■今から日本株への投資は遅い?
「日経平均が6万円を超えたけれど、今から日本株に投資しても遅いですか?」
最近、FPとしてそんな相談を受けることが増えた。たしかに、今の金融市場ではそんなふうに迷うのは当然だと思う。
2024年2月22日、日経平均はバブル崩壊以来34年ぶりに史上最高値を更新。同年3月には史上初の4万円台をつけた。そこから2年あまりで6万円台へ。2026年のGW明け、5月8日には6万2000円を超えた。数字だけを見れば「少し上がりすぎでは?」と感じる人がいるのも良くわかる。
しかし、投資で本当に大切なのは「最近どれだけ上がったか」だけではない。むしろ重要なのは「その国や企業がこれからどれだけ成長できるか」ということだ。
私は少なくとも日本株については、「もう投資するには遅い」と決めつける必要はないと考えている。
■日本株が「長く低迷してきた歴史」
まず、図表1と2をご覧いただきたい。これは過去35年の日経平均とS&P500(米国株式市場の株価指数)の値動きの比較だ。
これを見て驚かれる方も多いのではないか。S&P500が上下を繰り返しながらも大幅に上昇してきたのに対し、日経平均はバブルが崩壊してからこの35年間ほとんど上がらず、地を這うような動きを続けてきた。2024年になってようやく1989年末の高値に戻り、2026年に入ってからやっと上昇の兆しが見えてきたのだ(図表1の右下の赤丸を参照)。
■米国「S&P500」は35年で20倍
バブル崩壊後の日本経済は長い間、精彩を欠いていた。景気は低迷し、給料も伸び悩み、企業も思い切った投資を控えた。一方、米国のS&P500は同じ35年間で20倍超の上昇を遂げ、日本株を大きく引き離した。世界経済の中で、日本株は長い間「出遅れ組」だったといえる。
ただ、日本がもともとダメな国だったわけではない。1960年代から1990年にかけての高度成長期、日経平均は44.8倍になり、名目GDPは25.4倍になった。
日本は世界でもトップクラスの経済成長を成し遂げた国だった。そのポテンシャルは今も健在のはずだ。
見方を変えれば、「日本が本当に変わるなら、これからまだまだ伸びる余地がある」と考えるのも十分に合理的だろう。
■今が上昇トレンドの始まりなのか
野球に例えるなら、長く不振だった大選手がフォーム改善や環境の変化で本来の力を取り戻し始めたとき、「少し調子が上がったから、もう終わり」とは限らない。本格的な回復がこれから始まるとみるのが適切かもしれない。
改めて図表1の赤丸で囲った部分を見てほしい。35年間の低迷の後、日経平均のチャートがようやく首をもたげてきたように見えないだろうか。上昇幅もまだこれからだ。これは、日本株の長い上昇トレンドの入り口かもしれない。
日本は「昔の強み」ではなく、「次の成長分野」に向かおうとしている
ここで大事なのは、「バブル以前の高度成長期の日本に戻る」という話ではないことだ。
当時は、鉄鋼、自動車、家電製品、電子部品といった製造業を中心として日本経済は大きな成長を遂げた。今後の成長のカギは、これからの時代に必要な分野で日本がどれだけ存在感を示せるか、にある。
■半年前に高市内閣が掲げた政策
高市早苗首相は2025年11月に「日本成長戦略本部」を立ち上げ、AI・半導体など17の戦略分野を定めた。補正予は6.4兆円を危機管理投資・成長投資に充て、2026年度の当初予算でも戦略的投資の積み増しを行う予定だ。
政策の柱は「大幅な税制優遇で設備投資を促す」ことだ。
もちろん、政策を掲げただけで必ず成功するわけではない。ただ「どこを伸ばすか」が以前より格段に具体的になったことは、日本経済にとって追い風になりうる。
■AIや半導体がさらに伸びるか
戦略17分野のあらまし(主要分野)
AI・半導体・情報通信
量子コンピューター
航空宇宙
防災・国土強靭化
海洋資源開発・海面養殖、植物工場、陸上養殖
永久磁石・レアアースの供給確保
バイオ・医療
資源・エネルギー・安全保障・グリーン・トランスフォーメーション
(次世代型太陽電池、水素・アンモニアなど)
核融合
コンテンツ(ゲーム・アニメ・漫画など)
この中で特に動きが活発化しているのが「海洋」と「AI・半導体」だ。海洋分野では南鳥島周辺海域での深海レアアース試掘が実施されており、今後の資源開発が期待される。
AI・半導体では毎年1兆円規模の継続的支援を目指しており、半導体受託製造企業TSMCによる熊本での最先端半導体生産表明もあって、日本のサプライチェーン強化は着実に進みつつある。
TSMCは台湾企業だが、日本国内への巨額投資は雇用、設備投資、地方経済、関連産業の活性化を通じて日本経済にも大きな波及効果を持つ。重要なのは、外資誘致を一時的な工場建設で終わらせず、本企業の技術力・供給網の持続的強化につなげられるかどうかだ。
コンテンツ分野(ゲーム・アニメ・漫画)が17分野に入っていることも注目に値する。日本経済の低迷期にあっても、これらは世界から高い評価を受け続けてきた。停滞の時代に培われたこの強みは、日本の貴重な財産だ。
