来る7月17日、第147回芥川・直木賞選考会が開催される。それを記念して、またまた候補作を全部読んでみた。まずは直木賞篇である。
候補者5名のうち、辻村深月と貫井徳郎が3回目で、あとはすべて初候補作入りという新鮮な顔ぶれだ。2008年の第138回以来、9回ぶりに時代小説の候補作がない直木賞でもある。
今回、最年少の朝井リョウが受賞を果たせば23歳での快挙となり、戦後では平岩弓枝(第41回)の27歳4ヶ月を塗り替え、1940年第11回の堤千代の22歳10ヶ月の記録を塗り替えることになる。しかも初の平成生まれという勲章もつく。また、原田マハ『楽園のカンヴァス』は第25回山本周五郎賞をすでに獲得しているので、これが受賞すれば2004年の熊谷達也『邂逅の森』以来の、直木・山本同時受賞作になるのだ。さらに細かいことを言えば、宮内悠介『盤上の夜』は受賞作が第1回創元SF短篇賞山田正紀賞を受賞しているため、狭義のSFに分類が可能な作品だ。狭義のSFが直木賞を獲った例は極めて少なく、1988年に第99回の景山民夫『遠い海から来たCOO』があるのみである(この作品を「狭義の」SFに分類していいかどうかは議論の余地があると思うが)。
こんな感じにさまざまな「記録」がかかっているわけである。では、個々の作品をご紹介しよう。

朝井リョウ『もういちど生まれる』(幻冬舎)
5篇から成る短篇集だ。帯に名前が書かれた5人がそれぞれの話の主人公である。各話の主人公はみな19歳、まもなく20歳になるという点が共通している。