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第17週「なつよ、テレビ漫画の幕開けだ」99話(7月24日・水 放送 演出・渡辺哲也)視聴記録
「来やがれ」
劇団赤い星座の分裂騒動に巻き込まれた雪次郎(山田裕貴)だが、蘭子と芝居するのが夢なので分裂派にはついていかないと迷いはない。その話を聞いたなつ(広瀬すず)も新たなテレビ漫画の世界で頑張ろうと思う。
雪次郎のアパートで、なつとレミ子(藤本沙紀)が「がんばる乾杯」とやるところは「ひよっこ」の幼馴染三人が「がんばっぺー」とやるところや、「半分、青い。」の秋風アシスタントの三人が海で盛り上がってるところを思い出した。
「百獣の王子サム」を企画したアニメーター猿渡(新名基浩)は絵のアイデアも豊富で、動画枚数を減らしてもなお効果的な案を提案してくる。新名基浩、軽妙でユーモアのある芝居をする。
なつも負けじと、たくさん絵を動かさないでも効果的なアイデアを思いついて、坂場(中川大志)にも褒められる。歌舞伎のように、形式は違っても意識を感じさせるものに、とか表現を妥協することはないとか熱く語る坂場であった。「腐らずに」というのは露木(木下ほうか)の受け売り。
あまり頑張ると残業が続くと猿渡は困り顔。でも、この時代は働き方改革がまだない。猿渡は才能を生かして時短している優秀なクリエーターなのだろう。
なつは「来やがれ」と傾いた(歌舞いた)ようなポーズをとりながら絵を描き続ける。それをまたそっと見ている坂場。
雪次郎と「かもめ」
雪次郎が大抜擢されたチェーホフの「かもめ」は、ざっくり言うと、高慢な女優の母をもったトレープレフが、作家を目指すもののなかなかうまくいかず、恋人ニーナが母の恋人で人気作家のトリゴーリンと都会へ行ってしまうという話。
日本では1922年、研究座で初演、水谷八重子がニーナを演じた。以後、数多く上演され、近年だと、生田斗真と蒼井優、坂口健太郎と満島ひかり、藤原竜也と美波などがトレープレフとニーナを演じている。
母にもニーナにも思った愛が得られないうえ、作家としても葛藤し続けるトレープレフが本当に可愛そうで哀しい話なのだが(私は、ニーナとトレープレフのクライマックスで常に泣いてしまう。というか泣かせてくれ!と思っていろんな「かもめ」を見るのである)。でもチェーホフはこの戯曲を「喜劇」としている。
ちなみに拙著「みんなの朝ドラ」では、「戯曲というものは、やっぱり恋愛がなくっちゃいけないと、あたし思うわ」(神西清訳)というセリフを引き、朝ドラも恋愛が必要なのだと書いた。
雪次郎は蘭子にたくさんダメ出しをされながら、いよいよ初日。劇場にやって来た、なつ、坂場、茜、咲太郎、光子、亜矢美。
亜矢美の衣裳がとにかく派手…。派手は自由だけれど、羽のついた帽子は観劇に邪魔だと思う…。
どうなる「かもめ」。
蘭子の思い
蘭子(鈴木杏樹)の悲恋(?)が語られた。
はっきり言わないが、おそらく蘭子はその人のことを…と感じる雪次郎。亡くなった人の分まで生きて演じてほしいという蘭子の思い。ここへ来て、亜矢美といい蘭子といい、独身のオトナの女たちは人知れず何かを抱えていることが小出しになってきたのは、なつや雪次郎がオトナの階段を上がる季節なのだなあと思う。
【第17週あらすじ】「なつよ、テレビ漫画の幕開けだ」7月22日・月〜28日・土
1963年、なつ(広瀬すず)は優秀な女性アニメーターとして注目されていた。その実力を買われ、坂場(中川大志)と一緒に新設されたテレビ班に行くように仲(井浦新)から命じられる。「鉄腕アトム」が大ヒットしたのを受け、東洋動画は本格的にテレビ漫画に進出することになった。映画に未練を感じる坂場を励ましつつ、なつはテレビの世界に飛び込んでいく。テレビ特有の効率優先のアニメ作りに戸惑いつつも、なつは新たな表現の開発に取り組む。
101回あらすじ 7月26日・金 放送


仕事から帰ったなつ(広瀬すず)は、風車に来ていたレミ子(藤本沙紀)から、雪次郎(山田裕貴)が舞台の千秋楽のお祝いに、蘭子(鈴木杏樹)の自宅に招かれたことを知らされる。それを聞いた亜矢美(山口智子)は、過去の経験から、雪次郎の恋と役者人生の両面を心配する。その頃、雪次郎は、蘭子への思いや劇団が分裂してからの出来事を打ち明けていた。その話を黙って聞いていた蘭子は、雪次郎に思いもよらない言葉をかけ…。

{木俣冬)
登場人物とキャスト 登場順
奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。生きるために感情を押し殺してきたが、柴田家、とりわけ泰樹と触れ合うことで、素直に感情を出せるようになっていく。これからは酪農の時代だと考え、十勝農業高校で学んでいる。演劇部に入る。
高校卒業後、アニメーターを目指して東京に出てくる。
佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。孤児院で働きながら勉強している。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 清原翔(13 回から) 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。搾乳をさせてもらえない代わりに薪割りを頑張っていたが、なつが来たことを機にようやく搾乳させてもらえた。
柴田夕見子 福地桃子(13回から)幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。牛乳嫌い。同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。勉強ばかりして家の手伝いを全然しない。
