常に“最上級”を更新するSixTONESの最新ライブ映像作品『on eST』 その見所を詳細レビュー

SixTONES、ライブ映像作品『on eST』 を10月20日にリリース

「お! 1曲目そうだった!」京本大我が口を開くと、「シルエットだ」と高地優吾。「それがどうやって映像になってるかだよね」田中樹が続ける。「きたきたきた!」声を弾ませる森本慎太郎


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田中が「お客さんの声もないからさ、キャーとかもないから始まったかわかんない」と言えば「入れちゃえば」と冗談を飛ばすジェシー。パフォーマンスの進行と共に「なるほどね!」と松村北斗

横一列に並んで座るSixTONESのメンバー6人。その目に映るは今年6月7日に横浜アリーナで行われた『on eST』のライブ映像だ。

10月20日に発売されるSixTONESのDVD&Blu-ray『on eST』。今年1月発売のファーストアルバム『1ST』をひっさげて行われた全国アリーナツアーの中から、6月7日の横浜公演千秋楽を収録。本ライブは、披露した楽曲の全てがオリジナル曲というメモリアルな公演となった。この映像作品は、本編はもちろんのこと特典映像も見逃せない。

SixTONESとファンの2021年を収めた『DOCUMENT “on eST"』

当初は1月4日から3月28日までを予定していたアリーナツアー。有観客ライブを前提に、前年から準備を進めてきたそうだが、緊急事態宣言を受けて急遽、無観客配信ライブに切り替えて行われた。

その後、3月の北海道公演を皮切りに有観客ライブを再開。会場内ではマスク着用、歓声禁止という制約が設けられてのライブだった。ファンもSixTONESのためならばと、歓声をあげずに拍手とペンライト、うちわに思いを託した。
作品概要に「まるで“声が見える”ようなライブ」とあるが、本編のライブ映像からは双方の熱い思いが不思議と伝わってくる。

常に“最上級”を更新するSixTONESの最新ライブ映像作品『on eST』 その見所を詳細レビュー
SixTONES『on eST』 初回盤パッケージ

通常盤の特典映像『DOCUMENT "on eST"』には、1月5日の無観客ライブからのメンバーの姿が“ありのまま”収められている。無観客ライブを前に「いままでのライブと違う疲れ方」と明かした森本。田中は観客の有無は関係なく見せたいとして、「1月の俺らにできるパフォーマンスのベストはいまこれかな」と語った。

「ST」のイントロが途中で止まり、誰かが座るはずだった客席がモノクロで映し出された。松村が言う。「あったかもしれない可能性って、こう絶望になるじゃないですか」。誰もがリスクを抱える状況下、それでも彼らは6人揃ってステージに立った。

有観客ライブへと映像が進むにつれてメンバーの表情も変わってくる。北海道の有観客ライブを前に、松村の表情はどこか晴れやかだ。「やっぱりこれがやりたかったなっていうふうに思いますね」。続いて「いい緊張がある」と京本。
それは目の輝きが物語っていた。

ライブ直後、ハイテンションでステージ裏へ戻ってきたメンバー。「ちょっとうるっときた部分もあった」とジェシー。ツアーTシャツ姿の6人、清々しい表情がなんともカッコいい。

こんなふうにしてメンバーの楽屋やリハーサルの様子にはじまり、ライブの裏側、そしてファンの姿も。入口での手指消毒の様子に、発券時のあの独特な緊張感までをも細かく捉え、次第に薄れていく記憶を呼び戻すかのような2021年ならではの光景が連なる。

SixTONESと歩んだ時間の一部がこうして映像作品として残るのは、ファンにとっても嬉しい。そして、これだけではないのがSixTONESとソニー・ミュージックのすごいところだ。



初回盤「on eST」ビジュアルコメンタリーが“最上級”の見ごたえ

初回盤[Disc2]の特典映像には、メンバーによる「on eST」ビジュアルコメンタリーが収録されている。それも1時間超に及ぶロング映像。本稿の頭で記したコメントはその冒頭シーンだ。

メンバーはその後も「髪長いな」「ライブ映像でシルエットだけの曲があるってすごくない?」とちょっと懐かしそうに、そしてどこか新鮮な様子で口々に感想を語った。


真剣な表情で映像を観たり、ツッコミを入れたり。体を揺らしてリズムを取っていたかと思えば、会話そっちのけで食い入るように映像を観たり。ライブやラジオ等でも語られていない裏話も飛び出した。まるで一緒に鑑賞会をしているかのような気分にさせてくれる。

