高い社会保険料を払っているのに、薬の自己負担は増えていく──。こんな世の中が目の前に迫っている。
市販薬と成分・効能が似た「OTC類似薬」の負担見直しを柱とする健康保険法などの改正案が29日、参院本会議で成立する。解熱鎮痛剤や保湿剤など77成分1100品目を対象に、来年3月から薬剤費の25%が「特別料金」として患者に課されることになる。
この新設された「一部保険外療養」の仕組みを巡っては、対象がOTC類似薬にとどまらず、診療や処置・手術などに及ぶとの懸念がくすぶってきた。厚労省は「法文上は薬剤に限定されない」との答弁を繰り返してきたが、28日の参院厚労委員会で答弁を修正。一部保険外療養が「薬剤のみを対象としたもの」という法解釈を明確にした。
しかし、一部保険外療養の対象が今のところは薬剤に限定されているといっても、決して安心ではない。保険外しの対象拡大や負担割合の引き上げは、旗振り役の日本維新の会と自民党が昨年末に合意しており、その後の厚労・財務大臣折衝事項にも盛り込まれた既定路線だからだ。
■「やればできる数字」
21日の参院厚労委で維新の猪瀬議員は、今回の改正について「小さい規模で決着してしまった」「まったく不本意」と不満タラタラ。OTC類似薬に関し、「すべて(一部保険外療養の)対象にして、特別料金の1分の1を上乗せした場合、対象となる成分と品目、医療費削減効果はどの程度か」と質問した。上野厚労相によれば、成分は1100、品目数は7000、削減効果は1.2兆円という。
これに猪瀬氏は「やればできる数字」「間髪入れずに次の法改正に向けて動き始めるべきだと思う」と強調。施行前なのに早くも「薬は自己負担」へのシフトを敷き始めたが、仮に医療費を1.2兆円削減したとしても、保険料負担の軽減は国民1人あたり月400円程度に過ぎない。
総理大臣の諮問先である有識者も、保険給付を削ろうと画策している。22日の経済財政諮問会議では、民間議員から次のような意見が出た。
〈制度の持続可能性を確保するための軽微で日常的に利用する医薬品・医療(低いリスク)に対する必要な方策などを検討すべきである〉
今回の改悪は国民皆保険を崩す“アリの一穴”。一体、誰のための改革なのか。
◇ ◇ ◇
「OTC類似薬」の保険外しをめぐる高市政権の暴走に、国民から悲痛な声が。関連記事【もっと読む】『「OTC類似薬」保険外しへ突き進む高市首相に不安・怒りの声続出!「リウマチ患者の気持ちが分かっていないのでは」』で詳しく報じている。





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