今夏の去就に注目が集まっているヴェルナー photo/Getty Images
チラつく移籍でキャリア狂った先輩の姿
あの移籍さえなければ、彼は長い間ワールドクラスとして暴れ続けていたかもしれない。ファンにそんなことを思わせるキャリアを送ったのが、昨季サガン鳥栖で現役を引退した元スペイン代表FWフェルナンド・トーレスだ。
アトレティコ・マドリード、そしてリヴァプールまで彼のキャリアは順風満帆だった。類稀なるスピードで次々と相手を出し抜き、気がつけばゴールを奪っている。全盛期のトーレスはまさに“誰にも止められない”FWだったと言っていいだろう。しかし、2011年冬のチェルシー移籍後はパタリとゴールラッシュが止まり、以降引退するまでかつての輝きを放つことはなかった。
移籍によって運命が変わった選手の代表格として、今でもファンの間で話題となるトーレス。ファンとしてはそういったキャリアを辿る選手をもう見たくないだろう。しかし。かつてバイエルン・ミュンヘンなどで活躍したオーウェン・ハーグリーブス氏は、ドイツで躍動する24歳がトーレスと似たようなキャリアを送ってしまうのではないかと心配する。今夏の移籍が噂されているRBライプツィヒのドイツ代表FWティモ・ヴェルナーだ。
「ヴェルナーはどこへ行ってもゴールを奪い続けると思う。でも私は彼の決断が自身のキャリアを下降させてしまわないか心配だよ。フェルナンド・トーレスがリヴァプールを去った時、我々は目の当たりにしたはずだ。

チェルシー移籍後はなかなか結果を残せなかったトーレス photo/Getty Images
ハーグリーブス氏は英『BT Sport』に対してこのように語っている。しかし、同氏はその上で移籍するならばどこがヴェルナーにとって最適なクラブとなるのかについても言及。カウンター志向のリヴァプールであれば“トーレス化”は避けられるかもしれないと、次のように続けた。
「ヴェルナーは超がつくほど爆発的だ。相手が誰であろうとそのスピードで引き離すことができる。最終ラインの背後にスペースを作れるチームなら彼のスタイルに合っているんじゃないかな。リヴァプールであればそれができるはず。彼らはカウンター型でトランジションが他よりも優れている。
今季はポゼッションスタイルの要素も取り入れているリヴァプールだが、それはボールを奪いにきた相手のラインを上げさせるためのもの。相手最終ラインの裏にあるスペースを利用するヴェルナーにとってはマージーサイドのクラブこそが理想郷と言えるか。サッカー選手にとって移籍の決断はいつも難しいものだが、ヴェルナーは自身にとって最適な選択をしてほしいところだ。
●電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)最新号を無料で公開中!
電子マガジン最新号は、「欧州サムライ伝説」。中田英寿、小野伸二、中村俊輔など……、欧州で日本人フットボーラーの道を切り開いたパイオニアたちの偉業を、貴重な写真とともに振り返ります。
http://www.magazinegate.com/theworld/