柴田明美 平尾菜々花(13回から) 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。
なつをほんとうの家族にしたいと願い、照男と結婚させようとする。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。タップダンスが得意で、米兵にかわいがられていた。孤児院を出て新宿で亜矢美に助けられ、ムーラン・ルージュを経て、浅草の劇場で働いていたが、盗み濡れ衣を着せられ捕まってしまう。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。親戚に引き取られている。
2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じている北林は朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。
4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 山田裕貴(13回から登場) 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。十勝農業高校に通っている。演劇部。高校卒業後、川村屋に修業に出る。
5回
山田天陽 吉沢亮 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。馬が好き。農業をしながら絵を描いている。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…天陽の父。東京から北海道にやって来たが土地が悪く、農業ができず、郵便局で働いている。泰樹の協力を得て、土地を蘇らせる。
8回
山田陽平 (31話から)犬飼貴丈 幼少期 市村涼風…天陽の兄。絵がうまい。東京で芸大に通いながらアニメの美術の仕事をしている。なつに絵画の道具を贈った。東洋動画に就職。
9回
なつの父 内村光良…日本橋で料理人をしていた。絵が上手。家族のことを思いながら戦死した。
10回
花村和子 岩崎ひろみ…音問別小学校の教師。
校長先生 大塚洋…音問別小学校の校長先生。
山田タミ 小林綾子…天陽の母。
13回
居村良子 富田望生…十勝農業高校の生徒。演劇部に入り衣裳を担当する。「白蛇伝説」のラスト、白蛇として登場し喝采を浴びる。
村松 近江谷太朗…柴田牧場と長い付き合いのあるメーカーの人物。奥様封筒をもってくる。
倉田隆一 柄本佑…十勝農業高校の国語の先生。演劇部の顧問。「魂」が口癖。なつの問題、十勝の伝承を交えて「白蛇伝説」の台本を書く。
14回
田辺政人 宇梶剛士…音問別農協組合組合長。農協で一手に酪農事業をとりまとめ十勝を酪農王国にしたいと考えている。
19回
門倉努 板橋駿谷 …十勝農業高校の番長。クマとサケを争った逸話をもつ。演劇部に入り、村長役を略奪する。
高木勇二 重岡漠 …十勝農業高校演劇部。メガネ。門倉に役をとられてしまう。
石川和男 長友郁真…十勝農業高校演劇部。
橋上孝三 山下真人…十勝農業高校演劇部。
21回
太田繁吉 ノブ(千鳥)…十勝農業高校の教師。ヤギのチーズは牛より「クセがすごい」と言う。
27回
前島光子 比嘉愛未… 川村屋のマダム
野上健也 近藤芳正… 川村屋のギャルソン
茂木一貞 リリー・フランキー… 角筈屋社長
煙カスミ 戸田恵子… 歌手。クラブメランコリーの看板。ムーラン・ルージュにいた。
三橋佐知子 水谷果穂…川村屋の店員。川村屋社員寮でなつと同室に。咲太郎を「同志」と思っている。
土間レミ子 藤本沙紀…カスミのいるクラブの店員。咲太郎のことが好き。「真心を一晩貸したままだから」返してほしいと思っている。
28回
島貫健太 岩谷健司
ローズマリー エリザベス・マリー…浅草の踊り子
30回
藤田正士 辻萬長 親分
松井新平 有薗芳記 …浅草の芸人
岸川亜矢美 山口智子 …元ムーランルージュの踊り子。咲太郎を助けた。
31回
下山克己 川島明 …新人アニメーター
仲努 井浦新 … 実力派アニメーター
37回
阿川弥市郎 中原丈雄 … 東京から北海道に移住。彫刻で生計を立てている。
阿川砂良 北乃きい… 弥市郎の娘。
44回
杉本平助 陰山泰… 川村屋の料理長
45回
蘭子 鈴木杏樹… 劇団の女優
虻田登志夫栗原英雄… 劇団の俳優
49回
井戸原昇 小手伸也… 東洋動画アニメーター
55回
森田桃代 伊原六花…仕上げ課の先輩、といっても年齢はなつと同じで19歳。あだ名は「モモッチ」
山根孝雄 ドロンズ石本…仕上げ課のえらい人。
石井富子 梅舟惟永…仕上げ課のベテラン。といってもまだ30歳。
大沢麻子 貫地谷しほり…原画スタッフセカンド。周囲に一目置かれている才能あるアニメーター。
おしゃれしているなつを敵視している。
堀内幸正田村健太郎…動画スタッフ 芸大出身で、線画のきれいさには定評がある。
58回
露木重彦木下ほうか…演出家、第一製作課長
山川周三郎古屋隆太…東洋動画スタジオ所長
66回
泉千恵
岡部たかし
池間夏海
脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト:広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子」
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美 舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション
制作統括:磯智明 福岡利武