※本稿は、和田秀樹『健康診断の数値におびえず楽しく生きる50の心得』(オレンジページ)の一部を再編集したものです。
■「先生の言いなり」は間違い
医者の説明が理解できなくても、「まあ、先生の言う通りにしておけば間違いはないか」と、よく分からないまま治療を受け入れていませんか。
仕事のプロジェクトでも趣味のグループ作業でも、目的や手段を理解していないメンバーがいたら足を引っ張られます。それと同じで、医療チームの一員であるあなたが、なぜその治療なのか、なぜその薬が必要なのか、その薬にはどんな副作用があるのかを理解していないと、あなたが望まない方向へと医療が迷走してしまうかもしれません。
診察時間だけで理解が足りなければ、ネットでもAIでも活用して、自分で調べるべきでしょう。深く調べるうちに、日本と海外とでは基準値が違うとか、その基準値では特定の疾患は防げても長生きの確率は下がるなど、いろいろなことが見えてきます。
その中に、自分の生き方や死生観に役立ちそうな情報があれば、次の診察で具体的に相談することができ、自分の希望に沿った治療を医者とともに作り上げていくことができます。
■がん検診の正しい受け方
がん検診にしても、検診を受ける以上、がんが見つかることを前提に準備をしておくべきです。そのがんにはどんな治療方法があるのか、近くにどんな病院があるのか、どの病院が全摘でどの病院が温存の方針なのかといった情報があれば、頭が真っ白なまま医者の言いなりに転院、手術、抗がん剤とお決まりのコースに乗せられて後悔することは避けられます。
■患者ひとりの診察時間はさらに短く
日本ではものすごい勢いで高齢者が増えていて、90歳以上が280万人超え、団塊の世代も全員が75歳以上となり、その数なんと約800万人。日本の医療は「5分診療」と揶揄されますが、今後ますます患者ひとりにかける診察時間が短くなりそうです。
そんな短期決戦の診察中に、患者が質問なのか自分語りなのか、どんな答えを求めているのかよく分からない話をしても、医者はただ困惑しているうちにタイムアウトです。医者に自分の困りごとや希望を引き出してらおうという受け身の姿勢では、どんなに患者個人に合った治療をしたいと思う良心的な医者でも、さすがに無理があるでしょう。
■患者力のある人がしている準備
貴重な時間を無駄にしないために、聞きたいこと、相談したいことはあらかじめ簡潔にメモにまとめ、医者のもとへ行く。そんな「患者力」をぜひ身につけてほしいと思います。
メモには症状や経緯、それによる生活上の困りごと、どうしたいのか、あきらめたくないことは何かを、簡潔な言葉で箇条書きにします。ほかの持病や既往歴、服用中の薬の名前も書いておくといいでしょう。
見ながら話せば、話がそれても軌道修正しやすいし、思い出すのに無駄な時間を費やすこともありません。自分で話すのが苦手なら、そのメモを医者に見てもらってもかまいません。ただし、あれもこれもと書き込んで、読み上げるだけで時間がかかるようなメモでは治療がうまくいかないことが多いでしょう。
■誤解や理解不足を防ぐ方法
どんなに医者がかみ砕いた言葉を遣おうと、医学的な説明は難しいと感じるかもしれません。特に重篤な病気が判明した際や手術前の説明などは、ただでさえショックで冷静ではいられないので、なおさらでしょう。そんなときは、スマホで録音するのもひとつの手です。
しっかり話を聞いたつもりでも、自分の都合のいい部分だけを記憶していたり、思い込みから誤った解釈をしていることもあります。あとから録音を聞き返して、誤解を修正したり分からなかった言葉をネットで調べたりすれば、より治療方針への理解が深まるでしょう。家族への説明にも役立ちます。
■診察時の録音はしてもいいのか
録音する場合は、注意点がふたつ。まず、事前に必ず「録音してもいいですか」と医者の了解を得ることです。無断で録音されては医者も不愉快になり、信頼関係が崩れてしまいます。「誤解がないようにあとで聞き直したいから」「家族とも情報を共有したいから」と理由を添えれば、医者もゆっくり話したり優しい言葉を遣ったりと協力してくれるでしょう。
もうひとつは、録音データを無断で第三者に渡したりSNSに公開したりしないこと。場合によっては罪に問われますので注意してください。
撮影や録画については、院内撮影禁止の病院が少なくありません。ほかの患者さんの肖像権やカルテなどの個人情報漏洩を防ぐためですので、その病院のルールに従ってください。
■AIやネットで調べるべき情報
何でも医者に聞いて診察時間を長引かせるのは、待合室の患者さんたちを思うとご容赦願いたい。
ネットで調べるのは、医学用語の意味や処方された薬の情報などはもちろんですが、ぜひ見てほしいのが『The New England Journal of Medicine』や『The Lancet』など海外の一流医学雑誌に掲載された、大規模調査の結果や最新研究リポートなどの統計データです。
日本の学会や厚労省のホームページには、自分たちで適当に決めた基準値が書かれていますが、比較すればそれがいかにいい加減な数値であるかが分かるでしょう。今はネット上に翻訳機能もあるので、一度見てみるといいと思います。
■AIが有益な回答を返してくれる質問
AIを活用する場合は、質問の仕方がカギ。「1日の塩分量の目安は?」と漠然とした聞き方だと、深い情報は得られません。「先進7カ国で定められた塩分量は?」とか、「『The New England Journal of Medicine』に掲載された、一番死亡率が低い塩分量は?」など、より具体的な質問を重ねていくと、欲しかった情報が見つかるでしょう。今後AIは心強い味方になります。認知症のリスクに関係する脳の前頭葉は新しい刺激が大好きですから、苦手意識のある人こそ、ぜひ試してください。
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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。幸齢党党首。立命館大学生命科学部特任教授、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。高齢者専門の精神科医として、40年にわたり高齢者医療の現場に携わっている。2022年総合ベストセラーに輝いた『80歳の壁』(幻冬舎新書)をはじめ、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『老いの品格』(PHP新書)、『老後は要領』(幻冬舎)、『不安に負けない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)、『60歳を過ぎたらやめるが勝ち 年をとるほどに幸せになる「しなくていい」暮らし』(主婦と生活社)など著書多数。
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(精神科医 和田 秀樹)

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