■日経平均連動ファンドは3年で2.3倍
こうした高市内閣のアピールが功を奏してか、企業の株だけでなく、日経平均に連動する投資信託の成績も上がってきている。
具体的にどんなファンドがいいかとかと悩む人がいるかもしれない。日経平均インデックス・ファンドとは、日経平均株価の動きに連動するものなので基本的にどのファンドに投資しても結果は同じである。
ただ、注意すべきは手数料。できるかぎり手数料のかからないファンドを選ばないと、投資効率が悪くなる。
その観点から言うと、次の2つ「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」「ニッセイ日経平均インデックスファンド」は信託報酬手数料が年0.143%と最低レベルであり、10年継続して保有しても1.43%、20年継続して保有しても2.86%しかかからないので、投資するならいずれかをお勧めする。
図表3は、過去3年の日経平均そのものとインデックス・ファンドの上昇率を比較したものだ。日経平均は大きく上昇したが、インデックス・ファンドは配当を含めて運用されるので、さらに高い成績を上げている。これもインデックス・ファンドに投資するメリットの一つである。
とはいえ、「日本株だけ」に全額を賭ける必要はない。
将来の日本に期待が持てるとしても、未来は誰にも断言できない。世界情勢や景気、企業業績によって株価が大きく動くことはある。
■リスクヘッジで投資額3分の1に
だからこそ初心者には、「一気に全額」よりも「分けて持つ」考え方が向いている。たとえば300万円の投資資金があるなら、
100万円を日経平均連動商品
100万円をS&P500連動商品
100万円をオルカン(全世界株式)
という分散も一つの方法だ。日本が予想以上に伸びればその恩恵を受けられるし、逆に海外が強ければそちらが支えてくれる。投資では「どれが絶対正解か」を当てるよりも、「どこが伸びてもある程度利益が出るポートフォリオを作る」ことが大切だ。
■NISAを活用して毎月積み立てる
また、NISAなどを活用した積立投資も有効だ。総投資金額が300万円なら毎月25万円ずつ12カ月で買う方法もあるし、毎月10万円ずつでも構わない。一時期にまとめて買ってしまうと、運悪く高値づかみになることもあるが、時期を分けて買えば購入コストを平準化できる。
初心者は特に株価の急落に弱い。2020年のコロナショックや2025年のトランプショック(トランプ関税を発端とした世界的な株価急落)のような事態が来ると、恐怖に駆られて売ってしまうことがある。筆者自身も1987年のブラック・マンデーの際に狼狽売りをした苦い経験がある。少しずつ買っておけばショックは緩和されるし、急落後の安値で買い増すこともできる。
■個別株より、まずインデックス
初心者がいきなり個別企業の株を選ぶのは、意外と難しい。
「日本全体が変わるかもしれない」と考えるなら、まずはインデックス投資から入るのが現実的だ。
■「もう遅い」より「どう変わるか」
日経平均6万円台、2年あまりで大幅上昇したと聞けば高く感じるかもしれない。だが株価は「過去より高いか安いか」だけで決まるものではない。大切なのは「日本経済と日本企業がこれからも成長し続けられるか」だ。
日本は長い停滞を経験した。だからこそ、AI・半導体・防衛・バイオ医療・エネルギー、さらには量子コンピューターや核融合といった次世代技術が本物の成長につながれば、日本株にはまだ大きく伸びる余地がある。
焦って一度に大金を投じる必要はない。毎月10万円の積立でいい。株価が上下しても落ち着いて投資を続けられるし、長い目で見れば利益の出る確率は高まる。少しずつ、無理のない形で、日本株や日経平均連動ファンドを資産の一部に加えてみてほしい。
将来のことは誰にもわからない。だが20年、30年の長期で見れば、株価は上昇してきた歴史がある。6万円台は、単なる通過点かもしれない。
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浦上 登(うらかみ・のぼる)
コンサルタント
早稲田大学政治経済学部を卒業後、三菱重工業に入社、海外向け発電プラントの仕事に携わる。ベネズエラ駐在、米国ロサンゼルス営業所長などを歴任後、三菱重工グループの保険代理店に移り、取締役東京支店長。2009年にはファイナンシャル・プランナーの上位資格CFPを取得。2017年にサマーアロー・コンサルティングを設立、著書に『70歳現役FPが教える 60歳からの「働き方」と「お金」の正解』(PHP研究所)がある。
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(コンサルタント 浦上 登)

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