トウシルにて「知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識」「 知らなきゃ損する!今日から使える税金のキホン」の二つの人気連載を執筆している税理士の足立武志さん。ご自身も日本株メインでがっつり投資に取り組む個人投資家でもあります。

後編では、個人投資家としての一面を伺っていきます!


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買った翌日にストップ高!「自分は投資の天才だ!」と思ったが…

トウシル:新聞の株価欄を食い入るように見ていた足立少年が(笑)、実際に投資を始めたのはいつからですか?


足立さん:社会人になってすぐですね。上司が株式投資好きで、株価チャートの本をよく見ていたんです。その方が、本当に面白そうに株式投資についてしゃべるもんだから、自分ももともと興味があったし、やってみよう!と。


 当時はネット証券などなかったので、対面証券で口座を開いて、何にも勉強しないで、自分のカンだけで選びました。


トウシル:最初に買った銘柄って覚えていらっしゃいますか?


足立さん:合計3銘柄を購入しました。30万円ほどの投資金を三つに分けて投資を開始しました。


トウシル:初陣はいかがでしたか?


足立さん:それが、3銘柄買ったうちの一つ、今はもう経営統合で上場廃止になった企業なんですが、「日本金属工業」という銘柄が、買った翌日にストップ高になり、大勝利です!


トウシル:それは好調な出だしですね! なぜその銘柄を選んだんですか?


足立さん:チャートを見ると、株価が上がったり下がったり、とにかく上下の幅が激しい銘柄だったんです。「安いときに買って、高くなったときに売ればよいのでは?」と単純に考えて、ちょうどそのときすごく下がっていたんですよ。三つとも、その上下の差が激しいものを選んだと記憶しています。そのうちの一つが当たりました。


トウシル:最初からキャピタルゲインを狙っていたんですね。かなりの…ギャンブラーですね。


足立さん:そうですね(笑)。

今でこそ連載で「決算をちゃんと見ろ」「自分が決めたルールを守れ」とか書いてますが、当時は何も考えてないですよ。安く買って高く売って利益を出そう!という一点張り(笑)。


トウシル:「投資、楽勝!」って思いませんでしたか?


足立さん:思いました(笑)。こんな簡単に上がるもんなんだなって。だけどやっぱりそれはビギナーズラックで、その後はとんと勝てずに、ダラダラとカンに頼った投資をしていました。


1カ月で4,000万円が吹っ飛んだリーマンショックからの復活劇 税理士投資家・足立武志さんインタビュー後編
今でこそ「ルール厳守、数字が全て」のロジカルな投資術で着実に株式投資をしている足立さんだが、「初心者時代は、業績も見ず、上下幅が激しい銘柄をカンで選んでダラダラと負けていました」。今の足立さんなら過去の自分に大説教をしているはず

トウシル:すみません。ちょっとホッとしました(笑)。でも最初から「渋めの中小型株狙い」で、「チャートは見ていた」というのが、やはり認知度の高い銘柄や身近な銘柄を買おうとしちゃう初心者と少し違いますね。


足立さん:でもしょせんギャンブル的投資ですよ。しばらくはマイナスが続いたと記憶しています。


トウシル:すみません。ますますホッとしました(笑)。


足立さん:ただね、損切りだけは初めからできていたんです。値下がりした株をズルズル持ってる「塩漬け株」だけはなかった。


トウシル:それはスゴイ! 初心者が必ずといっていいほど足を取られる「あり地獄」の一つなのに。どうして損切りできたんですか?


足立さん:自分でもよく分からないのですが、損を抱えたまま持ち続けるというのが、性格上、耐えられないんですね。ただ、その失敗で、やっと公認会計士・税理士としての経験が生きてきます。「ちゃんと業績見たほうがいいな」と。


トウシル:そうですよね? 業績や社長さんの腕力を長年見てきた足立さんも、失敗して初めてそこへ到達したんですね。


足立さん:やっぱり身銭を切って痛い目を見ないと気づかないことって多いです(笑)。しかも株価と業績が必ずしも連動しないこともある、ということを知りました。会社四季報で増収増益予想なのに、株価収益率(PER)は低く株価が割安に見える銘柄を買ったこともありましたが、全然株価が上がらない。それどころか株価は下げ続けている。


 そういう企業はだいたい次の会社四季報で業績を下方修正しているんです。

割安っていうだけで買っちゃダメだ、っていうことに気づいたのが30歳手前くらいですね。


 その後、ITバブルがはじけるんですけど、幸いなことにその時はそんなにお金を持っていなかったので、光通信(9435)だとかソフトバンク(9434)とかのスター銘柄は高額すぎて買えなかったから、被害を被らずに済んでいます。


