どことなく、困ったおばあちゃんを連想させる表情。愛きょうあふれるヘン顔のにゃんこ・まこと、同じお宅に迎え入れられた兄弟猫たちとの毎日を飼い主さんがつづった、2007年刊行のブログ本『まこという名の不思議顔の猫』。
かわいこちゃんだらけのペット業界に、きら星のごとく登場したこの個性派にゃんこのシリーズは、続編や総集編なども含め、累計23万部の大ヒットになった。
“ぶさかわ”ペットのパイオニア「まこ」の現在を写真で堪能

毎日の玄関への送り迎えを欠かさない律義で温厚なまこを筆頭に、究極にシャイな美人猫・しおん、甘えん坊でやきもち焼きなしろたろ、やんちゃでいたずらが大好きなえいたと、4匹が見せる表情は実に味わい深く、現在も不定期に更新されているブログを楽しみにしている人も多いはずだ。

2月には最新刊『まこという名の不思議顔の猫 11年目のまこである。』(1200円<税別>、メディアファクトリー)も刊行。4匹それぞれのさまざまな表情や行動が収められたショットは、4コマ漫画のようにストーリー仕立てになっているものや、マフラーやTシャツを身に着けたコスプレ風のもの、アリスのお茶会風のシチュエーションでテーブルを囲むにゃんこ達など、見ていて楽しくなるものばかり。やんちゃなえいたが米袋をかみちぎってお米をばらまく……といったいたずらにも「キッチンの床は白い砂浜状態」、飼い主と目を合わせようとしない兄猫・しろたろを「一緒に遊んだに違いない兄貴」と表現するなど、写真やコピーの行間からも愛にあふれた彼らとの暮らしぶりが伝わる一冊になっている。

“ぶさかわ”ペットのパイオニア「まこ」の現在を写真で堪能

そしてこのたび、この兄弟猫たちの写真展『「11年目のまこである。」出版記念写真展』が開催されることに。
最新刊に掲載された写真のほか、4匹の近況を伝える撮り下ろし写真なども展示する約2年ぶりの写真展だ。
また写真に加えて、映像作家の大谷浩之さん、アーティストのBALさんをゲストに迎えての「まこの住む家」をテーマにした映像インスタレーションも実施される。大谷さんはミニ・プロジェクションマッピング「まこのちいさなお部屋」を展示。BALさんはギャラリー内に「まこがくつろいだり遊んだりする離れの小部屋」というコンセプトで小さな家を一軒建てるそうで、こちらも気になるところだ。

ステーショナリーなど、これまでに発売されたまこグッズも好評だったのだが、今回の会場でも新作グッズや書籍を販売。
まこグッズのロイヤルティー、現在のお宅に迎え入れられるまでのまこたちと同じように、飼い主のいない猫の里親探しボランティアに寄付されるとのこと。

現在は11歳、人間でいえば60代くらいと、リアルおばあちゃん猫になったまこだが、まだまだ遊び盛りのえいたに引っ張られるように、元気いっぱいな動きを見せることもあるとか。
それぞれ個性あふれる4匹を、彼らを見守る飼い主さんたちの温かな視線で切り取った作品の数々。見れば猫を飼っている人も、そうでない人も、幸せ気分になれることうけあいだ。
(古知屋ジュン)


【「11年目のまこである。」出版記念写真展】 
会場:SPACE8
日時:4月25日(金)~5月4日(日)11:00~19:00 
※入場無料。最終日は17:00まで