阪神のリーグ優勝が決まり、巨人は切り替えて2位死守に全力を注ぐ。61勝62敗3分けの借金1でリーグ2位。
* * *
巨人のリーグ優勝が消滅した。頂点に立った阪神と現状17ゲーム差。悔しいが、まだチームとして成長できる可能性は残っている。監督1年目から連覇という史上初の偉業に挑み、届かなかった阿部監督も「日本一のチャンスはある」と前を向き、2位死守へ全員が切り替えている。そのためのポイントは―。
◆攻撃面 1点をもぎ取るための状況判断、進塁打などのチーム打撃、自己犠牲が重要になりそうだ。
阪神との対戦成績は7勝17敗と惨敗。24試合中14試合が1点差、2試合が2点差と僅差の連続だった。
1番から5番を固定できた阪神と対照的に、岡本が5月上旬から約3か月負傷離脱し、打順を試行錯誤しながらもがいてきた打線。それでも、中山ら若手の奮闘もありチーム打率は巨人が2割4分6厘、阪神が2割4分5厘。本塁打は巨人が83、阪神が80。安打数も巨人が1037で阪神の1027を上回っている。「あと一本」が出ず苦戦した得点圏打率も巨人は2割3分8厘で、阪神の2割3分6厘より上。だが、総得点は393で阪神より44点少ない。
そんな中で注目したい数字の一つが得点圏のチーム打席数。巨人の1159に対し阪神は1300と同じ126試合を戦って大差がついている。数字に表れない部分が、チャンスの数の差になっていたのだろう。
犠打は阪神が127で巨人が77。バント以外にも走者一塁からヒットエンドランで一、三塁を作ったり、アウトになっても走者を一つ先の塁に進めたり、走者も一つ先の塁を狙う意識が阪神は徹底されていた。巨人はそれらの細かい部分の精度に課題が残った。
◆守備面 リーグワーストの71失策。防げるミスは防いで取れるアウトを確実に取っていきたい。練習のための練習にせず、より緊迫した試合をイメージして意識を変えたい。苦しんだ分、改善の余地や伸びしろはある。
◆投手陣 後半戦37試合中16試合で先発投手が5回持たず降板。昨年15勝(3敗)の菅野の穴を埋められず苦戦したが、戸郷らが巻き返しのラストスパートに燃えている。先取点を阻止し、1イニングでも長く投げることで流れを呼び込みたい。右膝痛で離脱中のグリフィンや2軍再調整の赤星に復帰のメドが立ったことも好材料だ。
9日の広島戦の相手先発は床田。今季は1完投1完封を許して2戦2敗だ。