J2藤枝は12日、16日の磐田戦に向け焼津市内で調整を行った。Jリーグ初先発から3戦目となった10日の松本戦で、PK戦の末に自身初勝利を果たしたGKジョーンズ・レイ(24)が、クリーンシートでの勝利を誓った。

 25年に立正大から加入。180センチの守護神は、昨季は第2GKとしてベンチ入りが続いた。今季も開幕から控えだったが、守護神のGK北村海チディが特別大会期間中に負傷離脱。「出番がやってくるかなと思っていた」と振り返る。だが実際に起用されたのは、自身より年下の19歳GK栗栖汰志だった。第6節・大宮戦から8試合連続でゴールを守る姿を、ピッチサイドから見つめ続けた。「悔しかったですよ。でも、そこで曲がっていたら選手として終わり」。感情を押し殺し、自身を見つめ直した。持ち味のビルドアップに磨きをかけ、長短のパスを使い分けるゲームメークやシュートストップ前の構え方など、基礎を徹底的に磨いた。

 忍耐強さは、プロ入り前に培われてきた。米国人の父を持つレイは、埼玉出身で大宮の下部組織育ち。

小学3年まではボランチが本職だったが、大宮のセレクション時にGKが手薄だったため、経験のあったGKでもプレー。両方で評価され、加入につながった。小学5年から本格的にGK専任となったが、ジュニアユース時代には先発で出られない日々も経験した。世代別代表にも選ばれた一方で、常に先発を約束されていたわけではなかった。「その悔しさが、積み重ねる強さになっている。今も生きています」。サブメンバーであっても「勝利のために何ができるか」という考えを根底にしてきた。

 Jデビューは5月2日の長野戦。0―0から突入したPK戦の末に敗れたが、25年の天皇杯で出場した時とも違う感覚があったという。「(試合前に)相手選手と握手した時は夢のようだった。やっと出番が来たなと思いました」と感慨深げに話した。続く6日の福島戦も1失点に抑えたが、再びPK戦の末に敗れた。

3試合連続でPK戦にもつれ込んだ10日の松本戦では、ついに勝利をつかみ取った。「ここで勝たなきゃいけない重圧もありました。でも楽しみな気持ちもありましたよ」

 自身初勝利を糧に、16日の磐田との“静岡ダービー”へ向かう。「緊張しすぎず、楽しみながらゼロに抑えることを第一優先にしたい。後は攻撃陣の爆発を待つだけ。絶対に点を取ってくれると思うので、仲間を信頼して勝ちたい」。耐えて積み上げてきた苦労人が、守護神争いに名乗りを上げる。(伊藤 明日香)

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