エンゼルス戦で鮮やかな逆方向への二塁打を放った大谷(C)Getty Images

 大谷翔平の“らしさ”が見える打席だった。現地時間5月15日に敵地で行われた古巣エンゼルスとの一戦、5回の第3打席に背番号17は逆方向に二塁打を放った。

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 相手先発のジャック・コハノビツが投じた甘い変化球を見逃さなかった。カウント0-1とされた直後の2球目、外角低めに落ちていくシンカーを軽く弾き返した大谷の打球は、レフト方向にぐんぐんと伸びた。惜しくも本塁打とはならなかったものの、あともうひと伸びでスタンドインという痛烈な当たりだった。

 5打席に立ったこの日に放ったのは、この二塁打だけだった。それでも、その一本はスランプが懸念されてきた大谷の復調を感じさせる内容だった。

 5月に入ってからの「打者・大谷」は調子が芳しくなかった。15日のエンゼルス戦を前にした月間成績は、打率.150、1本塁打、出塁率.261、長打率.250、OPS.511。指揮官のデーブ・ロバーツ監督が「良い状態であれば、ホームランになっている打球が、レフトフライに終わる」と苦言を呈したように、打席内でのタイミングが狂い、理想的なスイングが続かない状況が続いていた。

 そうした中で今月12日のジャイアンツ戦で左中間スタンドに放った第7号アーチに続く、逆方向への長打。これは大谷が持ち前のパワーを効率よく打球に乗せられている証左とも言える。

 興味深いのは、同じ日にMLB屈指の名打者が大谷の状態を推し量るバロメーターを論じていたことだ。MLBの公式ネット局『MLB Network』の番組「MLB Now」に出演したジョーイ・ボットー氏は、「私が気になるポイントはシンプル。

外角高め、真ん中高め、そして外角全体を突くボールに対する対応だ」と指摘。さらに現役時代にMLB通算2135安打、356本塁打を放ったスラッガーは、「私は彼の狙いが身体に近すぎるのだと思う」と分析した。

「外角のボールを支配できるようになれば、自然とゾーンの中でボールを見極められて、センターや左中間方向に打ち返す形ができる。そうなれば、歴史に残るような成績を出す選手を見られる可能性がある」

同じ左打者としての“金言”

 さらに5月11日に屋外で行われた打撃練習を目の当たりにしたという百戦錬磨の打者は、同じ左打者としての“金言”も送っていた。

「私が見た時のショウヘイはボールを強引に引っ張っていた。その反応は、ほんの少しだけ、本当にちょっとだけボールを深く呼び込めていないように見えたんだ。本来なら彼自身もセンターから逆方向に打ち返したいところだと思う。もちろん引っ張った打球の全てが悪いというわけじゃない。ただ、打者って生き物はセンターから逆方向に一直線に伸びる打球を見ることで自分の感覚が正しいんだと分かるものなんだ。

 彼は身体に近い球は快適に振れているし、強く打つことに自信もあると思う。だけど、打者としてはそういう球を『楽だ』と感じていると、外角や高めの球が遠く見えてしまう。そうなるとスイングの形も変わってくる。

断言はしないけど、ショウヘイが外角や高めの球に対応しだして、引きつけて打てるようになれば、バットスピードも自然と上がってくるはずだよ。そうなれば、あらゆるスタッツがいつもの彼らしい水準になる」

 世界屈指の好投手たちと互角以上に渡り合ってきた。だからこそ、大谷に生じる“ズレ”も見逃さなかったボットー氏は、「とにかくセンター、左中間、もしくは右中間に完璧に打ち抜く感覚を打者は求めてる」と一流打者に共通する打撃感覚も語っている。

「優れた打者はほぼ全員がボールの中心を捉えられていると感じ、それを常にコントロールしたいんだ。その感覚が今のショウヘイは少しだけズレているんだと思う。ここからセンターから左方向に伸びていくフライがホームランになること。それが彼の歩むべきステップになると思う」

 大谷について「彼が失敗し続けることはあり得ない」と太鼓判を押したボットー氏。そんなレジェンドの言葉を再現するかのように、二刀流スターが逆方向に長打を放ち始めたのは、偶然か、必然か。いずれにしても、この内容を維持できれば、打ち出の小槌のように連打を繰り出す日は近そうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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