動物愛護先進国ドイツ。日本でいう憲法にあたるドイツ基本法には「動物保護」が明確に謳われている。
そんなドイツのイヌはどんなふうに飼われ、飼い主はどんなイヌグッズを好むのか。

「動物は物ではない」(民法)、「人間と同じ被造物」(動物保護法)、「イヌの繋ぎ飼いにおいて最低1時間は自由に運動させる」(犬の屋外飼育に関する規定)などと明記されており、日本よりもはるかに動物の権利がしっかり守られているお国柄。そうした法律の影響もあってか、ドイツ人たちのイヌは屋内外問わず、自由に活動できているようだ。

「ドイツでは交通量が多いところや人ごみなどではリードでつないでいますが、基本的にはリードを使わずに散歩しています。日本ではあまり考えられないですが、しつけがきちんとされているので、ドイツでは当たり前のことになっています」
「レストランやホテルへも一緒に行けます。これは犬に対する家族の一員という意識の強さの表れだと思います。ただし、最近は『獰猛及び危険な犬の条例』に挙げられている犬、大型犬にはリードが義務付けられているようです」
「スーパーや食品売り場など一緒に入れない場所もあります。その場合はリードでつないで外で待たせます。当然のようにイヌを待たせる場所はきちんと用意されています」
とイヌグッズ販売のsumainuさん。

さて、そんな飼い方をされているドイツのイヌたち。どんなグッズが売れているのか。
「日本は小型犬文化で、若い女性のファッションと同様に“KAWAII”というキーワードが重視される傾向にあります。
対して、ドイツは中・大型犬文化であり、運動量の必要なイヌたちには機能的でシンプルなイヌグッズが好まれるようです」(sumainu)

なるほど。ではドイツで定番、流行のイヌグッズで、日本では珍しいものは、
「ドイツは屋内であっても土足なので、イヌがちょっと床に寝そべるための敷物タイプのマットなどが人気。羊の皮でできているようなものから、フリースみたいな繊維まで。ケージで飼うことがないだけに、結構定番です」(同)とのこと。
具体的には、『ファーブランケット』『トラベルブランケット』などのアイテム。

また、屋外だと日本のようにファンシーな首輪やリードなどよりも、持った瞬間に暖かみや柔らかさが感じられ、愛着をもって長く使うことができるヘラジカ革でできたエルク首輪&リード『エルクスキン レトリバーリード』が好まれるという。さらに、町中にいっぱいある森林や草原などでノーリードで広範囲にイヌに散策させるとき、安全で視認性のある『レンジャー プロフェッショナル ハーネス』のような首もとや胸部を覆うタイプのハーネスが最近特に人気が高いようだ。

このように、イヌの飼い方の違いによって好まれるアイテムもかなり違うわけ。日本もドイツのようにイヌの権利をしっかり守り、自由に飼うができる環境になってほしいものだ。
(羽石竜示)

○文献
「ドイツにおける動物保護法の生成と展開」(浦川道太郎著)
「Verordnung ueber das Halten von Hunden im Freien」vom 6. Juni 1974(Bundesgesetzblatt I Nr. 60, Seite 1265)
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