舛添要一前都知事の辞任にともない行われている都知事選、都内では熱い戦いが日々繰り広げられている。
当然、新都知事も執務することになる現在の東京都庁舎が完成したのは1990年12月。
翌91年4月1日に業務が開始された。ちなみに現在の最寄り駅となる都営大江戸線の都庁前駅が開業したのは、97年12月のことだ。

現在の都庁 かつては浄水場だった


それまで都庁は丸の内にあった(旧第一庁舎跡は、現在の国際フォーラムの場所)。移転から25年。旧都庁のことを知らない人もかなり増えてきている。
新都庁の移転先は「新宿副都心」と呼ばれた高層ビルが立ち並ぶ西新宿。新宿中央公園に隣接したエリアだ。それまでこの一帯には何があったかというと、淀橋浄水場があった。旧地名は淀橋。家電量販店のヨドバシカメラの名前もここからきている。西新宿の高層ビル群そのものが、その広大な跡地の再開発にによるものだ。

完成した都庁第一本庁舎は、高さ243メートル。完成当時、池袋のサンシャイン60を抜き、日本一の高さをほこった。
ほどなくして93年に完成した横浜ランドマークタワーに高さ日本一の座を明け渡すことになるが。

都市伝説も 斬新な都庁のデザイン


都庁舎の設計は丹下健三。2つの高い棟がニョッキリ並行に立ち並ぶという、斬新なものだった。そのどこか現実ばなれしたシルエットと、1500億円を超える巨額の総工費などから、「バブルの塔」「タックスタワー」と呼ばれたりもした。
さらに、「緊急時や有事の際には変形し、巨大ロボットになる」そして、「東京タワーと合体する」といった、都市伝説も多く生まれた。

展望室や食堂も観光名所に?


最上階45階の展望室は、202メートルの高さから東京の風景を一望できる。当初はもちろんまだなかったスカイツリーに東京タワー、天気がよければ富士山も見ることができる。しかも無料。できた当時は新観光スポットとして、長い行列も出来ていた。レストランやバーもあり、23時まで営業し、隠れた夜景スポットでもある。
五輪誘致の際などには五輪カラー、ピンクリボン啓発活動のにはピンク色になど、ライトアップされ新宿の夜を彩ることもある。2007年から開催されている東京マラソンではスタート地点として注目を集めている。

第一本庁舎32階にある職員用の食堂は、一般の来庁者も利用することができるが、入庁手続きが必要。店舗は2つあって、定食や弁当、カレー、麺類などバラエティ豊富でしかも値段も手ごろ。
1階売店では東京の特産品や伝統工芸品、都庁グッズなどを販売している。

ゴジラに破壊されたこともある都庁


東京の象徴的存在でもある都庁は、時々大変な目にもあう。
91年末に公開されたゴジラシリーズ「ゴジラVSキングギドラ」で、都庁舎は早々に破壊された。ラストバトルの舞台が新宿新都心になり、ゴジラとメカキングギドラが激闘を繰り広げた結果である(ここで『メカ都庁』が機動したらすごいことになっていたか)。

その後も『モスラ3 キングギドラ来襲』や『20世紀少年』など、東京の象徴のひとつである都庁舎は、何度も襲われ、全壊したり半壊したりする。

新庁舎で執務した都知事は、開庁から95年までは鈴木俊一。95年4月からは青島幸男、99年4月から石原慎太郎。その後、猪瀬直樹、舛添要一と続き、新都知事が誕生する。
ちなみに都知事の執務室は、第一本庁舎の7階にある。いよいよ新都知事、誕生。この都庁舎で、どんな都政を行うのだろうか。
(太田サトル)
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