状況の変化に合わせた販売戦略立案や販路拡大のために、経験・人脈が豊富な人材ニーズが高まり、50代以上の賞与が増加

転職サービス「doda(デューダ)」などを提供するパーソルキャリア株式会社が運営する、アパレル・ファッション業界専門の転職支援サービス「クリーデンス」は、アパレル・ファッション業界の「平均年間賞与額」の最新版(2021年)を発表しましたので、お知らせいたします。

<調査概要>2021年1月~12月の間に、「クリーデンス」に登録したビジネスパーソンのデータをもとに算出


■年代別 平均年間賞与額

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解説:平均年間賞与額は昨年比−0.2万円と横ばい。
若手層とベテラン層で賞与額が増加
2021年1月~12月までに「クリーデンス」に登録した人の平均年間賞与額は、60.5万円でした。2020年は60.7万円だったことからほぼ横ばいで推移していると言えます。また、年代別でみると、若手層とベテラン層の平均年間賞与額が増加しています。

2021年は、新型コロナによる混乱が落ち着きはじめ、企業が採用を徐々に再開させた年でした。一方、未経験や経験の浅い層の採用は未だ控える企業が多く、若手層でも、マネジメントやECサイト、SNSの運用といった経験やスキルを持つ人材が企業から求められました。そのため、若手層のなかでも比較的年収が高い、マネジメントやデジタルスキルを持つ登録者が増加したことが、20代の平均年間賞与額を引き上げる要因になったと考えられます。


50代以上の平均年間賞与額が上がった背景には、「MD・バイヤー」「営業・店舗開発」で経験・知識そして人脈が豊富なベテラン人材を求める企業が増加したことが挙げられます。
購買行動の多様化によるEC化率の向上や長らく続いたまん延防止等重点措置などにより、商品開発や販売計画を練る「MD(マーチャンダイザー)」は、状況の変化に柔軟に対応して、適切な販売計画を練る必要性がより高まりました。これにより、経験豊富で適切な計画立案ができる人材を求める企業が増加しています。
商社やOEM企業では業績の立て直しを図るため、販路拡大に注力しました。加えて、コロナ禍で業績が上がったD2Cブランドでは、ポップアップや常設店舗の出店計画を立て始めています。販路拡大や店舗出店には、「営業・店舗開発」が重要な役割を担うため、ノウハウはもちろんのこと豊富な人脈を持つアドバイザークラスの人材のニーズが高まりました。
その結果、今まで転職活動を行ってこなかったベテラン層も転職を視野にいれるようになり、賞与額が増加したと推測されます。

■職種別 平均年間賞与額
解説:EC事業拡大のため「マーケティング」ニーズが急増し、マーケティング職の賞与額は約10万円増加

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職種別では、9職種中5職種の平均年間賞与額が増加しました。これらの職種が増加した背景には、企業の経営戦略において重要な役割を担っていること、業績を立て直す重要なポジションであるため評価が賞与額に反映されやすかったことが挙げられます。
中でも「マーケティング」は、前年比で約10万円増加しています。この背景には、EC事業の拡大に注力する企業が増加したこと挙げられます。2020年はEC基盤を整えるため、「WEB・EC」に関わる人材の採用を活発化させたのに対し、2021年は、EC基盤を拡大・成長させるため、マーケティング人材の採用を強化する動きが見られました。

特に、購買行動などのデータを活用・分析し戦略を立てるデジタルマーケティングや、SNSなどのコンテンツを活用したデジタルコミュニケーション、さらに、顧客体験の向上・売り上げの拡大を目的に、オンラインとオフラインをつなぐOMO戦略の立案といった専門性が高いポジションでのニーズが高まりました。しかし、こうした経験やノウハウを持つ人材は希少であるため、給与水準を上げ採用を行う企業が増加。結果として、平均年間賞与額を引き上げたと言えるでしょう。

一方、「プレス・販売促進・VMD」の平均年間賞与は昨年比で−19.4万円と大きく減少しました。この背景には、採用ポジションの変化が挙げられます。2020年は、ECでの売上を拡大するため、PR戦略立案などのポジションで即戦力となる人材を少数採用する企業が多く、経験豊富な人材の登録が増加しました。
しかし、2021年は、カスタマーサービスやSNS運用といったアシスタントポジションの採用も再開したため、経験が浅い若手層の登録が増加しました。これにより、給与水準が下がり、平均年間賞与額も減少したと考えられます。

■2022年の平均年間賞与額の予測
2022年は、今まで着手してこなかった「MD」や「生産管理」といったものづくりに関わる分野のデジタル化、基幹システムの拡充などが進むことが予想されます。ECでの購買が当たり前となった今、OMO推進により注力する企業も増加するでしょう。そのため、引き続き「デジタル」「マーケティング」に関わるポジションでは、業界内外問わず専門性の高い人材を求める動きが見られるでしょう。「販売・店舗系」では、店舗の売上げが回復傾向にある中で、マネジメントや高い接客スキルを持つ人材を中心に、採用ニーズが更に高まることが予想されます。

こうした高スキルを持つ人材を獲得するためには、求めるスキルや市場に即した就業条件に見直すことが非常に重要になるため、引き続き、給与水準や人事制度を見直す企業が増え、2022年の平均年間賞与額は増加すると推測されます。

■解説者プロフィール クリーデンス 事業責任者 河崎 達哉(かわさき たつや)
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1984年、兵庫県生まれ。
2008年、株式会社インテリジェンス(現社名:パーソルキャリア株式会社)入社。
キャリアアドバイザーとして、IT・ウェブ領域や金融、医療を担当。また、さまざまな業界のハイクラス層の転職も支援。これまでに支援した転職希望者は、1,500名を超える。

キャリアアドバイザー部門のゼネラルマネジャーを経て、2019年4月からは「クリーデンス」( https://www.crede.co.jp/ )の事業責任者として、アパレル・ファッション領域の人材サービスをけん引している。

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