■食後のウォーキングと血糖値
できれば、あまり上げたくないのが血糖値。血糖値が一番上がるのは食事のあとですから、そこで下げることができれば理想的です。
とはいえ、食後に激しい運動は難しいもの。そんなときにおすすめなのが、食後の軽い散歩です。
散歩、すなわちウォーキングは、身体が消化吸収に忙しい時間帯でも、比較的負担になりにくい運動です。
血液中のブドウ糖をすぐにエネルギー源として消費してくれますし、血液中の脂質も減るため、血圧にも好影響があります。中性脂肪や内臓脂肪を減らし、肥満の予防や解消にも効果があります。
続ければ心肺機能も高まり、骨に刺激が加わることで密度が増し、転倒による骨折のリスクも減らすことができます。
ウォーキングのタイミングですが、血糖値がもっとも上がりやすいのは食後30分から1時間後ですから、その前後に行うのがよいでしょう。
外食した後などは絶好のウォーキングタイムですから、少し多めに歩きたいもの。
家での食事の場合は、ちょっと散歩に出るのもいいですね。
食後の1時間を工夫して、血糖値の上昇を緩やかにしてほしいと思います。
私はご長寿の運動として早歩きをお勧めすることが多いのですが、それには理由があります。
それは、寿命と歩くペースが比例しているからです。
■速く歩く人は寿命が長い
アメリカのピッツバーグ大学による研究をご紹介しましょう。複数の研究データを解析したもので、メタ分析とも呼ばれるものです。
・ゆっくり歩く人(時速0.72km)は平均寿命が約74歳
・普通のペースで歩く人(時速2.88km)の平均寿命は約80歳
・速く歩く人(時速5.76km)の平均寿命は、約95歳
という結果が出たのです。
なおこの研究は、3万人以上の高齢者を最長20年追跡したデータなどを元にしたもの。普段歩くペースと寿命に相関関係があるのは、間違いないと言えそうです。
ちなみに、ハーバード公衆衛生大学院の研究では、歩くスピードがやや速い人はゆっくり歩く人に比べて、約2.7倍も病気になりにくいこともわかっています。糖尿病やがん、心臓や脳の疾患のリスクが低いのです。
歩くスピードが速いことは、長寿への近道。
■長寿には「ほどほどの運動」
長寿というと、よく出てくるキーワードがサーチュイン。細胞を若返らせたり、炎症を抑えてくれる酵素です。その酵素を生み出す遺伝子は、サーチュイン遺伝子と呼ばれています。
さてそのサーチュイン、やや強度が強い運動で活性化することがわかっています。
具体的には、「中強度の運動を1日20分、2カ月続ける」ことで活性化します。これはスウェーデンのカロリンスカ研究所のデータによるものです。
中強度の運動とは、「会話がギリギリできるかどうか」という強度の運動になります。
たとえば早歩きなどは、そうした中強度の運動です。
会話ができないくらいの運動、たとえばランニングや重い重量を扱うウェイトトレーニングだと、負荷が強過ぎてサーチュインへの効果が薄れます。
運動は激しいほうがよさそうなイメージがありますが、こと長寿に関してはそのようなことはないのですね。
ご長寿のための生活習慣としては、運動も「ほどほど」が一番ということです。
■年をとるとなぜ転びやすくなるのか
年をとると、足もとがおぼつかなくなり、転びやすくなりがち。誰もが知っていることですが、それがなぜかは、意外と知られていないようです。
最初は、姿勢からはじまります。加齢で筋肉を使う機会が減ってくると、筋肉が弱ってきます。すると重力に負けて、身体が前に傾いてきます。
そして目線です。身体が前傾することで、目線がだんだん下がって近くなります。やがて、地面を見るような形になってきます。
最後に、足の動きです。目線が地面に近いので、大きく足を踏み出せず、徐々に小股になっていきます。
それが高じると、つま先から着地するように。こうなると足の高さが足りないため、少しの段差でも転びやすくなってきます。
こうして見てくると、その対策も見えてきます。転ばない「歩き方」を具体的に知ることが大切になります。
■転ばない「3つのコツ」
転ばないための、具体的な歩き方についてお伝えします。
コツはシンプルに、3つだけです。
1 目線を意識する
約25メートル先を見ます。自然と背筋も伸びやすくなり、全身を均等に使いやすくもなり、一石二鳥です。
2 大股で歩く
