打率2割9分8厘でリーグトップに立つ巨人・泉口友汰内野手(26)は残り17試合で、球団では16年坂本勇人以来の首位打者を目指す。高橋由伸氏(スポーツ報知評論家)が連続写真でフォームを解説した。

 * * *

 泉口は走攻守において安心感のある選手で、打撃に関しては癖のない印象だ。ただ、ストロングポイントはどこなんだろう、とも思っていた。春先の試合に出始めた頃、選球眼の良さと追い込まれてからの強さは感じていたが、正直、注目度は低かった。今回、じっくり打撃フォームを見ると納得できる部分が多かった。

 素晴らしいのが〈3〉~〈4〉の左手だ。バットが体の近くを通る分、操作性を高めている。しかも、〈3〉から球の軌道まで落とし、ボールのラインに乗せたままインパクトに向かっている。まるで、テニスを見ているようだ。ラケットの面を向けたまま、あらゆるコースに対応しているから、バットの芯と球の当たる範囲が広くなっている。状態が悪くてもコンタクト率が極端に落ちることはないだろうし、スランプの少なさに直結している。

 さらに〈4〉のように、ミートポイントを後ろからのぞいている点もいい。構え、振り出しから頭がぶれず、グリップが走って前に出ていくからバットコントロールがしやすくなる。

追い込まれても率高く打てている要因はここにあり、同時にボール球も見逃せている証拠。三振数が少ない点もうなずける。右投手から入ってくるクロスボール、左投手の肩口から逃げていく球に対しても、これまでに記した特徴が解決してくれる。

 同じ左バッターとしてすごく好きな打ち方だ。元ヤクルトの青木宣親も体の近くにバットを通すタイプで、特に〈3〉~〈5〉が似ている。青木にはスピードと小力があった。内野安打も稼げたから日米通算2730安打もマークできたと思う。泉口にもパンチ力を感じるし、走攻守における安定感がある。ベンチの阿部監督にとってはありがたい選手だろう。ここから先、どんな選手に育っていくか本当に楽しみだ。(スポーツ報知評論家・高橋 由伸)

編集部おすすめ