリンは、世界ランク1位のポーランド代表の主軸で身長201センチのウィルフレド・レオン(32)らを擁して24―25年シーズンにリーグを初制覇した強豪。世界最高峰のセリエAには劣るものの、プラスリーガも22年に「ケンジェジン・コジレ」が欧州チャンピオンズ・リーグ(CL)を制するなどハイレベルだ。

 藍も海外選手の高いブロックに対する攻撃、高い打点からの強いサーブへの対応は、課題に挙げており、攻守の技術を磨くのに格好の場となる。セリエAで2度目の挑戦も選択肢にあった中で、成長のための「挑戦」を大事にする藍は、初めて経験するコートを選んだ。

 28年ロサンゼルス五輪での金メダル獲得を掲げ、2季過ごしたサントリーで成長した。昨季SVリーグで初代王者、主将の今季はレギュラーシーズン(RS)を40勝4敗で初制覇。世界的に高さは劣るが、ブロックとレシーブの連係で高精度を誇り「ブロックを気にしながら、レシーバーまで見て打つ、緻密(ちみつ)なバレーボール」を学んできた。

 今季SVリーグはRS1位で臨むチャンピオンシップ(CS)を残すのみ。5月9日からはCS準決勝がホームの大阪で控える。「目標の連覇を達成したい」と話していた藍。主将として最高の置き土産を残し、新たな道を進む。

 【プラスα】藍は五輪は初出場した21年東京、24年パリはともに7位。悔しさを糧に世界との差を埋めるための試行錯誤を重ねてきた。日体大時代に海外スター選手が集うセリエAで世界を経験し、卒業後は国内SVリーグで緻密なプレーを磨いた。

スパイクをブロックの間に打ち抜いても、必ずレシーバーがいる「粘り強さは(世界より)日本の方がレベルが高い」とコース、速さの的確な一打を極めてきた。プラスリーガでは蓄積した経験をぶつけ、28年ロス五輪へ世界屈指の守備に加え、攻撃力の向上を図る。日本では並行してパリ五輪前に痛めた左足首の治療、体脂肪率12%から9%の肉体改造で土台も作り上げた。高さやパワーも備えたプラスリーガ屈指の海外選手を相手に、技術の幅を広げる。

 ◆ポーランド1部(プラスリーガ) 例年10月頃に開幕し、5月頃に閉幕。イタリア1部(セリエA)、ブラジル1部(スーパーリーガ)に並ぶ世界3大リーグ。世界最高峰は欧州名門クラブが多く参加し、スター選手が最も集まるセリエA。

 ◆LKPSルブリン ポーランド東部のルブリンを拠点とし、2013年に創設。ホームアリーナのハラ・グロブスは4500人収容可能。21年にトップリーグのプラスリーガに昇格し、24~25年シーズンに初優勝。25年5月にはポーランド・スーパーカップを制し、今年も決勝に進出している。25年11月ポーランド・カップで優勝。

ヘッドコーチのステファン・アンティガ氏は、現役時代にフランス代表で02年世界選手権銅。13年から同国代表監督を3年間務め、14年の世界選手権で優勝。

 ◆藍の今後の日程 5月9日から国内SVリーグ準決勝。代表活動は6月からの国際大会ネーションズリーグが始まり、優勝チームが28年ロス五輪切符を獲得するアジア選手権(9月4~13日、福岡)、愛知・名古屋アジア大会(9月19日開幕)を控える。

 ◇高橋藍のあゆみ

 ▽2001年9月2日 京都市に生まれる

 ▽08年 小学2年時に2学年上の兄・塁に続いて「京都ヤングバレーボールクラブ」でバレーを始める。

 ▽20年1月 京都・東山高3年時にエースで主将として全日本高校選手権(春高バレー)に初出場。決勝で駿台学園(東京)を3―0で破って同校初の頂点。MVPにも輝いた

 ▽同2月 高校生では唯一の日本代表に初選出

 ▽同4月 日体大に進学。

 ▽21年5月 中国との国際親善試合で先発出場し、代表デビューを飾る

 ▽同8月 東京五輪に初出場。主将の石川祐希(30)の対角を担って日本の29年ぶりとなる7位入りに貢献

 ▽同11月 イタリア1部・セリエAのパドバと契約日体大に在学しながら、異国でプレー

 ▽23―24年季 セリエAのモンツァに移籍

 ▽23年7月 ネーションズ・リーグで日本男子初の表彰台となる銅メダルを獲得

 ▽24年4月 モンツァの一員でセリエAのプレーオフに臨む。日本人では19季ぶりの決勝進出し、準優勝。

 ▽同5月17日 日体大を卒業し、学位記と理事長賞を受け取る

 ▽20日 日本のサントリーサンバーズ大阪に入団発表。

 ▽同6月 ネーションズ・リーグで日本男子初の銀メダル

 ▽同8月 パリ五輪に2大会連続出場し、7位

 ▽25年5月 大同生命SVリーグのチャンピオン・シップを制し、初代王者に輝く

 ▽26年4月17日 サントリーとして契約2季目は、主将としてレギュラーシーズン優勝に導く

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