並んで座る6人の後ろ姿を愛らしく思ったのも束の間、ライブ映像を一緒に楽しんだり、それぞれのメンバーの表情を見たり。「S.I.X」から「Special Order」への高まりで「yeah!」と森本が叫んだように、当事者でありながらまるでファンのような感想に「そうそう!」「わかる!」と共感したり、とにかく忙しい。

中でも特にライブの真っ最中の裏話が面白い。衣装が暑くて滝のような汗が出たと森本。田中と森本の指が重なっていたことなど、言われなければわからないポイントや、会場では夢中になって見ていたパフォーマンスも、裏側では実は息が切れそうになりながら歌っていたこと、満身創痍で渾身のパフォーマンスを届けてくれたことなど、メンバーにしか語れないエピソードが詰まっている。

それから時折こぼれる“次の話”がたまらない。ジェシーが「次はどうしようかな」とヘアスタイルを気にかけたり、松村北斗が「この曲って今回のツアー以外でも出てきそうだよね」と、何気ない会話ではあるが“次”を考えているのだと思うと生きる希望が湧いてくる。

常に“最上級”を更新するSixTONESの最新ライブ映像作品『on eST』 その見所を詳細レビュー
SixTONES『on eST』 通常盤パッケージ

さて、本編のライブ映像は言うまでもなくツアータイトルに相応しい「最上級」。
前作に続き、SixTONESとファンの一体感、ユニット曲では2色のペンライトで照らしたファンと一緒に作るステージ。ここぞという場面で真上からメンバーのフォーメーション、会場の熱気をそのまま捉えたカメラワークに、カッコいい姿をさらに底上げする鮮やかな映像編集。時にはダイナミックに、時には繊細に、どの場面でも熱量が感じられ、6人でのパフォーマンスを心底楽しむ喜びが伝わってくる。

ファンとしても、マスクの下で何度も「ん゛ーー!」と唸った数々のシーン、腹の底からこみ上げる笑いを何度も何度も堪えたMCパート。ライブ映像からはライブならではの会場の熱気と興奮が伝わってくる。

目の前にいながらにしてシルエットで存在感を示した「Mad Love」。モノクロから色を帯び、激しい楽曲が続いた。「S.I.X」では会場のボルテージが一気にあがり、早くも一体感を味わった。2色のペンライトで客席もステージの一つとなったユニット曲、高地と森本の「My Hometown」では自然と体が揺れ、「ってあなた」では透明感ある京本と松村の美声に酔いしれた。松村と高地のほのぼのとしたMCをスパイスにして、ジェシーの“赤”と、田中の“青”で染めた「EXTRA VIP」のリッチなステージも。

終盤からは落ち着くどころか、さらに激しさを増し、「Bella」から「NEW ERA」までは力強く、そして大切なデビュー曲「Imitation Rain」をブルーの光と共に見せた。歌唱も“円熟”と呼べるほど深みが増し、また新たな印象を与えた。


そして「ST」。様々な事情から泣く泣くライブ参戦を断念したファンの悔しさ、出口の見えない不安などを束ねて焼き払うような熱量で届ける。本編ラストを飾った「Lifetime」ではファンを包み込むようにして歌い上げた。

「ST」の一節に<泣き笑っても憂いても未来は強い光の方だ>とある。暗闇で行く先を照らすかのように光を放ち、ファンを照らすSixTONES。魂の歌唱とも呼ぶべき気迫に満ちたパフォーマンス、ユーモアに溢れたトーク、いまを楽しむ姿、ポジティブさ……全てをひっくるめてSixTONESの放つ強さが必要だと痛感した。

SixTONESの音楽で満たした『on eST』。いつも“最上級”を更新していく彼らのパフォーマンスは、もう理屈じゃなく胸に迫るものがある。
(柚月裕実)





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Writer

柚月裕実


Web編集/ライター。ジャニヲタ。アイドルがサングラスを外しただけでも泣く涙腺ゆるめな30代。主にKAT-TUNとNEWSですが、もはや事務所担。

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@hiromin2013
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