江戸川・旧江戸川で隔てられた東京と千葉のあいだに新しい橋を架ける事業が具体化する見込みです。かねて橋が少ないといわれていた都県境、実は他にも架橋の計画があります。

昭和40年代からの計画がようやく実現

 東京と千葉を結ぶ新しい橋を架ける事業が具体化しそうです。千葉県が2022年2月現在、「旧江戸川橋梁(仮称)新設事業」について、事業化前のパブリックコメント(意見公募)を行っており、2022年度から事業着手の見込みです。

 新たな橋は、東京都江戸川区と千葉県市川市を隔てる旧江戸川の「押切橋(仮称)」です。都営新宿線の瑞江駅エリアと東京メトロ東西線の行徳駅エリアを結ぶもので、今井橋の上流2kmに架かります。

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中央手前が旧江戸川最下流の舞浜大橋(画像:Google Earth)。

 これにより両地区の交流が活発になり、千葉側では、行徳地域が都営新宿線の利用圏内になることがメリットとして挙げられています。

「橋の都市計画自体は昭和40年代にできています。千葉側は用地買収にご協力いただく箇所がありますが、東京側では準備ができていると聞いています」(千葉県道路整備課)

 東京側では柴又街道に接続、千葉側では行徳駅から旧江戸川へ延びる市道に接続し、ちょうど行徳駅入口交差点から高架が始まる計画だそうです。事業期間は2031年度までとされています。

 現在、今井橋から上流に架かる一般道の橋は、約8.0km離れた国道14号の市川橋です。途中の江戸川水閘門と江戸川大橋も渡れますが、前者は歩行者と自転車のみ、後者は京葉道路の橋で自動車専用となっています。

 このため、今井橋などに交通が集中するほか、行徳市街地から江戸川病院への救急搬送も迂回を強いられていました。

ほかにもある東京~千葉の架橋計画

 かねて江戸川や旧江戸川は、「橋が少ない」と言われてきました。千葉県道路整備課も「既存の橋に交通が集中して渋滞が起きている」と話すほか、新たな架橋は、災害時の物資輸送や、帰宅困難者の対応としても必要とされています。

 都県境ではないものの、市川市では2019年に江戸川の新たな橋「妙典橋」が開通したばかり。これは外環道の千葉区間(三郷南~高谷JCT)に関連した事業だったといいますが、次なる橋として、今回の「押切橋」の事業に着手する側面があるということです。

 実は、東京都の都市計画ではほかにも、江戸川・旧江戸川に橋を架ける計画があります。

 ひとつは旧江戸川下流、浦安橋と舞浜大橋の間の「堀江橋(仮称)」です。

東京側は都道450号「清砂大通り」、浦安側は「さくら通り」を結びます。どちらの道路も中央に空間があり、架橋の準備ができているのでは、といった印象も。地元議会などでも議論されています。

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堀江橋(仮称)の架橋予定地。左が東京都、右が千葉県。導入空間は確保されている(Google Earthの画像を加工)。

 もうひとつは江戸川の江戸川大橋(京葉道路)の北側、江戸川区上篠崎と市川市大洲を結ぶ「大洲橋(仮称)」です。今回事業化される見込みの押切橋と市川橋のちょうど中間にあたります。ただこちらは、橋に接続する予定の都市計画道路が未整備で、実現は遠そうです。

 ちなみに江戸川では、さらに上流の埼玉県三郷市と千葉県流山市を結ぶ「三郷流山橋」の整備も進んでいます。今後少しずつ、橋が増えていきそうです。

※一部修正しました(2月20日13時24分)。