中国では近年、テーマパークが急速に発展している。
河南省開封市の「清明上河園」では、中国北宋時代の画家・張択端の作品「清明上河図」の場景が再現されており、当時の街並みや茶館、わらぶきの民家などを見ながら歩くと、絵の中を歩いているような気分に浸ることができる。
山東省済寧市の水泊梁山は、忠義堂で契りを結んだり、疾走する馬の上から矢を的に射る流鏑馬を体験したりといったアクティビティーを新設し、観光客の人気を集めている。
陝西省西安市の文化商業エリア「大唐不夜城」では、酒を飲む詩人の李白と漢詩を詠み合ったり、魚の形をしたランタン「魚灯」のパフォーマンスを楽しんだりすることができる。
北京のアートトイブランド「POPMART(ポップマート)」が手がけるテーマパーク「POPLAND」では、アートトイ「LABUBU(ラブブ)」の部屋や食卓があり、ゲストは商品を購入できるだけでなく、触れることのできるアートトイの世界に飛び込むことができる。
文化観光産業が「風景を見る」から「体験重視」へシフト
中国の文化に根差し、東洋の美学をPRし、アートトイを通してドラマ仕立てのコンテンツを提供する中国スタイルのテーマパークが文化観光市場のダークホースになっている。
多種多様で、ムードも異なる。そんな「中国スタイル」のテーマパークは今、中国の文化観光業界が現在、粗放的拡張から脱却し、テクノロジーを駆使して、文化IPと感情に訴えかけるドラマ仕立てのコンテンツを提供するスタイルへとモデル転換しているというシグナルを発している。
中国の若い観光客も同質化した西洋のテーマパークなどでは満足できなくなっており、奥深い文化や没入型体験、感情的な共鳴を楽しむことができる中国スタイルの文化観光業態を好むようになっている。実際の景色をバックにして行われるショーや観光客を案内し、没入型体験を高める専門スタッフとの交流、ロングストーリーといったアクティビティが特に人気だ。
「パフォーマー」需要が激増
中国情報通信研究院の発表した「中国体験経済発展報告(2025)」によると、25年11月末時点で、中国の体験経済の市場規模は前年同期比22.6%増の18兆4000億元(約432兆4000億円)に達した。体験経済が盛んになるにつれ、歴史や文化の一コマを演じるパフォーマーがテーマパークで引っ張りだこになっている。高収入の求人も次々に出されるようになった。
山東省の泰山石敢当観光地は「労働節(メーデー、5月1日)」連休に備えて500人のパフォーマーを急募した。陝西省西安市の周至水街・煙火巷子にいたっては月給最高5万元の「パフォーマートップ集団」を募集した。江蘇省宿遷市の項王故里では「項羽」役に最高1900元となる「身長×10」の日給で募集した。
観光客のニーズが「風景を見る」から「体験重視」へと移行する中、パフォーマーは単なるマーケティング上の話題作りから、文化観光体験を再構築し、産業の高度化をけん引する重要な力へと変わりつつある。
テーマパークに一体何を求めている?
中国旅游研究院・国際研究所の楊勁鬆(ヤン・ジンソン)所長は、「『単純な観光消費』から『情緒的価値のためにお金を使う』へのシフトが観光客の一番大きな変化となっている。自己の満足感や幸福感を追求する消費行動『悦己経済』が主流の消費ロジックになっている。観光客は文化観光を人気観光スポット巡りと見なさず、没入型体験を唯一無二の自分だけのシチュエーションと見なすようになった。それを通して深い参加感を覚え、自分の夢をかなえ、自分が大切にしている文化や情緒的価値を獲得している」と分析する。
中国スタイルのテーマパークの登場は、ニーズの変化にもちょうど対応する形となっている。業界関係者は「今後3~5年、中国の没入型文化観光は、『技術主導』から『コンテンツ+運営』の主導へとシフトするだろう。中国のハードウェアのレベルは世界に劣らなくなっており、▽AIをコンテンツの生産力へと変換できるのは誰か▽IPを持続可能なビジネスに変換できるのは誰か▽中国の物語を世界レベルの技術を使って世界に発信できるのは誰か――が三つのキーポイントになっている。業界関係者にとっては、一番いい時代でもなく、一番悪い時代でもなく、本当の工夫が求められる時代になっている。コンテンツや運営を飯の種にできる扉は開かれたばかりだ」との見方を示した。(提供/人民網日本語版・編集/KN)











