◆第108回全国高校野球選手権大会最終日 ▽決勝 智弁和歌山4―3健大高崎(22日・甲子園

 智弁和歌山の5年ぶりの全国制覇を支えたのは中谷監督の妻・千保子さん(42)だ。2019年9月に完成した野球部寮「智翔館」の寮母を務め、食事面を中心に選手をサポートする。

12歳の娘と2歳の息子の子育てをしながら、監督と二人三脚で理想のチーム作りを行う千保子さんの、やりがいとは?

 寮の中に、ひときわ明るい声が響く。「今日はどうやったん?」。子どもたちの思いを聞き出す。アットホームな空間の中心にいるのが千保子さんだ。

 寮が出来たのは中谷監督就任1年後。指揮官の念願だった。それまで選手はアパートなどで下宿生活。近所の食堂やコンビニでの食生活を変えようと、監督が自費で寮を建てた。「子どもたちを守ることと食事の面が一番でしたね」と千保子さん。正月休みを除く年360日、栄養を考え朝昼晩の3食に加え、補食も準備。「やってみて、食事を提供することがこれだけ大変なことだと初めて分かりりました」と振り返る。

 それでも続けられたのは「中谷仁のやりたいことを形にしていくのが楽しいから」。

智弁和歌山は今大会の出場チームで最重量の平均体重83・5キロ。愛情を込めた食事が強力打線の源となった。

 2人の子育てをしながら、選手をサポートする。目の回るような忙しさだ。「(監督から)歯の浮くようなねぎらいの言葉はないですけれど、中谷は家のことをめっちゃします。家事、洗濯、育児も全部します」。その姿を見て、選手も率先して手伝いをしてくれることが増えた。「たぶん、(みんな)いい男になると思いますね」と笑った。

 「あれだけ真っすぐな人はいないと思います。子どもたちを日本一にしたいという基準はいつもぶれません」。夢を実現するために奔走するする毎日。日本一となった子どもたちの凱旋を笑顔で出迎えるつもりだ。

(高柳 義人)

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