アマチュア野球界の指導者が持つ育成論、指導論に迫るインタビュー「野球導」。第3回は4月から活動をスタートさせた四谷学院(茨城)硬式野球部の本村幸雄監督(55)。
16年ぶりに戻ったアマ球界で、本村監督の挑戦が始まった。四谷学院は4月から1年生15人が全寮制で活動をスタートさせた。
「先輩がいないので、ルールも野球の取り組み方も全て自分たちで作っていかなきゃいけません。伝統を作る1期生なので、良くも悪くも自分たち次第の中で意識高く取り組んでくれています。文武両道がモットーなので、勉強もすごく大変。練習時間も限られているので、通信制のイメージである『野球しかやっていないんじゃないの?』というチームではありません」
投手陣は午前6時からトレーニングを開始し、野手は同7時から清掃活動。その後、朝食を食べて同9時から授業が始まる。個々の学力に応じて用意された教材を使ってタブレット端末で授業を受け、平日の練習は午後2時半から3時間。夕食後には週に4回、リポート提出のための学習時間が1時間設けられている。
チーム目標は甲子園優勝。学業面では都内の難関私大進学を目指す選手もいる。自らノルマを記した長期目標設定シートや、日々の課題や反省を書き出す日誌にも取り組み、文武両道の「新たな高校野球」を目指して濃密な一日を過ごす。
「野球の練習もカリキュラムの一つ。イレギュラーなことがないので、タイムマネジメントはやりやすいと思います。今夏の甲子園決勝は8月22日の土曜日。そこに向けて全員が同じスケジュールで動くので、すごく目標が立てやすい。ゴールにたどり着くかどうかはやってみなければ分からないですが、すごくやりやすい環境にはあります」
再び高校野球での挑戦を決めたのは、プロ野球で得た知見をアマ球界に還元したいという思いからだ。
「プロで15年間育ててもらったのに、自己満足で終わってしまったら意味がない。そこでこのような機会をいただき、僕が学んだことを高校野球に落とし込むことができるんじゃないか…と感じたのが四谷学院でした。少人数制、全寮制と環境も整っていて、まさに通信制のカリキュラムが僕がやりたいことに合っていたことが一番大きいです」
戦いの場は変わっても、教育の軸は変わらない。
「“自立型の人間”が基本的な教育理念の第一目標。
ドジャース・大谷翔平投手ら、世界に羽ばたいたスターの成長過程を間近で見てきた。唯一無二の経験を、惜しみなく高校生に伝えていく。
「活躍する選手と、そうでない選手の差が見られた経験は大きかった。一番大事なのは自分で考えられること。そして、やりきれる力があることです。2軍では『やらなきゃ』と思っていても遊んでしまう子と、『野球で飯を食うんだ』と必死にやる子に二分化されていく。やろうと決めて、最後までやることを継続したのが大谷選手です。プロでは差が付くと戦力外になりますが、高校では2年半は一緒にできる。お互いが頑張って成長していくことは、アマチュアだからできることだと思っています」
人としてどうあるべきか―という指導も重視する。
「一番最初のミーティングでは、『時を守り、場を清め、礼を正す』という生活三原則を伝えました。これができれば世の中では生きていけます。
5月に夏の茨城大会への出場が正式決定。ナインには、高校野球の厳しさも包み隠さずに伝えている。
「4月に『甲子園は死ぬ思いで3年間やってきた人たちが狙っていいところなんだ』と伝えました。走塁や準備、あいさつなど100%でやれることは、絶対に手を抜かせません。それが今回の目標です」
異例のキャリアを歩む指揮官が描く夢とは―。
「日本一を取りたい。どんなに周りから無理と言われても、ずっと日本一と言い続けます。その気持ちがなくなったら、高校野球の指導者をやめたほうがいい。高校野球の頂点は甲子園の優勝ですから、みんなで目指せばいい。その信念は曲げていないということは、伝えていきたいです」
【取材後記】 四谷学院で「新たな高校野球」が動き出していた。1期生を15人としたのは全員に役割を持たせ、3年時に全員をベンチ入りさせるため。中学の全国大会経験者が12人と能力を持つ選手に対し、「自分の役割に対して取り組めるメニューを与えることがウチのやり方。
30年以上の指導者人生では、居場所を失った球児が野球をやめるケースも見てきた。「そうならないような学校にしたいと思った。みんながそうしてくれたら、また甲子園ももう少し盛り上がるんじゃないか」と、熱い挑戦心を胸にグラウンドに立つ。今夏のチームモットーは“一を大事に”。昨年まで共闘した日本ハム・稲葉2軍監督から授かった言葉だ。四谷学院にとっての“一”となる今夏、その戦いに注目したい。
◆本村 幸雄(もとむら・ゆきお)1971年2月9日、大阪府生まれ。55歳。千葉・習志野では2年時に甲子園出場。日体大を経て、99年から神奈川・光明学園相模原の野球部監督を務める。
◆四谷学院高等学校 茨城・筑西市に本校を置く広域通信制の私立校。予備校および個別指導塾の運営などを行う、株式会社四谷学院が設立し、25年4月に開校。全国31か所にキャンパスがあり、コースは「進学/理系進学コース」「教養コース」「個別コース」「Webコース」の4つ。硬式野球部は26年4月に創設。教育理念は「だれでも才能を持っている」。










![Yuzuru Hanyu ICE STORY 2023 “GIFT” at Tokyo Dome [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/41Bs8QS7x7L._SL500_.jpg)
![熱闘甲子園2024 ~第106回大会 48試合完全収録~ [DVD]](https://m.media-amazon.com/images/I/31qkTQrSuML._SL500_.jpg)