大股で歩き、かかとから着地しましょう。下半身の多くの筋肉を連動して使えます。
また、かかとから着地することで、大きな歩幅を維持しやすくなるという好循環も起こります。
3 肩の力を抜いて腕を振る
腕の力を抜くことで、スムーズに腕を振りやすくなり、それは体幹や腹筋を使うことにもつながってきます。
つまり歩くことが、より全身運動に近くなるということです。
全身の約2/3の筋肉を動員して動かすこともできるのが、「歩く」という運動です。
たった3つですが、意識すると全く違った体感が得られますし、実際に転びにくくなってきます。
ぜひ試してみてください。
■脚は第二の心臓
よく「脚は第二の心臓」と言われます。
脚の筋肉が収縮することでポンプのように働き、血液を上に押し上げる働きがあるからです。それによって心臓の動きも活発になり、心肺機能も高まります。
また血液に乗って栄養が全身に行き渡るので、エネルギー産生や代謝にも好影響があります。
逆にいえば脚の筋肉が衰えると、これらが失われるということでもあります。血液が下半身から上に上がりにくくなり、心臓の動きから活力が失われます。栄養が全身に行き渡らなくなり、エネルギーもつくりにくくなってきます。
こうした状態は避けたいですね。
北里大学による心臓病の研究によれば、病後の経過を左右するのは病気そのものの重症度よりも、脚の健康度の方が大きいそうです。脚の筋肉には、想像以上に大きな影響力があるのですね。
運動をしないと、加齢とともに筋肉が減っていきますが、最も大きい脚の筋肉は、最も多く減る筋肉でもあります。
第二の心臓を維持するためにも、脚の筋肉を維持するよう、心がけていきましょう。
■おすすめの歩き方「インターバル速歩」
頑張ってウォーキングやジョギングをしてみたが、筋肉痛がつらい……。
そんなときは、「インターバル速歩」がおすすめです。
インターバル速歩とは、普通の歩き方と短い早歩きを相互に繰り返す方法のこと。
筋肉を使えば疲労物質がたまってきますが、ペースを落とすことで回復することができます。
また強い運動では血管に圧がかかりますが、ゆっくりした動作にすることで解放されます。このとき出る一酸化窒素には血管を若返らせる効果もあり、安静時の血圧を下げる効果も期待できます。
インターバル速歩は、疲れにくいだけではありません。研究によって次のような効果が確認されています。
・筋力アップ約10%
・持久力アップ約20%
・骨密度アップ1%以上(部位による)
・関節痛の改善報告率50%
・高血糖、高血圧の改善
・うつの指標が50%改善
・睡眠の改善
・認知機能の改善率34%(認知障害の場合)
疲れにくく、効果も確かなインターバル速歩。外出のついでに試してみてはいかがでしょうか?
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玉谷 実智夫(たまたに・みちお)
医師・玉谷クリニック院長
1960年、兵庫県生まれ。京都大学薬学部、大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院、東大阪市立病院(現 東大阪市立総合病院)で研修した後、最先端医療を学ぶためアメリカ国立衛生研究所(NIH)に留学。帰国後、大阪大学で循環器・糖尿病・脳梗塞・老年病の研究に従事し、博士号を取得。最高権威の「ネイチャー メディシン」はじめ、医療ジャーナルに論文が数々掲載される。2008年に玉谷クリニックを開院。「東淀川区のかかりつけ医」として、高血圧・糖尿病・脂質異常症などで苦しむ10万人以上の患者を診断してきた。健康セミナーやテレビ、YouTubeなどでの発信も行うなど、地域の健康増進に努めている。著書に、『“世界一わかりやすい”最新糖尿病対策』(時事通信社、2021年)、『血糖値がどんどん下がる1分早歩き』(自由国民社、2022年)、『糖尿病の名医が「血糖値」よりも大切にしていること』(サンマーク出版、2022年)などがある。
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(医師・玉谷クリニック院長 玉谷 実智夫)

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