◆米大リーグ オリオールズ2―5ドジャース(7日、米メリーランド州ボルティモア=オリオールパーク)

 ドジャース・大谷翔平投手(31)が7日(日本時間8日)、敵地・オリオールズ戦に「1番・DH」で出場。10年ぶりに対戦した菅野智之投手(35)から球団タイ記録となるシーズン12本目の先頭打者アーチを含む2打席連発をマークし、悪夢の5連敗に終止符を打った。

対菅野は日米通算4打数4安打と驚異の相性。B・ルース生誕の地にまた新たな名場面を刻み込んだ。

 悪夢を拭い去るには十分な弾道だった。プレーボール直後の初回先頭。大谷は10年ぶりの対戦となった菅野の2球目、94・4マイル(約151・9キロ)シンカーを捉えた。中堅右へ5試合ぶりの47号先制ソロだ。試合開始から約25秒。今季12本目の先頭打者弾で23年のベッツの球団記録に並び、残り19戦でメジャー記録の15本まで残り3本。この1本で4年連続の150安打にも到達した。

 前日6日(同7日)には山本がノーヒッターまであと1人から被弾。その後救援陣が打たれて逆転サヨナラ負けを喫した。それから半日後のデーゲーム。

大谷の先頭弾には一発以上の価値があった。

 ロバーツ監督「翔平の本塁打は本当に大きかった。あれでベンチの雰囲気も一気に活気づいた」

 カーショー「翔平が流れをリセットしてくれた」

 ベッツ「翔平が打線を先導してくれたことで、俺たちは大丈夫だと確信した」

 3回先頭では3球目の内角94・9マイル(約152・7キロ)直球を強振し、バックスクリーン右に(試合またぎを含め)今季4度目の2打席連発の48号ソロ。同4度目となる1試合2発で、3年連続の本塁打王に向けてリーグトップのK・シュワバー(フィリーズ)に1本差と肉薄した。

 菅野とは15年6月10日の交流戦(札幌D)で初対戦。当時20歳の二刀流は初打席で左中間へ二塁打を放つなど2打数2安打1四球と巨人のエースを攻略し、「(菅野は)普段は対戦しない投手。初球から積極的にいこうと(思いました)」と語っていた。10年の時が経過したが、この日も2打席ともに最初に来た打てる球を仕留めた。不変の積極性で、通算成績は4打数4安打(2本塁打)1四球。12年ドラフトの同期を返り討ちにした。

 B・ルース生誕の地、ボルティモア。オリオールズ本拠地から徒歩数分の距離にルースの生家が博物館として公開されている。

現代の二刀流スター大谷を擁するドジャース戦の開催で当地は大にぎわい。ツアーガイドの一人は「翔平のおかげだよ!」と感謝した。5日(同6日)には二刀流出場をし、この日は2発。ルースのパワーが乗り移った。

 チームの連敗は「5」で止まり、同地区2位のパドレスとの1ゲーム差を死守。登板を回避した3日(同4日)がピークだった体調不良からもほぼ全快した大谷は、2打席連発後、3打席連続四球で全5打席出塁。背番号17の出来がド軍の命運を左右する。(中村 晃大)

◆大谷の主な日本人投手撃ち

 ▽菊池雄星 19年6月8日(日本時間9日)にメジャー初対戦で、3打席目に左中間へ本塁打。前の打者2人もアーチを描いており、3者連続弾。

 ▽前田健太 19年6月11日(同12日)、打球角度21度の弾丸ライナーで右翼席に運んだ。この年の6号は菊池、7号は前田と2発連続日本人から。

 ▽ダルビッシュ有 ドジャース移籍後初出場だった24年3月20日(韓国・ソウル)の開幕戦で初対決。

2打席目に打球速度181キロの強烈な右前安打。

 ▽千賀滉大 23年9月の右肘手術以来初めてライブBPに登板した直後の25年5月25日の試合で、先頭打者本塁打。

 ▽松井裕樹 25年はそれまで4打数無安打と抑え込まれていたが、8月24日に右中間へ米10打席目の対戦で本塁打。ダイヤモンドを一周すると、ベンチ横でヤジを飛ばしてきたパ軍ファンにタッチ。

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