パ・リーグ 日本ハム7―4ソフトバンク(9日・エスコンフィールド)

 2位の日本ハムが首位ソフトバンクに逆転勝ちし、ゲーム差を3に縮めた。9日に出場選手登録された今川優馬外野手(28)が「2番・中堅」で昇格即スタメン出場し、決勝1号ソロを含む3安打。

「8番・遊撃」のドラフト5位・山県秀内野手(23)が2打席連続アーチを放ち、難敵のモイネロを攻略した。新庄剛志監督(53)の采配がズバリとハマり、ホークスの独走に待ったをかけた。

 ベンチの新庄監督とハイタッチを交わすと、ナインにもみくちゃにされた。今川の迷いのないスイングが、モイネロの147キロ直球を捉えた。3―3の5回無死、左中間中段へ勝ち越しソロ。22年9月17日のロッテ戦(札幌D)以来3年ぶりの一発に「ファイターズのユニホームを着て野球ができるラストチャンスだと思っていた。『優勝へのラストピースは今川だ』と胸を張って言えるように鎌ケ谷でやってきた」。2軍では打率4割1分4厘、7本塁打。約4か月ぶりに1軍昇格した28歳が決勝弾を放ち、首位ソフトバンクとのゲーム差を3に縮めた。

 伏兵2人が天敵を攻略した。今季すでに4勝を献上し、防御率0・87と封じ込まれていたモイネロ対策として、指揮官はオーダーに右の“刺客”を2人忍ばせた。昇格即2番に今川、8番には早大時代本塁打0のルーキー・山県。

すると今川は1号を含む3安打3打点。山県は4回に同点の2号ソロ、6回には中押しの3号2ランもたたき込み、人生初の2打席連発。「自分が一番驚いている。両親の結婚記念日なので祝砲になれば」と3安打3打点の大暴れに顔をくしゃくしゃにした。相手エースにキャリア初の1試合3発を浴びせ、今季ワーストの7失点で引きずり降ろした。

 指揮官の金言が効いた。今川は第1打席の空振り三振後に「迷ったら代えるからね」と声をかけられた。「空振りしてもいいやくらいの気持ちで強振できた」と雑念が消えた。山県は「ミーティングで『甘くきた球は長打を打てるスイングを』と言われていた。自分は長打を打てるキャラじゃないですけど」と、はにかんだ。

 チームは連敗を3でストップ。負ければ首位と絶望的な5差となる崖っ縁で3差に盛り返した。

指揮官は「活躍した選手に聞いてあげて」とコメントを残した。残り17戦で直接対決は敵地で2試合。パの火は消させない。逆転優勝へ、マジックの種はまだ尽きていない。(川上 晴輝)

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