主要6社の単体決算では、全店売上高、営業総収入、営業利益のいずれも全社でマイナス。既存店売上高も軒並み減少した。コロナ後の生活様式一変から、来店客数の落ち込みに歯止めがかからなかったことが大きく響いた。
大手3社では、セブン―イレブンが既存店客数を9.9%減と最小限の減少幅に抑えた一方、ファミリーマート、ローソンはいずれも14.2%減。客単価は8%前後の増加で大差がない。これが売上高にも反映。セブンの既存店が2%台の落ち込みにとどまったのに対し、ファミマ、ローソンは7%台とトップに水をあけられた。
営業利益でも、セブンの減益幅が一ケタなのに対して、ファミマは2割減、ローソン4割減と手痛い数字だ。
中堅3社も明暗が分かれた。
昨年に伊藤忠商事の完全子会社となり非上場化したファミマ。3月に就任した細見研介社長が示すのは「稼ぐ・削る・防ぐ」との方針だ。コロナ感染拡大による今後の収益悪化を折り込み、前期は不採算店を中心に損失を計上した。
「喫緊の課題は、コロナ禍をどう切り抜けるか。そして、それ以前から始まっていたデジタル化も進展させる。ネット、Eコマースとの融合がさらに進むだろう。急激に進歩するテクノロジーを活用しながら、『削る』ということに関しては可及的速やかに行っていく」(細見氏)。
ローソンも新環境への適応を急ぐ。
「ニューノーマル」が常態化した今期、長年培ってきたコンビニの商品開発の在り方や顧客誘引ノウハウにも一層の変化が迫られる。くすぶり続ける加盟店と本部との関係性の問題に関しても、ミニストップが9月からの導入を予定する新契約モデルの行方を業界が固唾を呑んで見守る。風雲急を告げる気配だ。