We♡SMAP最終回|当たり前にあると思っていたSMAPとの日々 またいつかこの続きを書けますように
イラスト/おうか

ずっとSMAPが好き♡ SMAP特集

2015年のSMAPはシングル2作、2月18日『華麗なる逆襲/ユーモアしちゃうよ』、9月9日『Otherside/愛が止まるまでは』をリリース。

【前回レビュー】We♡SMAP #18|伝説のSMAP「27曲45分03秒ノンストップライブ」を詳細レビュー

椎名林檎が作詞・作曲を手掛けた「華麗なる逆襲」草なぎ剛主演のドラマ『銭の戦争』(関西テレビ・フジテレビ系)の主題歌に起用された。ストーリーとリンクしているのはもちろん、歌詞やミュージックビデオからはSMAPらしい世界が広がる。


一方「ユーモアしちゃうよ」は2014年からシダックスが全国展開したプロジェクト『SHIDAX Heart & Smile勇気プロジェクトsupported by JOYSOUND』のプロジェクトソングに起用され、当時ジャニーズJr.だったジェシー(現・SixTONES)がHeart & Smile勇気プロジェクト大使としてこの楽曲と共にPR活動を行った。心弾むポップな楽曲で、“ユーモア”と“YOU MORE”をかけた歌詞がユニーク。

2曲ともにMVが制作され、対照的な世界観をみせた。「華麗なる逆襲」ではバーと思しき場所でドレスアップした5人がダンスバトルをはじめクールに戦ってみせたかと思えば、「ユーモアしちゃうよ」の舞台は屋形船。お笑い芸人をはじめ舞妓にメイド、野球選手などが多数登場して乾杯するお祭り騒ぎ。

後半にはレインボーブリッジを始め、ベイサイドの夜景を背に歌い、踊る姿。
これぞSMAPらしい2面性。国民的スターの座を手にしながらも庶民的な感覚を失わない彼ら。ファンからしてもすごく身近な存在に感じられるのに、いざドレスアップしたときに放つは気高き無敵のオーラ。そんなメンバーが5人も揃うと“圧巻”の一言に尽きる。

両A面シングル『Otherside/愛が止まるまでは』

デビュー記念日である9月9日にリリースした作品も両A面シングル。「Otherside」は、作詞がLeo Imai、作曲はMIYAVI。編曲はMIYAVIと鈴木Daichi秀行
「Top Of The World」でSMAPとの相性の良さは明らかだったが、前作を上回るさらに激しいロックサウンド。中でも特に木村拓哉と草なぎがシャウト! 気持ちよさそうに歌う姿がたまらない。演出も、炎に、仮面をつけたセクシーでどこか怪しげなコスチュームのダンサー、SMAPも細かなラメが光を放つギラギラとした衣装で激しいロックサウンドにマッチ。

一方、ゲスの極み乙女。川谷絵音が手掛けた「愛が止まるまでは」。黒を基調に、赤を差し色にした世界が広がる。
両楽曲ともに曲調は違えど疾走感あふれるサウンドで、ギターはもちろん激しいドラム、厚みと深みをもたらすベースも印象的。

リリースにあたってインタビューに応えた5人。(オリスタ/2015年9月15日号より)この頃、喉を手術した中居正広「歌に関しては他にメンバーに頼る部分が多くなっちゃいますね」として、「僕自身、SMAPの活動の中ではいちばん大事だと思ってます。普段思ってないことも、歌だったら歌えることもある」と語った。「愛が止まるまでは」の一節<I LOVE YOU>を挙げて、「歌だからできる。芝居だったら断ります(笑)」


また、「それぞれの解釈で歌うから、SMAPの音楽っておもしろいのかな、とも思う」と中居。「10年後に、『あれ歌おう』ってなるかならないか。そこは大事にしたい」とSMAPの音楽への向き合い方に言及。自分たちで楽曲制作をしないことを踏まえ、「曲に対する懸命な想い、っていうのは、メンバー全員、それぞれ作れると思います」

「『9月9日、何かあるよね?』『何の日かわかってるよね!?』っていう指摘で、ああ、そうなんだと。僕らは基本、みんなに管理してもらってるんですよ」と木村。
「Otherside」は自分の趣味嗜好に合っていると語った一方で、少々苦戦したのが「愛が止まるまでは」。「自分の中にない譜割だから、『なんだこれ!?』って言いながら歌っていました(笑)」と後者の方に時間を費やしたと言う。

また、25周年イヤーに突入したことについて、一番の原動力は?との問いに「間違いなく、僕らのことを管理してくれる人たちでしょう」とファンを挙げた。「東京ドームのいちばん上まで人が入ってくれるなんて、尋常じゃないよ。だから原動力は、目の前の景色の中にいてくれる人たちの存在と、現場いいものを作ろうをしてくれているスタッフの人たちですね」

稲垣吾郎は自身もアルバムを所有するほど好きだというゲスの極み乙女。
の川谷とのコラボを喜んでいるような雰囲気が伝わってきた。「愛が止まるまでは」の歌詞について、どういう気持ちで書いたのだろうと、一節を挙げた。「<自分のために生きて結果誰かのためになった。それだけのことなんだ 悪くはないだろう>って僕が言いそうですよね(笑)」。ってゴローさん、わかりすぎる!