 潮目が変わったのはその後です。ITバブル崩壊後、多くの銘柄の株価がかなり安くなりました。そのすきにコツコツ買い集めていた銘柄が、2005年ごろ、小泉バブルでぐんぐん景気も株価も上昇して、スゴイ額になった。億の世界が見え始めて、正直、「勝った!」って思いました(笑)。


1カ月で4,000万円の損失で、投資スタイルが変わった

トウシル:(笑)。足立さん、案外単純ですね(笑)。


足立さん:その時はね、まだギャンブル的感覚の投資だったから(笑)。ただ、2008年に、1カ月で4,000万円を吹っ飛ばす、という衝撃の事件が起こってから、僕は変わりました。


トウシル:うーむ。リーマンショックですね。


足立さん:その通りです。

いつもなら塩漬けを避けて、下がり始めたらすぐ売っちゃう、というルールを守れていたのですが、とある投資情報サイトに書かれていた「過去10年の株価を見ると、そろそろ下げ止まる水準だ。買い向かってもいいぐらいだ」と書いてあって、それを信用してしまったんです。現物だけでなく信用取引もしていましたから。


 ところが、10年に1度どころではない、100年に1度レベルの大暴落で一向に株価が下げ止まらない…。1カ月で4,000万円が吹っ飛び、目が覚めました。1日で1,000万円が吹っ飛んだ日もあります。とにかく投げ売りして損失確定し、なんとか整理できた時には資産は半分ほどになっていました。それでも逃げ切れただけ、まだマシです。


1カ月で4,000万円が吹っ飛んだリーマンショックからの復活劇 税理士投資家・足立武志さんインタビュー後編
1カ月で4,000万円が吹っ飛んだリーマンショック。最悪な時には、1日で1,000万円が溶けるのを焦りながら見ているしかなかった。「最後は投げ売りで逃げ切りましたが、全財産がなくなるかも、という当時の恐怖心は忘れられません」

トウシル:その時の心境ってどうでしたか?


足立さん:ランチで店に入っても、食事も喉を通らなかったです。「全財産がなくなるんじゃないか」という恐怖心は今も覚えています。その後しばらくは株式投資をする気になれなくて、半年ぐらいかな…、市場から離れて過ごしました。やる気になれないですよ。

チャートも見ないし日経平均株価もチェックしない。口座も見ない…。しょんぼりです…。


トウシル:足立さんでもそういうことがあるんですね…。でもその失敗から学んだことを教えてください。


足立さん:学んだことはズバリ一つ「どんなことがあっても、自分の決めたルールを絶対に守る」ということです。他人の言うことを信じて、自分のルールを破ったからこんなことになった。たとえ損をしても、自分のルールにのっとって損をしたのであれば心境も違います。人の言うことは信じない。自分のルールを守る。この二つを堅く決意しました。


トウシル:今の足立さんは、「25日移動平均線を超えたら買う。

割り込んだら売る」という明確なルールに基づいて、情を交えずに、ある意味マシーンのように売買して成功しています。連載でも常に「自分が決めたルールを守れ」と主張していらっしゃいます。全てはこの、痛すぎる経験があったからこそなんですね。


足立さん:はい。その通りです。ルールは「25日移動平均線」でなくても構わない。もっと長期の75日移動平均線でもいいし、週足のチャートを使ってもいい。上下幅も、5%でも10%でも構わない。買い値の〇%下がったら売る、など株価で線引きしてもいい。ご自身で考えてルールを決めて、それを必ず守る、ということを徹底すればいいと思います。


 株価が反転して上昇したらもう一度買い直せばいい。一番いけないのが、「このまま売らないで持っていたら上がるかも」という未練に引きずられて、塩漬け株をつくることです。


トウシル:SNSやYouTubeやトウシルも含めて、今は投資やお金の情報が飛び交っています。内容もさまざまで不確定要素が大きい。投資詐欺なんかも増えています。「自分のルールを持って、何があってもそれを守る」ができていれば、大きなトクはしなくても、納得のいかない損失を被ることはないと思います。


足立さん:その通りです。それに加えて、銘柄選びをする際、できるだけ長期目線でその銘柄をチェックすることをおすすめしています。


 例えば数年単位でさかのぼって上昇しているように見えても、数十年単位でチェックすれば、この銘柄の今の急騰は長続きしなさそうだ…と見えてきたりします。業績も最近の決算だけを見ないで、できるだけ長期で増益基調が続いているかどうかを見るべきです。


大型日本株のキャピタルゲイン狙いを貫くワケ

トウシル:そんな足立さんの今のポートフォリオを教えてください。長期で業績も株価もチェックした厳選銘柄が残っているのではと思うのですが、全部日本株ですか?


足立さん:ほとんど日本株です。投資信託はNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の非課税枠の範囲内だけですね。保有しているのは、今は大型株が多いですが、マーケット環境によって中小型株を中心とする時期もあります。株価のトレンドに従って動く「順張り」が基本で、それを外れることはありません。


トウシル:大型銘柄だと、長期保有で、配当などのインカムゲイン狙いの投資家さんが多いのですが、足立さんは売却して利益を得るキャピタルゲインがメインですよね?


