フィリピン・ルソン島パンパンガ州アンヘレス市バリバゴ地区で、建築中だった9階建て複合ビルが突然崩落する惨事が発生した。事故は2026年5月24日午前2時半から3時頃にかけて起き、最上階部分への違法なプール増築工事が原因とみられ、ビル全体が激しく崩壊した。
この崩落により、現場で寝泊まりしていた多数の建設作業員や、隣接するアパルテルと呼ばれる宿泊施設に滞在していた観光客らが瓦礫の下敷きとなり、現地では連日懸命な救助活動が続いている。

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 事故の規模と被害は甚大で、発生から5日が経過した5月29日現在も事態は緊迫の度を増している。現地当局による夜間の捜索・回収作業が進む中、被害状況はさらに深刻化し、これまで行方をくらましていた責任者側の動向にも新たな展開が見られた。主要メディアの最新報道を基に、この事件の全容と人災の闇を追う。

 まず最新の被害状況について、現地消防局などの公式発表を整理すると、死者6名、行方不明者14名が現在の正確な数字である。Philippine Daily Inquirerによれば、5月28日朝に瓦礫の中から26歳の作業員男性の遺体が収容され、さらに翌29日午前0時40分には、その父親である51歳の作業員の遺体が同じく瓦礫の下から回収された。この親子の死亡確認により、公式な死者数は計6名となった。犠牲者には、これまで確認されているマレーシア人観光客1名のほか、複数の地元フィリピン人作業員が含まれている。

 行方不明者については、事故直後の混乱の中で当初17名とされていたが、事故当時に現場を離れていた労働者が確認され、現在は14名が瓦礫の下に取り残されていると推定される。これは地元消防局およびマレーシア外務省の推計に基づく最新データである。依然として多くの家族が現場周辺で奇跡を祈り続けているが、鉄骨やコンクリートは極めて不安定で、重機を乱用すれば二次災害を招く恐れがある。そのため、Manila Bulletinが報じるように、救助隊は過酷な手作業による切断・撤去を余儀なくされ、回収作業は困難を極めている。


 今回の事故で最大の焦点となっているのが、崩落の直接的原因とされる最上階への違法プール増築を指示した施主Ernest Jackson Lim アーネスト・ジャクソン・リム氏と、施工を請け負ったゴールデン・イヤーズ・コンストラクション・アンド・スチールワークス社のJoel Young ジョエル・ヤング氏の動向である。事故直後から両氏は連絡を絶ち、現場から逃亡して潜伏を続けていた。これに対し、内務地方省のジョンビック・レムリャ長官は司法省へ出国禁止命令の発付を要請し、国家警察の犯罪捜査班による召喚手続きを急速に進めていた。

 こうした司法当局の包囲網が狭まる中、5月28日夜に両氏側からアンヘレス市地方自治体へ連絡が入った。重要な事実関係を整理すると、彼らが直接連絡したのではなく、弁護士など代理人を通じて接触を図ったという。具体的な弁護士名は伏せられているが、弁護団あるいは会社幹部を通じたアプローチであることは確実視されている。

 次に、両氏が実際に出頭したかという点だが、現時点では本人が警察署や市役所など公的機関に姿を現したわけではない。あくまで「今後の調査に協力する意思がある」と代理人を通じて申し出た段階にとどまっている。地方自治体側は、出頭していない以上、警察による身柄確保や逮捕・勾留はまだ行われていないと説明。国家警察は容疑が固まり次第、業務上過失致死傷などの罪で逮捕に踏み切る構えを崩していないが、現時点では行方を追いながら召喚状を送付する過程にある。

 この事故が単なる天災ではなく、防ぎ得た人災であることは、他の現地メディアの調査でも次々と浮き彫りになっている。ABS-CBNによれば、雇用労働省地域局は2025年9月時点で同社に複数の重大な労働安全違反を理由に業務停止命令を下していた過去がある。


 当時の記録によると、建設現場にはヘルメットや安全ベルト、命綱など基本的な保護具が一切支給されず、安全管理責任者も不在だった。さらに、労働省調査官が立ち入りを試みた際、現場側が入場を拒否して違反を隠蔽しようとした形跡すらあった。その後約1ヶ月で是正がなされたとして再開許可が下りたものの、安全軽視の体質や手抜き工事の慣行は改善されず、今回の最悪の結末を招いたといえる。

 Philippine News Agencyによれば、上院では今回の惨事を重く見た複数議員が合同調査決議案を提出。書類上は適合していたとされる建築許可制度の裏に潜む汚職や賄賂、杜撰な建築検査の実態について、国家規模での真相究明が始まろうとしている。潜伏を続けるリム氏とヤング氏の身柄確保と刑事責任の追及が、現地メディアの最大の関心事となっている。
【編集:Eula】
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