松岡茉優・三浦春馬『カネ恋』玲子の15年にもわたる片思いがいよいよ動き出した 2話
イラスト/ゆいざえもん

悪気のない慶太(三浦春馬)は癒し『おカネの切れ目が恋のはじまり』2話

清貧を愛する主人公・九鬼玲子(松岡茉優)が意外や、片思いの相手にはいくらでも貢いでいたという衝撃の事実で初回が終わった『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBS系 毎週火曜よる10時〜)。

他人のほころびが気になるわりに、自分自身がほころんでいるという玲子の極端な精神状態が心配になったが、第2話は、彼女の15年にもわたる片思いがいよいよ動き出した。

相手は公認会計士でコメンテーターなどもやっている人気者・早乙女健(三浦翔平)
おりしも、彼の主催するイベントで、早乙女は投資を推奨する。

「投ずれば動き出します。投資も恋も」

早乙女のセリフどおり、お金と恋が重なっていく。

お金の使い方には「消費」「浪費」「投資」があるが、玲子の恋は、投資でもなく浪費? それとも、生活に必要な消費?

誰が見ても浪費家な猿渡慶太(三浦春馬)は、玲子からお金の使い方を習うが、他者から見て「浪費」も、彼にとっては「消費」「投資」「経費」。

慶太のポジティブパワーはすごい。何を言われても自分に都合よく解釈する。88000円のビンデージアロハ(猿柄)をいつか回収できる「投資」と捉えるとはポジティブ過ぎる。だが、それも言いえて妙であって、お金の価値は人の見方次第、使い方次第、世の中次第、なんとでも解釈できるのである。

ただ、彼は社長の息子で甘やかされて育ってきたから、慎ましく生きていくことを想像できないともいえる。父(草刈正雄)から家族カードを止められても、母(キムラ緑子)からお金の援助が途切れない。

そんな慶太が、どんなにお金を使っても手に入らないのが、まりあ(星蘭ひとみ)の心。浪費家の慶太とは結婚できないと思うまりあは、実業家の山鹿(梶裕貴)との結婚を進めていた。


だが、まりあと山鹿とテニスの試合をしたとき(慶太が企画した、おもちゃ会社の仕事のパートナーとして山鹿がふさわしいか知る企画)、玲子はまりあが無理しているように感じる。

玲子はまりあの結婚を、「コンコルド効果」こと「埋没費用効果」と理解する。投資が損失につながることがわかっているのに、これまでに費やしたことを無駄にしたくない。

「これまでの思いがゼロになってしまうのは悲しいから」

玲子はまりあの行動に自分を重ねて見ていた。

テニスに参加した早乙女にますます恋心を募らせる玲子。やたらテニスがうまい玲子も見どころのひとつ。玲子は意外性の人である。

2話も最後に意外な展開が待ち受ける

まりあは、山賀が自分を「逆映え」と友人に言っているのを聞いて、婚約解消を決意する。

宝塚娘役の星蘭が演じるまりあを「逆映え」(タレントやインフルエンサー的な派手な人ではない人)キャラにするとはなんと大胆な。

そして山鹿もお金をたくさん稼いでそうだが、その分、浪費しているふうに見える。1話で見たときは、実直なお金持ちかと思ったのに、全然違った。結婚式に1億円もかけようとする派手好きで、まりあの手作りお弁当の労力などはまったく意に介さない。これならどんなに浪費家でも、まりあのお弁当に気づいて食べてくれる慶太のほうが毎日楽しく幸福でいられそうな気がする。


「あんたのために上げる口角なんてないから」(まりあ)
「だからか〜、あいつの前でのまりあの笑顔、なんか嘘くさいのは」(慶太)

笑顔は口角をあげればいいものではないということを教えてくれる会話。笑顔の抜群にいい三浦春馬が言うから印象に残った。

浪費家ながら性格だけは抜群にいい慶太は、彼が雑に扱って捨ててしまった猿の豆皿の代わりに、自分で絵付けした皿を作って玲子にプレゼントしようとするが、玲子と早乙女が急接近。

松岡茉優・三浦春馬『カネ恋』玲子の15年にもわたる片思いがいよいよ動き出した 2話
第3話は9月29日放送。画像は番組サイトより

そしてまた2話の最後でも意外な展開が――。

早乙女に幼い息子がいるらしいことを、板垣(北村匠海)が目撃してしまうのだ。「正体見たり」とヒーローショーでセリフを言っているヒーローと、板垣の気持ちを重ねて見せる。

慶太に豆皿の作り方を教えてくれた女性は慶太を「お兄ちゃん」と呼ぶ。次々と登場人物が出てきて大渋滞になりそうだが、それぞれをうまいこと関連付けて描いている。

家が貧しい苦労人の板垣は、老後2000万円を共に貯められる堅実な女性を求めていて、お金の使い方には玲子以上に細かい。玲子は自分ひとりで倹約して満足しているが、板垣は相手のお金の使い方も小姑のように目を光らせ、モノローグでがんがん批判する。こんなふうにデート中、ジャッジされていたらやばいぞと身を引き締めた。

そんな板垣のおメガネにかなったのは玲子。
そりゃあ堅実だもの。ふたりは、6個120円のポンデケージョを半分にして、ほのぼのしながら、猿渡が無邪気に踏み込んでくるところがしんどいと共感し合う。

同じ倹約家でも、板垣のほうが共感しやすい。玲子の極端な性質はともかくとして、思いが重たすぎるところがちょっとなあって感じがするが、板垣は裏表がないというか、シンプルに苦労人なので。あと、やっぱり、慶太。おバカなんだけれど、悪気がない。癒やしである。

玲子は高校時代に、早乙女に肩を抱かれてときめいた思い出を大切にしている。だが、15年経過した現在、慶太も玲子の肩を抱いていた。これを玲子はどう感じるのか。
(木俣冬)

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番組情報

TBS 火曜ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』
毎週火曜よる10:00〜10:54

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/KANEKOI_tbs/
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