今回のニュースのポイント
人手不足倒産が過去最多を更新:東京商工リサーチの集計によると、2025年度は442件(前年度比43.0%増)に達し、調査開始以来の最多記録を塗り替えました。
労働集約型産業に集中:サービス業他(170件)、建設業(93件)、運輸業(70件)など、代替が難しく「人がいなければ成り立たない」業種での倒産が突出しています。
賃上げと離職のジレンマ:大企業による高水準の賃上げが進む中、原資のない中小企業では「賃上げしても利益が出ず、しなければ人が辞める」という構造的な板挟みに陥っています。
小規模企業が全体の約8割を占める:TSRやTDBの分析でも、従業員10人未満の小規模・零細企業が倒産件数の約8割を占めており、コスト上昇に対する経営基盤の脆弱性が浮き彫りになっています。
景気の波に関わらず、人手不足は日本企業の慢性的な課題として残り続けています。東京商工リサーチの調査によれば、2025年度の人手不足関連倒産は442件を記録し、前年度から4割以上増加して過去最多を更新しました。これは一時的な人材難にとどまらず、日本の産業構造が抱える深刻な「構造問題」が表面化した結果といえます。
人手不足が解消しない最大の要因は、中小企業を中心に「賃上げしても、しなくても苦しい」というジレンマが長期化しているためです。 大企業が記録的な賃上げや初任給アップを打ち出すなか、中小企業も人材の流出を防ぐために賃上げを迫られています。しかし、帝国データバンクの調査では、コスト上昇分の販売価格への転嫁度合いを示す価格転嫁率は全体平均で42.1%にとどまり、特に中小企業では資材高や人件費の増分を十分に販売価格へ反映できていません。防衛的な賃上げを続けた結果、収益が圧迫され、最終的に資金繰りが行き詰まる「賃上げ疲れ」による倒産が増加しています。
一方で、賃上げを断念すれば、より条件の良い職場へと人材が流出し、受注があっても業務が回らない「従業員退職型」の崩壊を招きます。このように、多くの中小企業は賃上げの原資を確保できないまま、業界を跨いだ人材の奪い合いに巻き込まれているのが実情です。
この影響は、私たちの生活の足元にも及び始めています。
人手不足の解消が長期化するのは、少子高齢化による働き手の減少に加え、働き方改革による時間外労働規制などで「少ない人数で現場を回す余地」も限界に達しているからです。価格転嫁の難しさが解消されない限り、人手不足倒産は今後も高水準で推移する可能性が高いでしょう。人手不足はもはや、単なる景気要因ではなく、人口動態と産業の収益構造、および取引慣行のズレが絡み合った解決の難しい課題へと深まりつつあります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)
※本記事は、東京商工リサーチおよび帝国データバンクの調査資料をもとに構成しています。

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