この素朴な疑問を今回は考えてみたい。
丸形に偏っている考えられる理由はたとえば、
・丸形のほうが押しやすいから
・昔からの慣例にならって
・ユーザーが丸形を好んでいるから
など……。
論より証拠、丸形以外のシャッターボタンを試してみた。試したのは長方形モデル、厳密に言うと丸形と長方形の中間くらいの形をしたシャッターだ。ふつうに押していて、とくに違和感というほどのものはない。しかし、街に出て咄嗟にシャッターを切ろうと思ったとき、指が滑ってうまく押せないことがあった。
横長の長方形であるため、中心から縦方向への指のかかりが弱い。なので、同方向に対して損じが発生しやすいと思われる。一方、丸形は中心からどの方向も均等なスペースだから、押し損じが少ないのだろう。
この実験結果を踏まえて、カメラメーカーのペンタックスに聞いて確かめてみた。
「シャッターボタンが丸いのは、一番押しやすい形だからです。ボタンの中心を押す分には、四角でも三角でも可能です。ところが、ボタンの端っこを押すときは、丸以外の形は引っかかりやすいのです」
「したがって、指の力が上手く伝わらずに押し込めないで最悪、シャッターチャンスを逃してしまうことも考えられます。そのため、一瞬の判断で確実に押せる形状として、丸形シャッターを採用しています」