足立さん:基本はそうです。上昇している限りは保有を続けますが、下降トレンドになったら売却します。保有を続けた結果、大きく下落してしまうことを避けるようにしています。どんなにいい銘柄でも、25日移動平均線を上回ったら買い、下回ったら売ります。


 潔く損切りできなくて、「いつか取り戻す機会があるかもしれない」とつい思っちゃう方も多いと思うんですが、それが塩漬け株の発生につながってしまいます。それだったら売却で得た資金を他に回して利益を取りに行ったほうがいい。


トウシル:そういう意味では、中小型株のほうが株価の上下があってキャピタルゲインを得やすいのでは? 中小型株には投資しないんですか?


足立さん:中小型株に資金が集まるようなときは手掛けますが、けっこう乱高下しやすいので、取れる時は大きいけれど売買のタイミングが難しいですね。放っておくと塩漬け株にもなりやすいですし。


 例えば今、生成AIセクターがブームになっていますけれど、これがこのままAIが進化すると、AIに業務をとってかわられる銘柄はボロボロになってしまいます。


 こんなに生成AIが伸びるなんて5年前には予測もできなかったはずです。下手に「この会社は将来伸びる!」と決めつけて、ガマンして持ち続けた結果塩漬けにするより、自分で決めたルールを外れた銘柄は容赦なく手放す。これを続けていれば、大負けはまずしないと思います。


トウシル:優待銘柄はまったく興味ないですか?


足立さん:ないです(きっぱり)。そこにお金をかけるくらいだったら設備投資や商品開発など、将来の利益のための種まきにお金を使ってもらったほうが、結果的に個人投資家にとってはうれしいと思います。同じ理由で、高配当が理由で選んでいる銘柄もありません。


トウシル:配当も考慮ナシですか?


足立さん:はい。株主に還元しないで、その分、企業価値を増すための投資にお金を使う企業が好きです。配当や優待って、実質、企業のキャッシュを外に放出しちゃってるので、企業価値としてはマイナスだけれど株価はなぜか上がる。でも長期的には将来の種まきをするかどうかは、株価の大きな差になって表れると思います。


日経平均乱高下、税理士投資家が買った銘柄は?

トウシル:2026年4月、日経平均が乱高下して、足立さん的には買いタイミングと売りタイミングが交互に訪れたと思います。このタイミングで買った、または買い増した銘柄はありますか?


足立さん:ありますよ。フジクラ(5803)、あとはキオクシアホールディングス(285A)などです。特に、キオクシアHDは、4月から日経平均株価を構成する225銘柄の一つに採用され、株価も急上昇している、時価総額が10兆円ある大型株です。


 投資信託を運用しているファンドマネージャーの立場でも、株価指数への影響度が高いため、運用銘柄に組み入れざるを得ない「シンボルストック」になりつつあるといえます。


トウシル:売った株はないですか?


足立さん:25日移動平均線を割ったものは売りました。いつものルール通りですね。


トウシル:足立さんは、投資に「期待」や「好き」「嫌い」みたいな感情を乗せることは本当にないんですね。


足立さん:もちろん買う時は、将来の株価上昇に期待しますよ。でも売買ルールには一切感情をいれないようにしています。それが大きな失敗を避ける秘訣(ひけつ)だと思っているので。


トウシル:投資って楽しいモノじゃない、という結論になりそうなんですが(笑)…それで合ってますか?


足立さん:そんなことないですよ(笑)。私は株式投資が好きで、楽しんでいると自分でも思うんですが。投資が楽しいのは勝つからです。私も含めて、「負けても楽しい」って人はいないと思う。


「自分の好きな企業の株を買え」という人もいますが、もしその企業を推したいなら、企業の製品を買ったりサービスを利用したりすればいいんです。それと株式投資とは別物。期待値があるなら株式を買えばいいけれど、単に好きなだけなら、その企業にお金を落とせばいいだけでしょ。


トウシル:確かに…。推し活みたいなノリで投資をしていると、判断を誤るし誰かの意見に流されたりもしがちですね。


足立さん:はい。私は投資塾も運営しているんですが、連載や塾を通して言いたいことは「自立した投資家になろう」ということなんです。自分で選び、自分で判断して動ける投資家が、成功する投資家です。


トウシル:すばらしい…。確かにそのとおりですね。春から新たに投資を始める人や、NISAで投資を始めて次の手を考えている人が、しっかり地に足をつけて、「自立した投資家」になるために、今後も連載記事を期待しています! 本日はありがとうございました。


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▼前編はこちら

算数ドリルは秒で終了!在学中に公認会計士資格を取得!税理士投資家・足立武志さんインタビュー前編


(トウシル編集チーム)

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