“走り続ける”SMAPを表現したというMV。1番は5人が背を向けてサークルをなし、それぞれの歌唱にフォーカスが当たる。2番からは走る場面が登場する。稲垣は「ひたすらがむしゃらに、カッコ悪く走る、シュールな撮影でした」と回顧。稲垣のソロパートが登場するのだが、これがいいアクセントになっている。



草なぎは「Otherside」について、「以前MIYAVIさんに書いていただいた『Top Of The World』も、ライヴでいちばん盛り上がるところでSMAPのハードでワイルドなカッコ良さを引き出してくれました」と前作を振り返り、「そして今回はさらにパワーアップしてカッコいい!」と絶賛。「いくつになっても守りに入らず、攻める姿勢がいいんじゃないかな、と思っています」

香取慎吾「曲を聴いてたら、まずはいっぱい踊りたいなって」とライヴでも楽しみと語った。「MIYAVIの曲でダンスしたいとかロックしたいとかのほうが本来の僕の、みんなの知ってる部分だと思うんだけど。それと比べて『愛が止まるまでは』は、どっちかというと僕の中にあんまりない部分のはずなのに、いざ語りだすとこっちの曲の方が熱くなるという。不思議な曲です」と止まらない様子で綴られていた。

メンバーが身支度を整えるところから始まる「華麗なる逆襲」のMV。咥えたばこの木村、パリッとした白いシャツのカフスを留める草なぎ、ジャケットにはブルーの華やかなポケットチーフ、ネクタイと整える稲垣。小さな顔がすっぽり収まってしまいそうな大きな帽子をかぶった中居も首元を整える。バーカウンターから差し出されたウイスキーグラスとピストルは誰が……。

香取は、クラシカルなチェック柄のジャケットに白いストールを首にかけ、マントを肩に。最後にドレスシャツに白ジャケットを羽織った草なぎ――。Aメロの始まりは中居のソロ。両手をポケットに入れた中居が歩き出すと、物語が一気に動き出す。続く稲垣がグレーのスーツを上品に着こなし、立ち上がる隣の男性を右手一つで抑えた。

カウンターでグラスを手にした木村が笑みを浮かべると、ステッキを持って登場した香取もどこか明るい表情。ジャケットを脱ぎシャツにサスペンダー姿の草なぎと香取が、キスするまであと数センチのところまで顔を近づける。次々にダンスを繰り広げる。

突如現れたナイフを突き出す男。それをもろともせず、草なぎが片手で倒し、“まだまだ勝負しちゃいないぜ”と歌う。それぞれがピストルを天井に向けて一発放つと、あっさり武器を捨てる5人。大きなシャンデリアが落下しただけ……このスマートな交わし方がSMAPらしい。



2016年12月26日。いつもの歌がいつもと違った

「SMAPを見て育ってきた」と言っても過言ではない、木村主演のドラマに感銘を受けて、実際に弁護士や美容師になったという人たちが番組に出演したことがあった。筆者も、思春期を前に引っ込み思案だった自分の殻を破れたのもSMAPがきかっけだった。木村くんのファンだという同級生がこっそり持ち込んだアイドル雑誌を見せてもらい、目に飛び込んできたのが目のぱっちりとした中居くん。そこから興味を持ち、「なんて面白いんだ!」「そうか、面白くすればいいんだ!」と彼らのバラエティ番組や言動から学びを得て、徐々に自分が変わっていったことを覚えている。

月曜の22時にフジテレビをつければSMAPがいて、学生から社会人になっても変わらずその姿を目にしてきた。メンバーの誰かしらをいつも目にする日々は当たり前になっていた。

シングル、アルバムが定期的にリリースされて、大きな会場でコンサートツアーが開催されるのが当たり前で、この先もずっと……と疑いもしなかった。2016年12月26日。いつもの歌がいつもと違った。リーダーは上に高く突き上げた人差し指を、グーにしてからパッと手を広げ、指を一本ずつ折り「5」をカウント。力強く手を振った。

あれから――。新しい地図を広げ、のんびりなかいがはじまり、これまでとは違う景色が広がっている。2020年11月3日、川口オートレースで行われた「SG第52回日本選手権オートレース」優勝戦に出場した森且行選手は、オートレースの最高峰レースで日本一に輝いた。2020年、2021年とおめでたいニュースも飛び込んできた。いまなお彼らを応援する声は止まず、きっとこの先も止むことはないだろう。

全19回に渡り、雑誌での5人の発言をベースにSMAPの活動をたどる連載も今回が最後。記事を制作するにあたって、残念ながら彼らの活動の全てに触れることはできなかった。これまで彼らがどれだけSMAPとして人生を捧げてきたのか、どれだけファンをはじめ目の前にいる人たちに笑いや感動を届けてきたのか、膨大な、膨大すぎる出演量、情報量を前にそんなことを思った。

いまの距離がギュッと縮まったらと願いつつ、“まだまだ勝負しちゃあいない”と突如現れてくれるのではないかとも思っている。またいつかこの続きが書ける日が来ることを願わずにはいられない。
(柚月裕実)

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Writer

柚月裕実


Web編集/ライター。ジャニヲタ。アイドルがサングラスを外しただけでも泣く涙腺ゆるめな30代。主にKAT-TUNとNEWSですが、もはや事務所担。

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