今注目のアプリ、書籍をレビュー

5

今夜スタート「下町ロケット」にも押し寄せるコスト削減の波『宇宙はどこまで行けるか』でロケット開発の今

2018年10月14日 10時00分 ライター情報:近藤正高
TBSの日曜劇場の10月期ドラマ「下町ロケット」が今夜からスタートする(夜9時〜。ただし第1回は世界バレー中継のため時間変更の可能性あり)。

ドラマ「下町ロケット」は、池井戸潤の同名小説が原作で、2015年に第1シリーズが放送された。3年ぶりの続編となる本シリーズでは、小説の第3作にあたる『下町ロケット ゴースト』(小学館)が原作となる。

第1シリーズではそのタイトルどおり、元宇宙科学開発機構の研究員だった阿部寛演じる佃航平が、死んだ父親から継いだ下町の工場「佃製作所」で、一度はあきらめたロケット製造を再び夢見て、実現するまでが描かれた。

しかし、今回のシリーズではロケット開発に暗雲が立ち込める。それというのも、佃製作所が提携する大企業・帝国重工が、社長交代により、純国産ロケット開発計画「スターダスト計画」から撤退を検討し始めたからだ。さらに追い打ちをかけるように、ある事態に直面し、佃は新たな決断を下すことになる……。
ドラマ「下町ロケット」の第2シリーズの原作となる池井戸潤『下町ロケット ゴースト』(小学館)

ロケットはコスパが悪い「打ち上げ花火」?


原作の『下町ロケット ゴースト』によれば、帝国重工が「スターダスト計画」からの撤退を考えるようになったのは、コストの問題が大きい。たとえば作中、次期社長候補と目される的場俊一(ドラマでは神田正輝が演じる)が、宇宙航空部長の財前道生(同、吉川晃司)に対してこんなふうに論難する場面が出てくる。

《「スターダスト計画だのなんだのと、コスト百億円の打ち上げ花火じゃないか」
 痛烈な揶揄だ。「それを去年、何機打ち上げた。五機か、六機か」
 さらに痛いところを、的場は突いてくる。打ち上げ実績ベースで比較すると、競合相手である先進諸国の中で、日本は──つまり帝国重工の打ち上げ実績は低位に甘んじているからだ》

たしかにロケットは安いものではない。現実の日本の国産H2Aロケットの値段は100億円といわれている。同ロケットの打ち上げ回数も2017年には6回と、これまで記述は事実に即している。年に数十回は打ち上げている欧米諸国とくらべたらたしかに少ない。

それでもH2Aロケットは打ち上げ数を着実に増やしている。しかも、その打ち上げの成功率は、2001年のデビューから2018年6月までの通算39機のうち38機が成功と97.4%を誇る。

ただ、小泉宏之『宇宙はどこまで行けるか ロケットエンジンの実力と未来』(中公新書)によれば、世界のロケット開発のトレンドは、いままでは何より性能を最優先してきたのが、最近では、《高性能だけを求めるのではなく、産業としての持続可能性、すなわちコストと信頼性を重視する》傾向へと変わってきているという。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

「今夜スタート「下町ロケット」にも押し寄せるコスト削減の波『宇宙はどこまで行けるか』でロケット開発の今」のコメント一覧 5

  • 匿名さん 通報

    日本政府の姿勢も問題だ。眼の前のことにしか資金を割かず、将来性のある研究分野への拠出を渋っている。

    4
  • 匿名さん 通報

    効果がある研究にしか金は出さない、っていうのは無能な証拠。当たる宝くじしか買わないというくらい無能な発言。

    4
  • 匿名さん 通報

    なかなか、興味深い考察(コスト)でした。日本も抜本的な宇宙開発や、理系研究出し惜しみ撤廃が、今後は必要ですね❗

    3
  • 匿名さん 通報

    「下町ミサイル」

    2
  • 匿名さん 通報

    アメリカにはSFファンが多く、宇宙への関心もけた違いに高い。負けて当たり前。層の厚さが違う

    2
コメントするニャ!
※絵文字使えないニャ!